3月4日・5日
今年度最後の農家生活を終えた子どもたちは、3月4日(土)11時半頃に、センター入りしてきました。17日の修園のつどいまで、34期のメンバーで過ごせるのも2週間のみ。午後からは、修園にむけての準備を少々進めていたところ・・・
「午後2時半から、山の神の餅まきをするから山留生たちもおいで。」と、岩倉地区の方から連絡をいただきました。ビニール袋を手に、2時20分頃 皆でセンターを出発し、徒歩数分でチェーン着脱所に着くと、すぐに餅まきが始まりました! どんどんお餅はまかれ、あっという間に終了。興奮して拾いまくる子もいれば、足元にたくさん落ちていることにも気がつかないでぼんやりしている子も。解散し、センターに戻って皆が拾ってきたお餅を集めると、結構な量でした!! 地域の行事に、参加させてもらった子どもたちは嬉しそうでした。
3月5日(土)は、自分の足で歩くことを大事にしてきたこの1年の集大成として、長距離のハイキング(およそ27km)に挑みました。お天気にも恵まれ、準備をして8:35にセンターを元気に出発。歩き慣れた通学路をすたすた歩き始めました。車も通る国道を歩いているのに、つい、道に広がったり飛び出したりするので、何度も指導員に注意されながら・・・。
3kmほど歩き、軒川地区方面のほとんど車が通らない道にさしかかると、男子4人が野性的な本領発揮!! わざわざ道路脇の残雪の上を歩いたり、雪を投げたり、縁石の上を歩いたり、壁をキックしてみたり、道から飛び降りて畦や草地を走り回ったりと、普通に歩くのではなく無駄に?動き続けていました。
出発前、1時間に4kmちょっとの速さで歩くことを示し合わせていたので、いろいろな話をしながらも良いペースで歩く学園生たち。
ひとまず目指すのは、売木村の南西部。お隣りの根羽村との境、根羽峠です。茶臼山高原スキー場に行った時に、車でびゅんびゅん走った道を、今日は自分の足で歩きます。5km以上だらだら続く上り坂が待ち受けているので、コース中最大の難関という設定。
しばらくは、相変わらずH隊長にくっついて、山猿?のように崖をよじ登ったり、標的に雪玉を当てたりと、忙しなく駆け巡っていたS・Yt・J隊員。
星の森キャンプ場入口を過ぎ、白樺高原を通り、次第に口数が少なくなる学園生たち。「あと何kmくらいかな?」「まだかなぁ?」と、だんだん弱気な発言が聞こえてきましたが、ひたすら、右足と左足を交互に前に出し続けるのみ。前後入れ替わりながら、コンパスの長い中学生女子が先頭に立って引っ張る展開もありました。
センターからおよそ10.2km地点の”根羽峠”に到着! センターを出発してから2度ほど小休止したものの、2時間10分ほどで売木村と根羽村の境目までやってきました。村の看板の所で行ったり来たりし、「根羽村!」「売木村!」と嬉しそうに遊ぶ子も。
来たばかりの道を200mほど戻ると、湧き水ポイント。水を口に含んだり、水筒の中身を捨てて湧き水に入れ替えたり、頭から被ったり。飴やチョコレートをもらい、数分休憩して元気を取り戻したら、今度は5kmあまり続く下り坂を一気に歩いて下ります。足に負担がかかるので落ち着いて歩くよう気をつけていましたが、集団は縦長に。遅れだした子に気づいたら、立ち止まって待ったり、励ましたりして、それほど離れないように確認しながら下りました。軒川地区の日陰山橋に辿り着いたのは、正午頃。センターからお弁当をデリバリーしてもらうまでの十数分間、男子たちは草の上でのびていました。なかなかのペースで既に16km弱歩いたうえ、無駄に?体力を使いすぎたようです(笑)。
「おなかすいた~!」「お弁当まだかなぁ?」と騒いでいた子たち。おなかが減っていたとみえて、センターから届いたお弁当をぺろりと平らげていました。特大弁当をもらった子が食べ終わるのを待ち、少し食休みをして、再出発。
午後は、軒川地区から長島峠越え。この時期は、通行止めになっているので、道いっぱいに広がって歩いても大丈夫。ひんやりとする道を上っていきました。
除雪していないうえに、3月の初めに降った雪が積もったままの道を進み、峠では大きな馬頭観音を見ました。雪を見ると、まず握って投げたくなる男子たちは、ここでも例外ではなく・・・。スケートリンクのようにつるつるの場所もありましたが、滑りながらうまく駆け下りていました。2kmほど歩いて県道にぶつかり、南一地区をさらに南へ。
次に目指すのは、道仙沢の”やぎ小屋”。自然と、皆の歩みが速まります。学級で何度も行ったことがあるというJさんが、皆を率いてくれました。4月の”村めぐり”の活動でやぎ小屋まで歩いてきたことがある子たちもいましたが、実は初めてという子たちも。学園生たちが逸るのには、わけがありました。
最近、やぎの赤ちゃんがたくさん産まれ、かわいらしい子やぎたちを見ることができると聞いていたから。小屋に辿り着くと、その話通りでした!!
