5月26日
5月26日(日)、村の渓流釣り祭に参加しました。
5時に起床し、動植物の世話などをして、釣りに行く準備ができた学園生たちは、センターを出発。長靴を履いた足で3km強の道を一路 学童用の釣り場となる池がある河川公園へ。早く辿り着かなければ釣り始めが遅れてしまうので、学園生同士で足早に向かったり、自分のペースで黙々と歩いたり。お家の人と一緒に早歩きで行った子もいました。
継続生二人は小走りで、釣り祭の開始を告げる号砲が鳴る前に、河川公園に到着。逸る気持ちを抑え、まずは広場で釣りの準備。カーボンの延べ竿の竿先リリアンに、過日 何とか自分で作った仕掛けをつけます。少し遅れて後続の新入園生たちも順々に辿り着き、準備を始めました。しかし、前日に確認した延べ竿を伸ばす順序や仕掛けのつけ方を忘れてしまったのかわからないままだったのか、指導員やお家の人任せにする子が…。準備ができたら、竿と、ブドウ虫やイクラなどの餌と、バケツやびくを持って池の周囲へ。
号砲と同時に糸を垂らすことはできなかったけれど、一投目 すぐに当たりがあり、大きなニジマスを釣り上げた継続生。さすが! いかに早く釣り始めるかとかどこで釣るとよいか、ウキ下の決め方などをよく知っています。
学園生全員が池の周りに揃った頃には、釣り祭開始から20~30分が経っており、釣り堀の池に放流されたニジマスを面白い様に釣り上げている人たちが既に何人もいました。ガンガン釣っている人の近くで釣れば釣れそうだけれど、おまつりすると大変なので、とりあえず空いている所に陣取った子たちも。そして、お家の人たちと積もる話をしながら、釣りを楽しみました。
そうこうするうちに、新入園生たちの仕掛けにも、ニジマスがかかり始めました! 熱烈な釣り愛好家のお祖父さんの手ほどきを受け、ヒット!! 釣り場で大騒ぎしてはいけないことをわかってはいても、釣れるとつい歓声をあげてしまうもの。
お家の人に助けてもらいながら、他の新入園生たちも、矢継ぎ早に釣れ…。
この釣りには最低でも一人5匹は釣るというノルマが課せられていました。お昼に行う昼食交流会参加予定人数が43人で、釣ったニジマスの塩焼きを一人1匹ずつ食べる計画だからです。
やはり釣り愛好家である受入農家の父さんの教えで、釣れだした子も。
釣り初体験の子たちもいましたが、おなかを空かせた状態で釣り堀に放たれたばかりのニジマスたちは、ぶどう虫やイクラなどのエサに面白い様に食いつきます。ウキ下を調整し、魚群が移動する場所に糸を垂らしさえすれば、まさに入れ食い状態。
学園生の中ではいの一番に釣り、その後もばんばん釣果を伸ばしていたYkさんは、仕掛けのハリスから先を何度か切られてしまいました。しかし、指導員に頼ることなく、習ったように自分で仕掛けを手早く直し、釣りを再開。
初めに陣取った場所ではなかなか当たりがなかったので、たくさん釣れている辺りに割って入り、竿を振ったところ、案の定 おまつりし、仕掛けを全て作り直すことになった子も! 2週間前に習ったことを忘れており、非常に苦労していたうえに、かみつぶしを落としてしまい、家族皆で探す場面も。長時間ロスしたものの、作り直した後は、たくさん釣れて、楽しめた様。
予想どおり?池に糸を垂らす前に、木に糸をひっかけ、なかなか釣りを始められなかったり、魚が泳いでいる所に上手に仕掛けを落とせなかったりと、前途多難な様相を呈する子たちを見かね、件の農家の父さんが何人も手引きしてくださいました。
初めは農家の父さんやお家の人に手助けしてもらって釣れたのですが、だんだん一人で釣り上げることができるようになり、笑顔を見せる子も。ただ、竿をあげるタイミングが遅く、ニジマスが針を飲み込んでしまっており、針を外すのに手間取ることもありました。
調子よく釣れたのは初めの方だけで、途中で朝食のおにぎりにかぶりつき、気持ちを新たに再開しようとすると、ニジマスではなく自分の服の袖を釣ってしまい、お家の人に釣り針を外してもらう子も…。後半は、ほとんど釣れなかったとのこと。
釣り開始から2時間ほど経ったところで、全体のノルマを余裕で達成している感じになり、一安心。
それでもまだまだ釣り上げようと、日が昇って変化した池に落ちる影に合わせて釣り場を変え、時間いっぱい粘る子やお家の人たちも。誰かが池に落ちるというアクシデントは今年もご多分にもれずありました。粘っていた子たちのいる岸の方に、魚群が移動し、ついに釣れ、さらに釣果を伸ばした子たちもいました!!
