12月2日
収穫祭を終え、1週間ほど農家生活を送った学園生たちは、12月1日(金)からセンター入り。1週間だけの短いセンター生活です。
家庭の事情で海外へ引っ越すため、Jさんが11月末日に学園を発ったので、12月からは11人の学園生活。農家入り前の11月23日(祝・木)には、Jさんとのお別れ昼食会を催し、Jさん希望の焼き肉を、どの子ももう当分 お肉はいらないというくらいお腹いっぱい食べたのでした。寄せ書きした色紙をJさんに渡す時、涙ぐんでいた子たちもいました。
12月2日(土) 食文化体験として、お漬け物作りをしました。冬の準備活動・食べ物の保存方法のひとつを体験してみようということです。今でこそ、冬でも野菜は流通していますが、昔は、雪に閉ざされた農山村では冬の間、野菜が不足するので、春まで安心して過ごすために青菜を塩漬けにするなどして保存していました。売木村の多くの人たちは、今でもこの時期にお漬け物を作っているので、学園でも村の人々が工夫してきた生活の知恵を実践することに。
まず、畑へ行き、収穫から。畑には、源助かぶ菜・雪白体菜・白かぶ・紅かぶを残している状態でした。秋に種を蒔いて、発芽しなかったものも多く、たくさん育ったわけではありませんが、霜が数回降りて、菜っ葉全体がやわらかくなっており、なかなか良い感じ。最初に、源助かぶ菜の根元から包丁を入れて切り取りました。手を切らないように注意しながら、あまり下から切るとかぶの部分までついてきてしまうし、上過ぎると菜っ葉がばらばらになってしまうので丁度良いところを狙います。慣れないと難しいですが、それほどたくさんなかったので、皆 落ち着いて切り取り、傷んだ葉や変色した葉などを取り除いて、かごに入れていきました。
ビニールハウスの中で幾らか育てていたものは、露地物よりも随分大きくて、驚いていた子どもたち。
次に、雪白体菜を源助かぶ菜と同じように包丁で収穫。
白かぶと紅かぶは、引っこ抜いていきました。雪白体菜もかぶも大きく育ってはいませんでしたが、ひとつ残らずとりました。
それから、畝に被せていたマルチシートやビニールハウスの中をきれいさっぱり片づけると、畑にはもう何もない状態に。
収穫したものをセンターの倉庫前に運び、樽を洗って水をはり、お菜洗いの準備完了。継続生たちに言わせると地獄の?お菜洗いスタートです! 水をはった4つの樽を並べて置き、1つめの樽の中で洗われたお菜は、2つめ・3つめの樽で更に洗われ、最終チェック機能の4つめで完璧に洗えているかどうか確認されて、かごに入れられるという流れ。帰省していたり部活に行ったりして4人の中学生が不在だったため、7人が4つの樽に1~2人つき、きれいにお菜を洗います。
食べる時のことを考えて、菜の根元に詰まっている土や松葉、菜っ葉の裏側にびっしりとついているアブラムシなどを取り除くように丁寧に洗っていきました。よく見えないのか、腰を折り、ものすごく菜っ葉に顔を近づけて洗う子たちも。担当する樽を交代したり、水が汚れたらきれいな水に換えたりしながら、頑張って作業を続けました。陽は射していたものの、冷たい水に手を入れて洗う作業の連続なので、手がかじかみ「手が冷たい。ちゃんと動かないよ・・・。」と訴える子も。しかし、あまり量がなかったので、午前中に雪白体菜と源助かぶ菜洗いは終了。
午後は、お昼ごはんを食べている間に水切りをしていたお菜を切る作業から。部活組も加わり、今回は切り漬けにするので、まな板と包丁を使い、2~3㎝くらいの長さに切っていきます。根元の方を切り落とすと、切り口がバラの花のようであることに気づき「きれい!」「おもしろい!」と言っていた子たちもいました。
切った菜っ葉を計量すると、源助かぶ菜が6.2kg、雪白体菜が1.1kg、刻んだかぶが0.5kgあったので、全て合わせて7.8kgにし”しょうゆ漬け”を作ることに。
そして、しょうゆ・ザラメ・酢などの調味料を計量。材料1kgに対してどれくらい加えるものかを聞いた学園生たちは、計算力が試されました。それぞれ頭の中で一生懸命 かけ算をしていました! 調味料が揃ったら、ビニール袋を敷いた樽の中に、刻んだ菜やかぶを入れる役、調味料を加える役を決め、3回にわけて漬けていきました。それから、近くの川へ行き、重石にできそうな石を、1人ひとつ探して持ち帰り、洗いました。
次に、たくあん漬けを作ることに。11月下旬に農家のお母さんからいただいた生大根を軒下に吊るして干しておいたのですが、いい具合にくねくねになっていました。大根の曲がり具合が気に入り、大根を持って遊ぶ子もいました。大根の重量を量り、4%の塩を計算。
樽に敷いたビニール袋の中に、適量の米ぬかに塩やザラメ、昆布と水を混ぜたものを敷き、樽の形に合わせて大根を隙間なく並べていきました。その上に、また米ぬかなどを敷き、とうがらしや干し柿を作ったときにむいた皮を適量載せ、次にまた干し大根を並べ、米ぬかやとうがらしを載せ・・・を繰り返しました。お家で、たくあん漬けを作ったことがあるという子もいたのですが、甘みを出すためのザラメや柿の皮、うま味を出すための昆布、腐敗止めのとうがらしを適量入れるということがなかなか難しかったよう。そこまでできたら、源助かぶ菜などのしょうゆ漬けの樽と、たくあん漬けの樽に、中ぶたを置き その上に川で拾ってきた石を重石として載せました。最後に、外ぶたをして倉庫の片隅に、樽を並べました!
これから時々、様子を見て、重石を軽くするなどしていきます。自分たちが作ったお漬け物を食べる日が楽しみな学園生たち。先人の知恵の素晴らしさを知り、売木村の生活に根ざした食文化の体験ができた一日となりました。
17/12/04