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売木村の山村留学ブログ

12月19日

12月19日(日)は、お正月準備活動“門松作り”をすることに。売木村の伝統的な門松は、玄関前の庭に長い木の杭(ハングリ様)を二本立て、松を縛りつけるという 門の形をしています。荷物整理と部屋掃除をした後、9時40分頃から 売木の伝統文化 のDVDを見て、年越し準備や大正月について映像で学んだ学園生たちは、外へ出て活動開始。門松を立てるための最初の準備は、ハングリ様を立てることなので、ハングリ様に使う栗の木を伐りに山へ行かなければなりません。しかし、栗の木は湿気にすこぶる強く、防虫防腐処理をしなくても長期間使えるほどの耐久性がある優良材なので、一昨年伐り出して皮を剥きハングリ様にしたものを、使いまわすことに。

次に、松迎えをすることにしました。松迎えとは、門松にする松を山から伐ってくること。センターから1kmほどのところに適当な高さや太さの松が生えている場所があるので、防寒対策をして、少し雪が積もった道を歩いていきました。門松用の松は二本必要なので、その、まだ小さな松林の中から、男子7人で相談して一本、女子5人で相談して一本を選ぶことに。二本のバランスも考えなければなりません。「これがいいんじゃない?」「あの奥のやつは?」などと話し合いながらどんどん奥に入っていく学園生たち…。冒険気分を味わったり、外国にいるような気分になったりしていた子たちも。

枝が三段か五段についているものが良いといわれているので、目を凝らして探し、更に枝ぶりが格好いいものや葉がきれいな緑色のものを選ぼうと吟味していました。これだというものはなかなか見つかりませんでしたが、適切なものに決めると、のこぎりで伐ることに。女子は、少しずつのこぎりを挽いて交代していき、5人全員で伐っていました。

伐り出してきた選り抜きの松を確認し合う、男子チームと女子チーム。調達した松は神聖なものなので、丁寧に運び、持ち帰りました。松を迎える日は、29日は苦に通じるし、30日は一夜松、31日は日伐り松といって縁起が悪いといわれ、28日以前に行うのが普通。迎えた松は、清浄な場所に保管しておき、30日に立てるそうですが、学園生たちは帰省して不在となるので、この日に松迎えも立てることもしてしまいます。そんなわけで、迎えた松はとりあえず玄関横に置いて、

保管していた栗の木二本を出してきて、立てることに。しかし、昨年 大変苦労して掘った穴にさし込み、ぐりぐりしたのですが安定しませんでした。ぐらつかないよう土の中深くまでしっかりとさしたいのですが、先端が石に当たっているようで…。どうしようもなかったので、バチが当たるかもしれないけれど、掛矢でハングリ様の上部をガンガン打ち込むと、不安定に揺れ動くことがなくなり一件落着。栗の木に少しヒビが入ってしまったけれど、無事にハングリ様を立てられました!

続いて、門松につける注連縄やおやす作りに使う藁の準備。もち米を脱穀した後 とっておいた もち藁を各自一束手に取り、倉庫の前辺りで藁すぐりをし、水で湿らせ、木槌で打ってやわらかくしました。

この作業、実は小学生は以前に経験済み。稲刈りをする前に、刈った稲を結束する紐として藁を準備した時と同じです。だから、さくさく進めたり、初めての中学生に教えてあげたりする姿がありました! 藁の準備ができたら、一時中断し、昼食・食休み。

活動室にブルーシートを敷いて、午後1時45分から門松につけるものを作ってみることに。まず、自分で準備した藁で“おやす”作りから。おやすとは神様に捧げる食器。小学4・5・6年生たち6人は、二日前の金曜日に、みどりの少年団の藁細工教室で正月飾り(おやす)を作ったばかり。覚えているはずだし、他人に教えてあげられるだろうということで、みどりの少年団員6名が先生となり、小学3年生と中学生の、合わせて6名に、一対一の指導を行うことに!

一緒に進めていく、手取り足取り教える、聞かれたら懇切丁寧に教える、黙々と手を動かしお手本を示す…など、先生の教え方も様々。教わる方も、わからないことを自分から聞いたり、「これでいいの?」と確認したり。異年齢で関わり合いながら、教え学び合う姿がありました!

