5月最後の日
5月31日(日) 留学生たちは5時に起床。準備ができたら自分の竹竿を持って、3kmちょっとの道のりを長靴を履いた足で歩き、釣り堀のある河川公園まで。前夜、6週間ぶりに来園された家族と一緒に歩く子もいました。早く辿り着かなければ、釣り開始が遅れるので、できるだけ早足で。
釣り堀に着くと、村の渓流釣り祭はもう始まっており、既に釣りあげている人たちの姿が!逸る気持ちを抑え、前日に練習したことを思い出しながら、竿先のリリアンに仕掛けをつけました。
他の人たちに迷惑をかけないよう、釣り場での注意事項を聞いた後、早速糸を垂らします・・・。留学生は、自分の家族と一緒に釣りを楽しむことに。しかし、楽しみつつも、この釣りには実はノルマが課せられていたのでした。なぜなら、この日行なう昼食交流会で、釣ったニジマスの塩焼きを食べる計画になっていたから。参加予定人数が50人ほどなので、一人一匹ずつ食べるには、皆で最低でも50匹釣らなければなりません!それより少なければ、1匹を分け合うことになるのです!
とはいえ、釣り祭開始前に放たれたばかりの、お腹を空かしたニジマスたち。群れをなして泳いでいるところに、イクラやブドウムシなどのエサをつけた針を垂らせば、入れ食い状態。なので、順調に釣れ始めました!中には、釣れたニジマスを触れなくて、お母さんに、針から外してもらう子も。釣れると喜びのあまり大騒ぎしてしまい、”大声を出さない”という釣り場のルールやマナーをすっかり忘れてしまっている様な子も。
途中で、朝食のおにぎりにかぶりつき、すぐに釣りを再開。初めは全然釣れなかったけれど、場所を変えたら面白い様に釣れだした子もいれば、1匹釣ったあとは、糸を絡ませたり自分のズボンを釣ってしまったりしているうちに時間がなくなったという子もいました。「針をのみこんでいて、とれませ~ん!とってくださ~い!」「針、持っていかれちゃったんですけど・・・。新しいハリスくださ~い。」釣れても釣れなくても、大きな声で、センター長や指導員を呼びまくる留学生たちでした。途中からは、農家の父さんも駆けつけてくださり、釣果アップに一役買ってくださいました。
全員ボウズは免れ、10匹以上釣った子も数人おり、次第に、お昼ごはんに焼き魚を一人一匹食べられそうな感じになってきました!びくから、氷を入れた発泡スチロールにニジマスを移すと、ざっと70~80匹釣れていて、もう十分な量でした。9時過ぎ、釣りをやめて片づけをし、車でセンターへ。
戻ったら、すぐにニジマスをさばくことに。魚のさばき方はいろいろありますが、今回はこの後、串に刺して塩焼きにするので、はらわたを出す下処理だけ。肛門から頭の方に包丁を入れ、内臓をかきだし、血合いをきれいに取って、洗います。初めは、「ヌルヌルする!」と騒いだり、まな板の上に魚を置く向きを間違え、とてもやりにくそうに作業をしたりしていましたが、次々に、さばいてきれいに洗うことを繰り返していくうちに、どの子も手際よくやれるようになっていきました。
皆、真剣でした。ついさっきまで生きていた魚を自分でさばき、いただくことで、魚や肉が自分たちの口に入るまでの過程を知り、命をいただいていることへの感謝の気持ちを持つこともできたのでは と思います。
ある程度さばけたら、並行して、串に刺す作業も始めました。食育指導員に、ニジマスをうねらせながら表面に串を出さないようにしっかり安定するような刺し方を教わりました。
意外と難しく、何度も説明を聞きながら、試みていた子どもたち。しばらくすると、串刺しにしたニジマスの山ができていきました!
午前11時ころ、交流会に参加する人たち(留学生・留学生家族・受け入れ農家さん・学園長・職員など)50名弱がセンターに集まりました。昼食を皆で準備し、一緒に食べ、交流しようということです。初めに、全体で集まり役割分担を発表する予定でしたが、農家の父さん方・留学生のお父さんやお兄さんら男衆は、事前に役割を察知していたよう。
既に、野外で炭火をおこし、串に刺したニジマス50匹あまりを焼き始めていたのでした。魚を焼いた後は、五平餅を焼く作業です。
食堂では、受け入れ農家の母さん5名に講師になっていただき、3班にわかれて、南信州の郷土料理のひとつである五平餅作り。留学生と、留学生のお母さんや弟妹たちは、農家の母さんのご指導の下、まず、炊きたてのうるち米をすりこ木で潰す作業に没頭。1班あたり1.3升くらいの割り当てがあり、なかなか大変。潰し加減は”半殺し”です!
ご飯を多少粒が残る程度に潰せたら握り、串にくっつけ、ぞうり型に整えます。農家の母さんたちの鮮やかな手さばきにほれぼれしながら、皆、見よう見まねでチャレンジ!各班17~18本作り、それを、外の男衆に渡し、焼いてもらいます。
五平餅につけて炙る”たれ”作りも並行して行いました。2つの班が「えごまだれ」と「ねぎ味噌だれ」を、農家の母さんに伝授してもらいながら作りました。どちらもおいしそう!でも、普通は五平餅1本に1種類のたれを塗って炙るわけですが、1本に0.8合ものご飯をつかっているので、なかなか2本も3本も食べられません。なので今回は、1本で2つの味を楽しめるように、ちょっと邪道ですが1本に2種類のたれを塗ることに。
炭火おこしの達人ぞろいの野外では、炎天下、ニジマスに続き、五平餅をどんどん焼き、2つのたれを塗って炙る作業が続いていました。その間、子どもたちは食堂に机を並べたり、焼けた魚を配膳したり。できた五平餅が運ばれてくると、辺り一帯に、炙られた味噌だれの少し焦げた、芳ばしい匂いが広がりました。
皆で協力して作ったお昼ごはんができあがり、12時40分頃には配膳も完了。五平餅・ニジマスの塩焼き・あさりのお吸い物・お漬け物・すいか・りんごジュースが食卓に並びました。あさりは、小学5・6年生が先日の潮干狩りで獲ってきたもの。すいかやりんごジュースは、農家さんからの差し入れ。見ただけでおなかいっぱいになりそうなごはん。「いただきま~す!」
会食をしながら、いろいろなお話をするなど、和やかな時間となりました。もちろんどれもおいしく、留学生の中には何度かおかわりをする子も!
楽しい時はあっという間に過ぎました。皆さん、お疲れ様でした。
15/06/02