6月2日
6月2日(日)、日は差さず曇りでしたが、諏訪湖で船の体験活動を行いました。
5時半に起床して急いで準備をし、7時前にはマイクロバスに乗って、一路 諏訪湖ヨットハーバーへ。
5月27日の夜には事前講習会で、諏訪湖について学んだり、船でよく使うロープワークや船の各部の名称を覚えたりして、活動に備えていた学園生たち。
その週の夕方や夜、宿題などやるべきことを済ませ、ロープワークを覚えていないことに不安を抱いていた子たちが自主練習に励む姿がありました。
往路の車中では全員爆睡していましたが、9時少し前からはロープワークテストが行われました。9時過ぎには諏訪湖に到着し、乗艇活動ができるよう着替えを済ませ、ヨットハーバーでの注意事項を聞いたり、準備をしたり、活動支援に来てくださった育てる会東京本部職員の方に挨拶をしたり。そして、班分けと集合・人員点呼の練習。9名がきびきびと動いて2列横隊に並び、番号を言い、報告するということを何度か繰り返しました。水辺で勝手な行動をしてしまうと、命に係わることがあるので、普段とは違い、規律のある団体行動をしなければなりません。次に、ライフジャケットの着方講習。ファスナーとベルトをきちんと閉めて着用し、落水時の姿勢のとり方や着用の効果を学びました。
2班にわかれて乗艇活動をするつもりでしたが、変更。全員一緒に、午前はカヌーに乗ることに。スロープまでカナディアンカヌー4艇とカヤック2艇を運び、
体格を考慮して同じカナディアンカヌーに乗る2~3人組を作り、陸でパドルの持ち方や漕ぎ方・操船方法を練習。自分たちで話し合って、全体が上手くいくようにペア決めをすることは難しく、時間ばかりが経ってしまいましたが、とりあえず決めた後は、乗る場所を決め、腕が疲れない漕ぎ方なども教えてもらいました。
順番に後ろから押してもらい、スロープから一艇ずつ出艇。しばらくはハーバー内で練習することに。
パドルでしっかりと水をとらえ、スイスイと進む艇もあれば、
後ろに乗る人が船長さんで、前に乗る人は船長さんに委ねて指示に従うものなのですが、それができず”船頭多くして船 山に登る”状態の艇も…。結構強い風が吹いていて、堤防に張りついてしまったり、ハーバーから沖に流されてしまったりする艇も。
どの艇も慣れたところで、湖上へ漕ぎ出していくことに。しかし、何も考えずに漕ぐとどんどん沖に流されてしまう カヌーにとっては手強い風が吹いていたので、できるだけ岸寄りを進みました。
カヌーに乗ってパドルで漕いでいると、湖に大量発生している水草のヒシを間近で見ることができました。ヒシは水質浄化に一定の役割を果たしてきたものの、過剰に繁茂し、湖底の酸素不足を引き起こしているという現状を知った学園生たち。
後に乗っている子が、前で漕いでいる子の動きを見ながら、舵取りしたり漕いだりできるようになり、お互いの息も合い、笑顔が見られるようになりました。
乗艇前は一番安定感がありそうだと思われていたペアも、出艇してしばらくの間は苦労していました。お互いが合わせるというより相手に要求ばかりしていたので、力強く漕げるものの、カヌーが蛇行。行きたい向きに直進できず、スピードは速いものの、他の艇の2倍くらいの距離を…。遠く離され、最後尾からようやく皆に追いついて、安堵の笑み。
諏訪湖に流入する河川のひとつにかかる橋の下に、集結。漕がないでいると、風に押されて湖の方に流されてしまうので、橋の下部につかまって艇をその場に保持しようとするカヌーもありました。
初めは揺れて怖がったり、船酔いするのではないかと心配したりしていた子たちも、次第に水上の感覚に慣れ、余裕のピースサイン。
思うように操船できず、出艇した時とは前漕者と後漕者が入れ替わったペアも。後ろに乗った子は、前で漕いでいる子の動きを見ながら、舵取りをしたり漕いだりすることをだんだんできるようになり、艇がちゃんと進むようになりました。
近くの島に上陸したり、足湯方面まで漕いでいくことはできなかったけれど、もう少し 湖ツーリングを楽しみました。そして、それぞれが身につけたパドリング技術を駆使し、カヌー同士をくっつけることに成功! 4艇でぐるぐる回ってみたり、四胴船みたいに進んでみたり…。
そして、ハーバーバック。相変わらず、蛇行しがちな艇もありましたが、皆、コツを掴みパワフルに漕げるようになって、スイスイ進み、すぐにハーバーの湾内へ。
初めはカヌー同士が衝突していましたが、帰着する前の混みあった場面では衝突を回避し、安全に操船できるようになっていました。人力で動かすカヌーの大変さを実感しつつも、お互いの息を合わせ、爽快感や非日常感も味わえたカヌー体験でした!
艇庫内に並べたテーブルと椅子を使用し、12時半過ぎにお弁当タイム。皆、食欲旺盛で、ごはんをたくさんおかわりしていました!
