8月24日
時間差はあったものの20日に、元気に帰園した学園生たち。なかなか生活リズムを取り戻せない子もいる中、2学期初めての週末を迎え、中央アルプス・木曽駒ケ岳 登山を決行。帰園早々、登山のミーティングがあり、装備を揃え、あれよあれよという間に当日を迎え…。まだ休みボケ?が抜けないままの子どもたちでしたが、お天気は良さそうなので当初の予定通り山行計画を遂行することにしたのでした。
木曽駒ケ岳 登山といえば、バスとロープウェイでおよそ2,600mの千畳敷カールまで行き、標高差300mほどを登れば山頂に立てるコースがポピュラー。しかし、学園の登山はそんなに甘くありません。登山ルートはいろいろあり、伊那谷側から登るコースもあれば、木曽谷側から登るコースも。今回は、上松Aコースという、木曽側から登るかなりきついルートを選択。早朝に起床しマイクロバスに乗りこみ、2時間ほどで上松町の登山口まで。そこで、シャリバテしないよう、朝食のお弁当をしっかり食べ始めました。ところが、ここで懸案事項が勃発。待てど暮らせど食べ終わらない子たちが! かねてより食事にかかる時間が長かったうえ、夏休みで輪をかけて遅くなっていたり、車酔いで気持ちが悪く食べ進められなかったり。結局、8時から歩き始める予定が、随分遅れてしまいました。
8時45分 標高1,070mの上松Aコース登山口。これから待ち受けている苦難も知らずに…。
リュックサックの肩紐や靴の紐を調節。
滑川沿いに、川音を聞きながら石のごろごろした上り坂を歩くこと25分。2合目 敬神の滝山荘前に到着。
トイレや登山届提出を済ませたり、衣類の調整をしたりするため数分の休憩をとり、本格的な登山道へ。
しばらくは、ヒノキなどの薄暗い林の中を歩くことに。一列になり、初めは遅いと感じるくらいのペースで登り始めましたが、次第に息が乱れる様子の子たちも。
10時15分頃、4合目を目指し、登り続ける学園生たち。登山道には、頂上を10合目とするとどの辺りまで登ったかがわかる看板が整備されており、目安や励みにすることができます。しかも3合目・3合半・4合目・4合半といった具合に半合ごとに看板表示があり、とても親切。裏を返せば、非常に長い登山道だということでしょう。
急な登りばかりではなく、時々は緩やかな登りの所もありました。しかし、展望のきかない、代わり映えしない景色に、疲れてくるので、2合半辺りから全員で”しりとり”をしながら、どんどん登ったのでした。それまでの小休止と同様に、4合目に着くと、荷物をおろし、座り込んで水分補給をしたり、行動食を食べエネルギー補給したりしていた学園生たち。中には弱音を吐く子もいましたが…。
また歩き出し、何度か終わりかけたしりとりをなんとか続けることで、苦しさや単調さを紛らわせながら、4合半を目指します。
ようやく広葉樹が現れ明るい林となりました。
4合半から5合目。傾斜は次第に急になり、しりとりのテンポも悪くなり、押し黙る子どもたち…。
息が乱れる子もいましたが、頑張って歩を進めるのみ!
もうすぐ半分の5合目。力を振り絞って登ります。
登山開始から3時間。11時45分、金懸小屋のある5合目に辿り着いたので、大休止。ベンチに腰かけ、おにぎりや行動食を食べたり、
近くに、細かったものの金剛水が流れていたので、空になった水筒に早速汲みに行ったり、トイレに行ったり。
30分後、5合目までぐすぐすしていた子も意を決し、皆とともに登頂を目指すことに。気持ちも新たに、再出発! 崩落注意の箇所を慎重に歩きます。
古くから霊神としてあがめられている金懸岩と呼ばれる岩の横を通り、
胸突き八丁を過ぎ、
ラクダの背と呼ばれる尾根を越え…。
急な道が続きますが、呼吸が乱れるほどの速さでもなく遅くもない、とても良いペースで高度をあげていきます。しばらく歩き、景色が開けた所に出ると、歓声をあげていました! 倒木上更新やギンリョウソウの話なども聞きました。
しかし、すぐに眺望もきかない苦しい登りが続きます。楽しくしりとりをしながら登っていたのは遠い昔のよう。お通夜のような雰囲気…。
5合目から小休止を挟みつつ、1時間15分かけてようやく6合半に。随分くたびれたと見えて、休憩が待ち遠しくてたまらなくなっていた子どもたち。「休憩!」の声がかかると、すぐに荷物をおろし、腰を下ろして、行動食や水分を補給。
天の岩戸と呼ばれる大岩を越え、7合目を目指します。
苦しくても、一歩一歩足を前に出すしかありません!