継続生同士のペアは、先生(小学生)よりも生徒(中学生)の方が優秀で、「何でそんなにきれいに作れるの?」
「(生徒の方が)上手い!!」という先生のつぶやきも聞こえてきましたが…。藁を三つ編みにするところでは、女の子たちは手際よく行っていましたが、男の子たちは苦戦気味でした。稲を刈って結束した時のように、巻きつけた藁をねじってさし込むという過程もあり、そこは皆 難なくできていました!

おやすを上手く形作れなかった生徒を、他のペアの先生が補佐する場面も。何はともあれ、二日前に村の方から伝承された技を更に伝え合い、子どもたちだけで一人ひとつは完成させることができました!!

次に、縄を綯ってみることに。手のひらを湿らせるための水も用意し、3本ずつ準備した2組の藁を手のひらで挟み、手のひらと藁を擦りあわせるように右手を前方に出しながら、2組の藁を同じ方向に撚ったら、右手で左手の指先側の藁を手前に移動させます。これを繰り返していくと右綯いの縄ができます。少し練習し、「これ、できてる?」と見せたのは、継続生たち。

しばらく藁と格闘し、なんとか綯えるようになった子たちもいれば、全く歯が立たない子もいました。綯えた子や指導員から、どうして綯えないのか、間違えている点を指摘されたり、ねじった藁同士を合わせているという仕組みを教わったりして、ようやく理解し少しだけ綯えた子も。縄綯いを習得した子たちは、長い縄を作ろうと、藁を足しながら綯っていくことにも挑戦! しかし、きれいな縄を綯うことは大変難しかった様。

それから、いよいよ注連縄作りにチャレンジです! 注連縄は先ほど練習した右綯いではなく、左縄に綯うもの。手のひらを擦りあわせるようにしながら右手を手前に持ってきて、2組の藁を同じ方向に撚ったら、右手で左手の手首側の藁を奥に移動させることを繰り返していきます。「上手くできない…。」「難しい…。」と、ぼやきながらもやってみようとする子たちもいれば、マスターしている継続生に食い下がり教えてもらっていた子たちも。綯い方はわかったものの、力加減が均等でなかったり、藁の足し方が上手くできなかったりして、右綯いと同様に、きれいな注連縄を作ることの難しさを痛感した学園生たち。
続いて、おたから作り。おたからとは、紙垂のこと。ハサミで半分に切った半紙を折り、三か所切れ目を入れ、手前に手前にと順に、紙垂の形に折っていきます。

一人ふたつ、作ってみることにしましたが、説明をちゃんと聞いておらず失敗したり、残りの紙でサイズの小さなおたからを作ることになってしまったりした子たちもいました。できあがりを想像して、切り目を入れたり、格好よく折ったりすることは難しそうでしたが、思っていたより簡単にできたと言う子が多かったです。
曲がりなりにも、おやすと注連縄とおたからができたので、冬休みの帰省の際、持ち帰る用の“正月飾り”を一人ひとつ仕上げることに。松の小枝は後日つけるとして、おやすに、輪にした注連縄とおたからを飾りつけ完成したものを見た学園生たちは、満更でもない様子でした! 学園の庭に立てる 門松作りには、力加減が均等で美しく、藁をつぎ足して長く綯えた 継続生たちが作った藁縄や注連縄を採用することに。そして、門松に張る注連縄は、上手に作った子が責任を持って、つぎ足した藁の飛び出した部分をハサミで切ってきれいに処理したり、全体を整えたりしてくれました!

それから、防寒着を着て、飾るものを手に、外へ。まず、藁縄でハングリ様に松を縛りつけました。次に、注連縄を渡し、皆で品評して選ばれた3つのおたからを注連縄の撚りの間に挟み込みました! 真剣な表情で作業をしていた3人。

最後に、幾つかおやすを作った子たちから提供してもらい、2つのおやすを門松に結びつけ、完成。本来は12月30日にすることを、前倒しで体験した学園生たち。お正月には、センターに立てた門松を目当てにして歳神様が降りてきて、幸福をもたらしてくださることを信じて、記念写真に納まりました!

21/12/19

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