食休みの後、とりあえずカヌーとパドルを片づけることに。ホースで水をかけてスポンジでこすり、きれいに洗いました。片づけは、次の活動の準備にも繋がるのでとても大事です。全員で協力してカヌーを船台に乗せ、艇庫に格納。
午後2時頃からは、セーリングクルーザー(ヨット)を体験することに。まず、船の説明を聞いたり、使われているロープワークや船の各部の名称を確認したり。覚えた”もやい結び”や”巻き結び”が実際にいろいろな所に使われていることを知った学園生たち。
帆走中はもちろんのこと係留しているヨットに乗る時にも、船が傾かないようにバランスをとらなければなりません。一人ずつ、前後左右のバランスを考えながら「ポートサイドでいいかな?」「次はスターボードサイドだね。」などと言って、乗りこんでいきました。
艤装はほぼしてあったのですが、「ジブシートの末端に”8の字結び”。」「ジブセイルとシートを繋ぐために”もやい結び”をして。」と指示が出されると、自信がないため尻込みする子たちも。ちゃんとマスターしていた子が、しっかりと結びを施しました!
ハーバーから湖の真ん中辺りに出るまでは機走し、風上に船首を向けてセイル(帆)をあげることに。しかし、ヨット用語を覚えていなかったので指示されたことがわからず動けなかったり、不安定な船の上での作業が難しかったりしました。力いっぱいハリヤードをひき、なんとかセイルをあげたら、帆走開始。
風の力だけで船が進むということを体感! 子どもたちはただヨットに乗っているだけではなく、常に艇の前後左右のバランスを考えて座る場所を判断し、おもりの役割と、周囲を見張るワッチに徹します。
セイルに追い風を受けて進む場合は理解できた学園生たち。しかし、ヨットは風上に対して約45度の角度まで進むこともできるので、そのような走り方を体験すると、わかったようなわからないような様子。つまり、セーリングの方角は360度から90度のデッドゾーンを除いた範囲。目標物がデッドゾーン以外にあるのなら、一直線に走ることができるわけですが…。
ヨットにとっては結構良い風でしたが、子どもたちが操船するには少し強い風が吹いていました。でも、せっかくの機会なので、希望する子は、舵とメインセイルを操作するスキッパー(船長)の役割を体験することに。重責を感じながら、Ykさんのチャレンジ!
行きたい方向に船首を向けるために、舵を動かすためのティラーを押すのか引くのか、風はどこから吹いていて、セイルをどのくらい出したり引き込んだりすればよいのか、そんなことを瞬時に考えて動かなければなりません。頭と体をフル回転させます。
「スターボードタックのアビームで走らせて。」などと言われても、初めは何を言われているのかあまり理解できず、ティラーの操作も上手くできませんでしたが、コツを掴むと皆を怖がらせるような操船ではなくなり、安定。 「ポートタックのアビームで。」と指示されると落ち着いてベアリング(風下に方向を変えること)したり、「タック!」と言われたらゆっくりとタッキング(風上を通る方向転換)したりできるようになり、セーリングの楽しさを少し味わえた様。湖上からは、遠くに穂高連峰・槍ヶ岳などを眺めることもできました!
次は、Hoさんがスキッパー、Ykさんがジブトリマー(ジブセイルをトリムする役割)で帆走。「ティラーを引く!」「もっとティラーを押して!」などと言われ、上から引っぱりあげようとしたり、下に押さえつけたりしていたHoさん。風上側に座っているスキッパーの位置から、”押す”というのは風下側にティラーをきることで船首は風上に向いていき、”引く”というのは風上側にティラーを動かすことで船首は風下に向いていくわけです。ティラーを”押す””引く”の正しい動作に合点がいくと、「そういうことかぁ。本気で押したり引いたりしてた。」と弁明していました。
その時、スターボードサイド(右舷)で、おもりとワッチの役割を担っていた子たち。クォーターで走っていたので、艇はほとんど傾かず、体重移動をする必要もなく、あまり緊張感がない状態。しかし、強い風が吹いている所に入ったり、クローズホールド(風上に向かって約45度の上り角度の状態)で走ったりすると、艇の傾きが大きくなるので、傾きを抑えるために右舷から左舷に移動する必要があります。
ポートサイド(左舷)に乗っていた子たちも同様。乗艇時間が長くなってくると、少しの傾きでも感じとって左舷から右舷に移動したり、他人に指示を出したりできるようになった子もいました。
Hoさんがジブトリマーをし、大人が舵を取り、何度かタッキングもしてみました。新しく風下になる方に素早くジブシートを引き込み、艇の傾きをつぶすために新しい風上側にタイミングよく移動する必要がありますが、よくわからないなりにもだんだん自分たちで動けるようになりました。
時間は押していたものの、ヨットを操船できる機会なんてほとんどないのだからと促され、1年目の子でティラーを握った子もいました。何が何だかわからないくらい難しかったけれど、楽しかった様。
セイルをおろして機走し、ハーバーバック。セイルを片づける際に、本結びをする必要がありましたが、やはり四苦八苦する子もいました。桟橋に着艇すると、下船して人員点呼。風の力で、湖を自由自在に走れるヨットの魅力を感じたり、楽しさや心地よさも味わえたりした体験となりました。
使ったものの片づけをし、最後に、一日お世話になった諏訪湖に挨拶をして、ハーバーを後に。一日 活動したうえ、陸揺れしている子もいて、帰路の車中も、おやつを食べる時以外 全員爆睡でした…。センターには午後7時ちょっと前に、無事に到着。
19/06/07