11月3日
11月3日(金)、午前7時。売木小中学校玄関前には、小学6年生と担任の先生・保護者・ランナーの方々・役場や教育委員会の人たちが集まっていました。もちろん、小6の留学生 koさんも。
この日は、小学6年生たちが総合的な学習で取り組んでいる100kmリレーマラソン(売木村から愛知県名古屋市千種区の東山動植物園まで走る)の実施2日目。
100kmリレーマラソンは二日間に分け、1日目は約60kmを、2日目は約40kmを走る計画でしたが、初日の10月28日は台風の影響で中止に。別の日に村内60kmを走り、天候に恵まれたこの日は愛知県豊田市足助町から東山動植物園まで、子どもたち7人が5kmずつをリレーし、最後の5kmは先生も含めて全員で走ります。
毎朝走ったり木曜日のランニング教室で練習したりして備えてきた子どもたちに、伴走してくださるのは、これまでに走り方を教えてくださったウルトラマラソンランナーの重見さん、地域おこし協力隊の伊東さんや交流のある名古屋の市民ランナーの方。役場や教育委員会の方が運転してくださる伴走車も2台というサポート体制。
皆で挨拶をした後、koさんたちは車に乗り込み、この日のスタート地点 足助町へと向かいました!
学園では、脱穀を行いました。稲刈りをしてはざかけをし4週間経ったものの、とにかく雨が多かったため、脱穀をするには少し水分量が多めでした。しかし、脱穀してから籾袋のまま乾燥させておけば何とかなるくらいだったので、とりあえず決行することに。9時から脱穀についてのミーティングをし、服装を整え、倉庫前広場に道具を準備。田んぼへ行き、はざに干していた稲束をひとり十数束ずつ抱えて、センターまで運びました。普通に抱える子もいれば、はざ棒に見立てた自分の腕に、稲束をできるだけたくさんかけた状態で歩いて戻る子たちも。
倉庫前に広げたブルーシートの上に稲束を置き、昔ながらの方法での脱穀体験。稲束から1本抜き取り、手の指で、稲から籾をしごきとる最も原始的な方法と、千歯こきや足踏み式脱穀機といった道具を試してみることに。4グループにわかれ、全員が3つの方法を体験できるよう、交代しながら作業をしました。
千歯こきを用いた脱穀では、最初は上手く使いこなせていませんでした。しかし、何度も試したりコツを教わったりするうちに、一度に扱きやすい稲束の適量というものがわかった様。稲束を広げ、歯(千もはないけれど)の間に挟んで手前に引き抜くと、下で受ける箕に、籾米がバラバラッと落ちました。原始的な、手でしごきとる方法より随分効率が良いことをひしひしと感じた様です。
足踏み式脱穀機は、踏板を足で踏んで、逆V字型の針金を埋め込んだ円筒形のこぎ胴を回転させ、そこに稲束を押しつけると籾米がとれる仕組み。センターにある足踏み式脱穀機は、横書きの文字が右から左に書いてあるくらい古い道具ですが、2台とも調子がよくバリバリの現役! 踏板を速く踏むことばかりに意識がいくと、手元の稲束をしっかり握っておくことが疎かになり、こぎ胴に稲束が巻き込まれて引きずり込まれそうになる危ない場面が何度かありました。また、長い稲を持て余し、こぎ胴にちゃんと当てることが難しかった子たちも。足で踏板を踏みながら、手に持った稲束を脱穀することを一人で行うのは難しいので、踏板を踏む人・脱穀をする人・籾米を受ける人と分業して進めるグループもありました。しばらく使っていると、回転音と、機械に被せたござに とれた籾米がパラパラパラッと勢いよく当たる音が、一定のリズムで響くようになりました。千歯こきより後の時代に登場した足踏み式脱穀機を用いると、作業効率が格段にあがることを実感できた様。怪我をしないよう気をつけながら集中して作業を続けていくと、脱穀をした藁の山がどんどん高くなっていきました。
昔ながらの方法で脱穀した籾米は、ふるいにかけて、籾米と藁くずなどに大まかに選別。籾米がどんどんたまっていく樽・・・。
お昼になったので、一旦 作業を中断。昼食後、午後1時半から再開し、唐箕を使って風選作業もすることに。社会科の教科書に載っていて知っているけれども、実物を見たり使ったりするのは初めてと、興味津々の子たちもいました。唐箕は、ハンドルを回しておこした風で、重い籾米と軽い籾米にわけ、実入りの悪い籾米や藁くずを飛散させ、選別するという仕組み。その素晴らしさに感動しながら、楽しげに風選作業を体験する子たちも。
グループごとに交代しながら唐箕の体験をし、それ以外の子たちは、ブルーシートの上に散乱している 完璧に脱穀できていない稲穂を扱いたり、藁くずと籾米をわけたり、一粒の籾米も無駄にしないよう拾ったり。ひたすら根気のいる作業でしたが、皆 地道にやっていました。
唐箕を発明した先人への尊敬の念を抱きながら、昔ながらの方法で脱穀した籾米を全て、唐箕で選別。
午後3時過ぎから、動力脱穀機”ハーベスタ”の構造を教わり、田んぼへ移動。ハーベスタの中には、足踏み式脱穀機と同じ円筒形のこぎ胴が入っており、脱穀された籾米は、即 風選され、藁くずや実入りの悪い籾米は飛ばされます。稲束をハーベスタに通すと、あっという間に藁が送り出され、脱穀と選別がいっぺんになされ、重い籾米が袋の中にどんどんたまっていくのです。はざには、午前中 昔ながらの方法で脱穀した量の2~3倍の稲束がかかっていましたが、横にセットしたハーベスタに稲束を送り込んでいくと、もの凄い速さ・・・。
とは言え、機械も完璧ではないので送り出されてきた藁をチェックすると、稲穂が残っていることもあります。なので、数人体制でチェックをしていたのですが間に合わず、すぐに藁の山ができてしまうほどの速さでした!
はざから稲束を外す役、巻き込まれないよう気をつけながら稲束を機械に送り込む役、脱穀された藁を取り出す役、藁をチェックして稲穂が残っているものを見つける役、それを運ぶ役などにわかれ、同じ作業ばかりでなく役割を交代しながら行いました。
学園生たちが無駄口を叩く暇もないくらいの速さで、ハーベスタでの脱穀・選別作業は終了。機械を始動してから1時間も経っていませんでした。半日かかった昔ながらの脱穀・選別方法と比べると、その2~3倍の量の稲を1時間弱で作業してしまうという、とてつもない能率だということがよくわかった様です。
はざ棒などをばらし手分けしてセンターに運んだり、束ねた藁を田んぼから運んだりして、片づけ。
一粒のもち米も無駄にしないよう心がけていたものの、田んぼには少し落ちていたので、それを拾い集め、燃やした藁くずの上にかざして焼いて食べてみる子たちも。先人の知恵や工夫が凝縮された脱穀機や選別機の発展の歴史を辿る貴重な体験ができた1日となりました。
籾袋はセンターの陽当たりのよい部屋に置き、数日 乾燥させてもう少し水分量を減らすことに。そして、籾摺りをし、精米をする予定。新米で搗いたおもちを食べられる日はもうすぐです!
小学6年生たちの100kmリレーマラソンは、予定どおり午後3時頃 ゴールしたそうです。
17/11/07