木曽谷の町並みが眼下に一望できる箇所では、皆 少しテンションが上がっていました。
小休止の後、14時10分頃には7合半へ向かう道を黙々と登っていた学園生たち。辺りの木々は、だんだん低くまばらになり、森林限界に差し掛かったことを示していました。
14時55分、8合目に到達! 15時に山頂に着く予定が、大幅な遅れ…。少なくともあと2時間はかかりそう。皆 かなり疲労していましたが、「何、食べようかな?」とこまめにおにぎりや行動食を口にして、エネルギーチャージ。
灌木帯となり明るくなってきて、だいぶ登ってきたという実感がわいた学園生たちでしたが、急にガスがわき、視界がきかなくなった中を歩くことに。
石神群を見ながらハイマツ帯を行くと、木曽前岳頂上を経由する道と巻く道の分岐があり、時間的に少し短い巻き道を進むことに。しばらく、お花畑の中を歩いていきます! トリカブトやミヤマリンドウ、色とりどりのたくさんのお花が目を楽しませてくれたのですが、注意深く歩かないと踏み外しそうなほど道幅が狭い所や、足元が見えないくらい草が生い茂っている所もありました。なので、ほとんどの子はお花畑を楽しむ余裕はなかった様。
途中、大ナギという急な沢の崩れを横切る所が!
それほど危険な箇所ではありませんが、「怖い!」「死んじゃう!」と大騒ぎする子も。前の方を歩いていた子たちは、そこを通過すると、後から来る子たちを心配そうに見守っていました。
半泣きで腰が引けてしまう子もいましたが、一人ずつ、時間をかけて慎重に横切り、全員 無事にクリア。
楽しみにしていた展望は、ガスで全く見えず残念でした。その後、完全に岩とハイマツの森林限界の急登を45分ほど、まさに一歩ずつ一歩ずつ…。これまでの登りで疲れた身体には、かなりこたえます。
16時半。ようやく9合目の玉ノ窪山荘に着きました! 最後の休憩をしていると、かなり寒くなり、防寒着やレインスーツを着込む学園生たち。
17時には山頂に着きたい一心で、信仰登山の歴史を物語る石仏を見ながら、最後のひと踏ん張り! 苦しみながらも歩き続ける学園生たち。
30分登り続けると、頂上木曽小屋に到着! さらに一息登ると木曽駒ケ岳頂上ですが、17時を回っていたので、とりあえず山小屋へ入ることに。この日は、山小屋がとても混んでいたので、言われた場所に荷物を置き、一息つきました。数分で登頂できるのですが、外はガスって真っ白だったことと、第一陣の夕食時間が近かったので、登頂は明朝に持ち越し。着替えたり、荷物整理をしたりして、
一陣・二陣にわかれ、食堂へ行き、山小屋での注意事項を聞いた後、夕食。おかわり自由のカレーライス・サラダ・ゼリー・ジュース…。8時間15分かけて、上松Aコースを登ってきた学園生たちに、サービスをしてくださった様です。
二陣の子たちは、忘れないうちに登山の感想を書き留め、一陣の子たちが夕食を食べ終わった後、食堂へ。朝から何かしらずっと食べたり水を飲んだりしていたので、それほど腹ペコではなかった様ですが、しっかり食べました!
トイレを使ってみたり、歯みがきをしたりして、山小屋のルールやマナー、水が貴重だということを知った子たちも多かったです。低い天井や梁に何度も何度も頭をぶつけてしまい、「もう〇〇回目!」と数えている子も。消灯は20時半。19時すぎから布団を敷きゴロゴロしながら、「まだ眠たくないよ。」「そんな早い時間から眠れない…。」と言って、小さな声でおしゃべりをしていた子たちもいましたが、皆 20時前には眠りに落ちました。標高差およそ1900mの登山を、本当によく頑張った学園生たちでした!
19/08/27