1月10日
1月10日(月)、前日に引き続き、小正月の御飾り作りをすることに。第二弾は、繭玉作り!! 繭玉は、米の粉を練って繭の形に丸めたものをビンカ・ソヨモ・ツゲなどの木にならせて、大黒柱にしばりつけて飾ったり、石臼などに立てて飾ったりするものです。昔は、お蚕さまは、農家にとって大きな収入源だったので、養蚕の神様は大変大事にまつられたそう。繭玉には、蚕の成長と同時に農作物の順調な生育を祈願する意味が付されています。
中学生女子3人が部活に行ったので、9人で、10時頃から常緑小高木のソヨゴ(売木ではソヨモという)を探しに出かけました。収穫祭の“自然への感謝の式”の時に、ヒモロギや玉串などに用いた、学園生たちにも身近な存在の植物。特徴を確認し、自分たちで見つけてみます。しばらく歩き、ソヨゴが生えている場所で、3人ずつにわかれ、良さそうなものを選び、のこぎりで数本切ることに。この後に作るお団子を枝先に刺すので、枝ぶりの良いものを見繕いました。ただ、ソヨゴは成長がゆっくりなため、適当なものを見つけるのはなかなか難しかった様。時間をかけて選んだソヨゴを切り、センターに持ち帰りました。
次に、食堂でお団子作り開始。二十日正月まで飾っておくのではなく、数時間飾ってすぐに食べる予定で、今回は繭玉を作ります。米の粉に熱湯を少しずつ注ぎ、お箸で混ぜ、ポロポロになってきたら手を使ってこねるのですが、非常に熱いうえに、注ぐお湯が適量でないと、うまくこねてまとめることができません。指導員が、米の粉に熱湯を注いで、ある程度 生地をまとめるところまで行い、粗熱がとれた生地が入ったボール二つを受け取った子どもたちが、手粉をつけて、手のひらの下半分を使い 恐る恐る練り始めました。注いだ熱湯が、粉をこねたりまとめたりするのにちょうどよい分量だったよう。この作業、実は以前に朴葉もちを作った時にしたことがあるので、自分の順番がまわってきたら、しっかりと手粉をつけ、なかなか上手に生地を練っていっていました。よくありがちな、手のひらや指に生地がべっとりつき八方塞がりになる…というようなこともありませんでした。
順番にこねていき、どうにか生地をひとつにまとめるように練れたら、生地を四つのボールにわけ、三つのボールに赤・緑・赤と緑 の食用色素を溶いたものを加えました。白色と桃色と薄緑色と薄紫色のお団子をソヨゴに生らせ、華やかに賑やかにするためです。しっかりこねることが大事なので、手のひらの下半分を上手く使い、力強く作業をしていきましたが、色水を加えたため軟らかくなりすぎ、生地をひとつにまとめ直すのに苦労することになったボールもありました。
続いて、曲がりなりにもできた 四色の、小さくちぎった生地を、一般的な繭のイメージである中央が少しくびれた長楕円形に形作っていく工程。見本を見て、作り始めた学園生たちでしたが、ソヨゴを探しに行った時に見つけた本物の繭の形とは違うので、首を捻りながら作っていた子もいました。初めは、「こんな感じ?」と聞いたり、べたべたと触りすぎたり。「雪だるまみたい!」と言う子がいたり、繭玉に亀裂が入ってしまったのを見て「誰?お尻みたいなのを作ったのは?」と皆で笑い合ったり。そうこうするうちに、皆 手つきもだんだん慣れてきたようで、ころころしたかわいらしい形や、整った形に仕上げられるようになりました。
形作った繭玉を蒸し器に入れて、二・三十分蒸す間に、食堂を片づけ、一旦 自由時間に。
蒸しあがった 繭に模したお団子は、透明感がありつやつや。蒸す前は、変な色だった薄紫色の繭玉も、「えぇーっ! こんな色になるの?」と驚く子がいるくらいきれいな色に!! それらを、ソヨゴの枝先に刺す作業に移りました。枝先についている葉をとり、そこに繭玉を刺すことにしたのですが、いい加減に刺すと、枝先が折れてしまったり、繭玉がすぐに外れてしまったりするので、皆 慎重に作業していました。
また、全体の枝に四色の繭玉をバランスよく配したかったのに、気づくと同じ色のものばかり固めて配置してしまった枝も…。最後の方には、全部で八十個ほどの繭玉を刺せるだけの枝先が足りなくなり、二つの繭玉を刺したか所もありました。そんなわけで、伐り出してきた数本のソヨゴの全ての枝先に、繭玉を刺すと、かなり枝垂れた状態に!! 繭玉の重みでたわみ、バランスが悪くなってソヨゴが倒れたり、繭玉が落ちてしまったりしましたが、なんとか飾り終えました。 昼食をとり、食休みをした後、村内某所へ雪遊びをしに行きました!
