籾で何㎏?
11月7日(土) 予定通り、稲の脱穀をすることに。数日前に少し雨に降られたものの、3週間天日干しされた稲はしっかりと乾燥していました。
脱穀についてのミーティングの後、早速作業開始。今年は、田んぼに設置した稲架に干しきれなかった百束余りの稲束を、センター周囲のフェンスに干していたのですが、それらを昔ながらの方法で脱穀することに。刈った直後より随分軽くなった稲束を、作業するシートに運び、一人1本稲を手にすると、まずは最も原始的な方法で。稲から籾を手の指でしごきとります。そして、1本の稲に何粒の籾米がついているかを数えると、平均して100粒くらいでした。田植えの時には一所に3~4本の苗を植え、それが1株の稲となり、だいたい20本くらい穂がでました。なので、1株の稲からだいたい2000粒のお米がとれたということ。「凄い!」と、学園生たち。
引き続き、数名は自分の手で脱穀を続けます。
こちらは、千歯こきを使って脱穀。稲束を広げ、歯の間に挟んで手前に引くと、籾米がバラバラッととれました。交代しながら全員体験し、手での脱穀より、大変効率が良いということがわかった様。
次は、足踏み式脱穀機での体験です。足で踏板を踏み、逆V字型の針金を埋め込んだ円筒形のものを回転させ、そこに稲束を押しつけると、籾米がとれる仕組み。とれた籾米が遠くに飛び散らないよう、ござを被せて使いました。
そこそこの速さで踏板を踏んで円筒形のものを回転させながら、手に持った稲束を当てて脱穀することを、独りでするのは結構難しいのですが、皆独りでやってみました。手元ばかりに気を取られると、足を動かすことが疎かになり、足で踏むことばかりに意識がいくと、稲束を手離してしまいがちなので、集中して作業をしました。
案の定、時々ですが、稲束をしっかり握っていなかったため回転部分に稲穂が巻き込まれたり、引きずり込まれそうになったりしていました。けれども、千歯こきよりも格段に能率がよいことを、しっかりと実感した学園生たち。
昔ながらの方法で穂から外した籾米は、その後ふるいにかけ、大まかに選別。
そして、唐箕を使いました!子どもたちは「社会の教科書に載っているやつだ!」と興味津々。ハンドルを回して風をおこし、重い籾米と少し軽い籾米、実入りの悪い籾米やわら屑に分けるという、素晴らしい仕組みを知り、感じ入っていました。
数人ごとに交代しながら、風選を体験。百束余りの稲束の脱穀、選別作業が終わり、ざっと片づけ。午後から使う予定の、動力脱穀機”ハーベスター”の説明を聞いてから、お昼ごはんを食べました。
午後1時半頃からは田んぼに行き、稲架の横にハーベスターを移動させて、機械による脱穀と選別開始。稲架から稲束を外し、機械に通すと、あっという間に、わらと籾米にわかれ、セットした袋に籾米がたまるのです。同時に風選もされ、わら屑や軽い籾米は飛ばされます。
機械の中には足踏み式脱穀機と同じ円筒形のものが入っていて、それが動力で動きます。機械に巻き込まれないよう注意しながら、稲束をどんどん送り込んでいきました。作業がスムーズに行えるよう、稲架から稲を外したり、出てきたわらを取ったり、脱穀し残した稲がないかチェックしたり、畔にわらを運んだりと、自分たちで役割分担してやっていました。午前中の脱穀方法と比べると、桁違いの速さ!
しかし、稲架4段にぎっしり干した稲を全て脱穀するには、時間がかかります。もうすぐで終わりそうになっても、適当にしないで、穂が残ったままになっている藁がないか厳しくチェックする子もいました。
ふと顔を上げた子どもたちの目に飛び込んできた、田んぼから見える山々は、こんな色になっていました。
3時間ほどかかって脱穀が終わり、とれた籾米の重さを測定すると74kg。昨年より随分少ないですが、あとは、もみすり・精米をしたら、食べることができます!今年はほとんどハーベスターに頼って楽をしてしまったのに、何度も「疲れた~。疲れた~。」と口にする子も。何はともあれ、 先人の知恵と工夫が凝縮された脱穀機の発展の歴史を辿ることはできました。
15/11/08