歓声をあげながら、子やぎたちがいる囲いに群がる学園生たち。手を伸ばすと、一斉に寄ってきて本当にかわいらしく、皆 めろめろになり、普段見せないような優しい表情を見せたり、目尻を下げたりしていました。
小屋の中には、子やぎだけでなく、たくさんのやぎがいて、餌を食べたり、頭と頭をごっつんごっつんしたり、糞をしたりしていました。その様子を面白そうに観察する学園生たち。「ちょび(センターで飼っているやぎ)より、ここのやぎの糞の方が大きいね。」「(放し飼いにされている)鶏も、丸丸と太っているね。」などと言っていました。馬を熱心に見ていた子もいました。
しかし、子やぎたちのかわいらしさは抜きんでていて、恐る恐る抱っこしては、「かわいい!」「温かい!」と、愛おしそうに見つめる子どもたちでした。けれど、いつまでもここに留まるわけにはいきません。30分以上、やぎたちと戯れたので、そろそろ出発しなければ! 今日の活動は歩くことがメインなので、後ろ髪をひかれる思いでやぎ小屋を後に。
センターまであと8kmほど歩きます。座り込んで小休止する子たちが増え、少しずつ疲労の色が・・・。
南一地区から、売木川沿いの未舗装路を一路北へ向かいました。相変わらず、男子たちは探険ごっこ?のようなことを続け、橋の下をくぐったり、草むらの中を走ったり。「ふきのとうが出ているかもしれない。」と、ビニール袋を手に握り締め、きょろきょろしながら歩く女子もいました。
役場でトイレ休憩をした後は、引き続き売木川沿いを歩き、長下地区方面へ。毎週木曜日のランニング教室で、頑張って走ったコースの一部も通過。わりと平坦な道なので、誰もへばることなく歩を進めました。猫の尾のような手触りが気に入ったのか、男子たちはむやみにネコヤナギの花穂を集めまくっていました。
24km地点の力石で左折し、岩倉方面へ。センターまであと3km。少し歩くと、探していた”ふきのとう”が3つほど顔を出していました。凍結している岩倉ダム湖南岸の道ではなく、北岸の道をてくてく。結構上り坂が続くので、それまでは元気だった子たちも少々ペースダウン。
一刻も早くセンターに着きたいと、どんどん歩く女子たちでしたが、マンサクの花が咲いているのを見て、春の訪れを感じる余裕もありました。センター近くのよく見慣れた場所に辿り着くと、あと少し! 長くのびた集団の後ろの方を歩いていた子たちも気を取り直して、最後の一踏ん張り。
16:20、ついにセンターに到着! 27kmの道のりを、全員がしっかりと自分の足で歩き通すことができました。
売木村で1年間生活しても、歩いたことがない道や行ったことがない地区や場所がたくさんあるということがわかった子どもたち。歩いたことで、学校のお友だちがどこに住んでいるのかを知ったり、村内のいろいろなことを発見したりすることもできました。
かなり高低差のある27kmを踏破し、皆、大なり小なり疲れたようですが、雨の日も風の日も毎日、登下校で歩き、ランニングをし、足腰が鍛えられていたことを実感したと思います。また、自己に打ち克ち、心身の成長を感じとって自信をもつこともできたようです。
17/03/04