雪合戦をしたり、大きな雪だるまを作ったり、ソリ滑りをしたり。歓声をあげながら遊んでいましたが、もめごとも起きた模様…。ソリ滑りの初めは、あまり滑らなかったものの、皆が滑れば滑るほど、雪が固まりスピードが出るようになりました! ソリのスピード感に慣れてくると、より速さを求めて、ひとつのソリに二人乗りする子たちが現れました。スピードやスリルを楽しみ、転倒して雪まみれになっていましたが、笑い声が絶えませんでした! 1時間半ほど、それぞれ存分に遊びました。午後2時40分頃からは、来年度の山村留学を考え、体験留学に来た子たちも加わりました。
その間に、前日に作った小正月の御飾り「ハザ」を作るのに使う オニギの材料となるフシノキ(ヌルデ)を村長さんがセンターの玄関前に運んできてくださいました。(材料の伐り出しはただでさえ大変な作業なのに、雪も降ったので子どもたちには困難だろうと、村長さんが役場やご自宅用に材料を用意する際、学園分も含めて揃え 整えておいてくださったのです。)そこへ、修園生たち(33期に中学3年生だったHさんとSさんとお家の方々)が登場!! 一昨年前の夏から延期になっていた村の成人式に出席した後、センターに寄って顔を見せてくれたのです。せっかくなので、二人の修園生にオニギを作ってもらうことに。
枝を払った2m弱ほどのフシノキを、のこぎりで三等分にし、それを自立させ、鉞でパッカ~ンと。そんな作業は数年ぶりだったので、鉞を振り、一発で割れたわけではありませんでしたが、昔取った杵柄で、鮮やかな手つきでのこぎりをひき、コツを思い出すと、鉞できれいに半分に割ったり、四分割にしたりして快感を味わっていました。指導員におだてられ、結局、いただいたフシノキの半分くらいをオニギにしてくれました!
午後3時半頃、学園生たちと体験生たちが雪遊びから帰ってきたので、急遽、前日にヒノキや雑木で作ったオニギの長さに合わせて、2m弱のフシノキの幹をのこぎりで切る作業をすることに。村長さんが、木の上下がわかるように置いていってくださったので、運ぶ時にわからなくならないように気をつけながら、直径10cmほどの太さのフシノキを切るのは、なかなか骨が折れる作業でした。
どうにか玉切りにしたフシノキから、みかん割りにしていきました。自立させることができたフシノキに、鉞を振り下ろし、見事 真っ二つに割って、本当にフシノキはとても割り易い木だということを証明してみせた子も!! 前日と同様に、手斧や鉈の刃を丸太の断面に当て、ハンマーを使って少しずつ割っていくことにした子たちもいました。
残りのフシノキの幹も、のこぎりで適当な長さに切り、自立させて、丸太の小さい断面に鉞の刃を打ち下ろしました。的が小さいので難しかったようですが、皆の注目を集めながら、気持ちよく割ることに成功した子も。細いものは二つ割りに、直径が10cmほどのものは四つ割りにしました。フシノキは、やわらかく割れの良い木で、節があってもわりときれいに割れることがわかりました! 前日に一応、ハングリ様の周りに中が見えないくらいたくさんのオニギを立てかけ、ハザは完成していたのですが、さらに多くのオニギを用意することができました。できたオニギは、上下を間違えないように一旦置いておきました。
それから、午前中に作った繭玉飾りを、火で軽く温めて食べることにしました。火の周りに、繭玉を枝先に刺したソヨゴを持った学園生たちが集まると、色とりどりの花が咲いたようでとても華やかでした!
売木村では、二十日正月まで繭玉を飾っておき、食べないようですが、今回はいわゆるどんど焼きでお餅や繭玉を焼いて食べることを真似てみることに。目の前の炎で焼いた繭玉が食べごろになると、口に運び「おいしい!」「うまい!」などと口々に言っていた学園生たち。中には、味つけがされているわけではないので、想像していたよりおいしいものではないなぁと思いながら口にしていた子もいた様。
もちろん、体験生たちにもわけてあげました。最後にはソヨゴから繭玉を外し、焼き網で焼き、一人四つずつおやつとして食べました! どんど焼きもどきではありますが、縁起物なので、繭玉を食べることによって、一年の無病息災を祈ることもできたのではないかと思います。
その後、昨日作ったハザの表面に、上下を間違えないよう気をつけて、先ほど用意したオニギの、白くてきれいなフシノキの割った面を外側にして立てかけました。オニギの量が格段に増え、グレードアップしたハザになりました!! 今年も豊年満作でありますようにとの願いを、さらに込められました。
22/01/15