学園生たちは9時に釣り堀から撤収。準備と同様 苦戦し、時間がかかった子もいましたが、急いで片づけました。全員ボウズは免れ、独りで十数匹釣り上げていた子も! 全体での釣果は105匹と判明し、車へ運びました。学園生たちも車でセンターへ。
センターに戻ったら、一息つく間もなく外に集まり、センター長に、ニジマスのさばき方を教わりました。魚のさばき方はいろいろありますが、今回はこの後、串に刺して炭火で塩焼きにするので、はらわたを出す下処理だけ。
肛門から下あごまで包丁を入れ、内臓をかきだし、血合いをきれいに取ります。「ヌルヌルする!」とか「気持ち悪い。」などと初めは騒いでいた子もいましたが、次第に皆、真剣に。
下処理したニジマスは、水できれいに洗います。洗っていると、雑に処理してしまったことが発覚し、指で血合いや内臓を取り除くなどしていた子も。学園生たちはもちろん何匹もさばく体験をしましたが、お家の人たちの手も借りたのであっという間に終了。さっきまで生きていた魚を、食べるために自分でさばくという体験を通し、普段食べている魚が自分たちの口に入るまでの過程を知り、命をいただいているということを今一度考えたはず。
次は、魚に竹串を打つ作業です。食育指導員から、ニジマスをうねらせながら、しっかり安定させるような打ち方を教わりました。表面に串がでていると焦げてしまうので、中を通さなければなりません。
焼いている途中に串から抜けて落ちないよう、また、姿よく塩焼きにしたいのですが、結構難しく、「わからない。」「できないよ～。」と言いながら、説明を何度も聞き、試みていた学園生たちでした。失敗して何回も串を打ち直し、身がぼろぼろになってしまったニジマスも…。なんとか50匹に串を打ち終えました!
30分弱 一休みし、午前11時からは、昼食交流会に参加する学園生・学園生の家族・受入農家さん・学園職員 総勢43名がセンターに集まり、皆で昼食を作って一緒に食べるために、早速 役割分担をし昼食準備開始。外では既に、男衆が炭を熾していたので、食堂では、受入農家の母さん4名に先生になっていただき、3班にわかれ、この辺りの郷土料理のひとつである”五平もち”作りスタート。
学園生と、学園生のお母さんや兄弟姉妹・お祖母さんたちは、農家の母さんのご指導の下、まず、炊きたてのうるち米をすりこ木で半殺しに! 何とも物騒な話ですが、炊いたご飯を半分突く（つぶす）行為を言い、もともとご飯でありながらお餅のような状態にする時に半殺しにするのです。1班あたり1.２升ほどの割り当てがあり、つぶすのはかなり大変! すりこ木の使い方を教えてもらって上手に潰したり、ボールが動かないようにしっかり押さえたり。半殺しという行為とは裏腹に、和やかな雰囲気の中、進んでいきました。
次に、各班に16本ないし18本の串が配られたので、半殺しにしたご飯を等分し、同じくらいの大きさになるように丸めました。農家の母さんたちの目分量の的確さに、驚きました!
そして、握ったご飯を平たい串にくっつけ、わらじ型に整えます。先生たちの鮮やかな手さばきに惚れ惚れしながら、皆、見様見真似で一生懸命作りました。机の上に、ぼろぼろとご飯をこぼしたり、到底わらじ型には見えないものを作ったり、焼いたら串からはがれ落ちてしまいそうなくっつき具合のものもあったり…。
外では、農家の父さんたちや学園生のお父さん方 男衆が、熾きた炭でニジマス50匹をあらかた焼き終えていました。ふり塩の加減も、焼き目も良い具合の串刺しのニジマスは、次々に食堂へ運ばれてきます!
五平もち作りの方も終盤にさしかかりました。五平もちのうんちくを傾けながら、手直しが必要なものをさりげなく修正してくださる農家の母さんもいらっしゃいました。できたものを窓から外に渡し、あとは炭火で、表面が乾くまで焼いてもらうことに。
使った調理器具の片づけと並行して、”たれ”作り。今回は、”胡桃味噌だれ”を農家の母さんたちに伝授してもらいながら作りました。胡桃をすり鉢に入れて、すりこ木ですり潰すのは、小骨が折れたよう。ある程度潰せた胡桃に、冷ました緑茶を加えると、あら不思議、真っ白に変化。学園生たちもお家の人たちも驚いていました! 砂糖やみりん・醤油などの調味料を加えて混ぜ、味を調えました。熟練した母さんたちのおかげで、ぱぱっとできあがり!
外では、暑い中、ニジマスに続き、五平もちの両面を乾くまで焼く作業。
そして、胡桃味噌だれを両面に塗って、表面がふつふつとし、少し焦げ目がつくくらいまで炙ります。
その間、学園生たちは厨房で洗い物をしたり、食堂に机を並べて、外から運ばれてきた魚や五平もちを配膳したり。
12時半前、炙られた味噌だれの芳ばしい匂いが漂った食堂。皆で協力して作ったお昼ごはん（特大五平もち・ニジマスの塩焼き・鯖が入った具沢山のお味噌汁・お漬けもの）が完成し、食卓に並びました。受入農家さんごとに卓を囲み、ゆっくりと会食。学園生たちの農家生活の様子を話し合うなど、温かな時間が流れていきました。
もちろんどれもおいしく、残さずきれいに食べた学園生たち。 楽しい時はあっという間に過ぎ、お開きに。農家さんをお見送りして、片づけをし、お家の人たちもお見送りしました。
19/05/29