2月5日
2月5日(土)の午前中に、太鼓の鋲打ちをしました。先週末に、破れた皮を留めていた鋲を外し、張り替える皮をロープで引っ張ったり、皮の上にのって皮の表面を伸ばしたりした一尺五寸の太鼓。その後も、バチで打って響きを確かめながら、皮を引っ張り、耳を落としていく作業を繰り返していました。2日(水)には、不安定だった装置の土台を組み直し、更に皮を引っ張り、耳を打って落とし、音を確認するということをリピート。
そして、皮が十分伸びてしっかりと張れ、バチで打ってよい音が出るようになったと、皆が同意したので、鋲を打つことに。張った皮の外側から太鼓に、ネイルハンマーを使い、一列目の鋲を打ち込んでいきます。きれいに並んだ鋲の列にするために、次に打つ鋲の場所が一目でわかるような 当てがって用いる道具を作ってから打つか、何もせずに鋲を打つか、相談した結果、大体でよいのでは?という意見が多かったので、縁からどのくらいの所に、隣の鋲とどれくらい離して打つかを、一回一回 目測してから決めていくことになりました。鋲打ちは一人ずつしかできないので、順番待ちの子たちは、先日 皮剥がしで抜いた際に曲げてしまった鋲を、再度使えるよう真っ直ぐに直す作業に従事。
簡単そうに見えて、鋲打ちをするのは難しいようでした。初めは、太鼓に向き合って立ち、正面から鋲を定位置にハンマーで打つ子が多く、鋲の胴部が全然入っていかなかったり、鋲を遠くへ飛ばしてしまったり、ぐにゃりと曲げてしまったり…。太鼓に対してどこに立ち、ネイルハンマーをどのように振ればよいかということをアドバイスされると、取り入れて実践していく学園生たち。なんとか数個打ちつけたら、次の人にハンマーを託します。
何巡目かに入ると、言われなくても自分で良い位置に立ち、鋲を横から見ながらハンマーで鋲の頭部を二、三回打って真っ直ぐに打ちつけることができるようになった子たちも!! 慣れて、ものの数十秒で、次に控える子にハンマーを渡した子も!
一方で、なかなかコツを掴めなかったり、軽く打ったのに鋲を思いのほか遠くまで飛ばしてしまい、拾いに行かなければならなかったり、装置の土台の周りで、曲がった鋲を真っ直ぐに直そうと集中して取り組んでいた子たちに、飛んだ鋲が当たり、危険な目に遭わせてしまったりすることも…。目測ではあるものの適当な位置に鋲を打ち込み始めても、打ち終えた時には随分ずれた所に傘のような鋲の頭部が!! また、鋲の頭部を様々な角度から打ちつけ、案の定 鋲が折れて頭部と胴部が離れてしまったり、鋲の胴部が徐々に曲がっていくような打ち方を強引に続けた結果、抜き取らなければならなくなったり…。そして、別の鋲を打ち直すはめに。そんなわけで、ぐるりと一列目の鋲を打ち終えるのに、開始から一時間半弱もかかったのでした。
その間、先日 曲げてしまった鋲や、この日に打ち込みながら酷く曲げてしまったため抜き取った鋲を、
もう一度使えるよう真っ直ぐに直すことに躍起になっていた子たちもいました! 装置の土台の足元に、曲がった鋲や、直して使えるようになった鋲が転がっており、鋲打ちをしている子が踏んでしまいそうになる危ない状態の時も。鋲を真っ直ぐに直していた子たちにとっても、上から鋲が飛んで降ってくることがあり、お互いに気をつけながらの作業となりました。
二列目に打つ鋲は、一列目の鋲に被せるように打てば勝手に収まる感じでした。一列目と同じように交替しながら、数個ずつ打ち込んでいくことに。相変わらず鋲を飛ばしたりひん曲げたりする子たちはいたものの、慣れた様子で定位置に上手に打ちつけられるようになった子が増え、三十分ほどで二列目の一周は終了。
鋲を打ち終えた太鼓を確認。決して整然と並んでいるとは言い難いですが、皆で復活させた太鼓の個性だと思うことに…。最後に、皆で息を合わせながら、ゆっくりジャッキをダウン。テンションをかけていたロープを緩めたり、太鼓を締めていたベルトを外したり。そして、角材を片づけたり、結びつけていたロープをほどいてまとめたりしました。どうにかこうにか、一連の太鼓の皮の張り替え作業が終了!! これから、よみがえった太鼓を大切に扱ったり打ったりしていきます。
結構な積雪となったので、午後は雪の活動をすることに。スノーシューとノルディックスキーの2グループにわかれて体験。
スノーシューとは西洋かんじきのこと。和かんじきと違い、裏側に爪が付いているので滑りやすい斜面でも上り下りしやすくなっています。また一般的にはべた雪よりもサラサラの雪に適していると言われています。今回は適度に雪が積もり、なおかつサラサラ雪のためスノーシュー体験にはベストなコンディションでした。
全員スノーシューをはくのは初めてだったのでまず室内でスノーシューの仕組みなどを勉強したのち留学センター前の畑に移動してスノーシューを装着して歩く練習をしました。
スノーシューは体重を分散させるために大きいサイズになっています。普段より足が大きくなっているので自分で自分のスノーシューを踏んで転ばないように気をつけます。また、歩きやすいようにかかとがスノーシューから上がるようになっているため、バックするときに普段通りにバックするとスノーシューが雪から上がっていなくて後ろ側が雪に刺さって転んでしまうのでバックするには少しコツがいります。
最初は「大して変わらないから長靴で歩いた方がらくじゃない?」と言っていた子たちも深い雪の場所で雪の上を体が浮いた感じで歩けるスノーシューの感覚が分かってくると走ってみたり、ちょっとした斜面を裏側の爪を上手に使って駆け下りたりして楽しんでいました。
だいぶ慣れてきたので春にシイタケの原木を並べたり、夏にキャンプをしたりした留学センター下の森の中に行ってみました。
スノーシューを使っての散歩は人が歩いて踏んだところよりも踏まれていない場所を歩くと気持ちがよくて楽しいです。
ひとしきりスノーシューハイクを楽しんだ後は「尻滑り」大会です。
裏側の爪を上手に使い斜面を頑張って上ります。雪が積もった斜面の上を何回か滑り自分たちでコースを作ります。最初はなかなか滑らなかった斜面も圧雪されてくると調子よく滑るようになり、リュージュの選手までとはいきませんが最終的には雪煙を上げながら豪快に滑る子も出てきました。
最後は留学センター前の雪原に移動し大雪合戦大会です。今回の雪はサラサラのため雪玉を作るのが少し大変です。手でしっかり固めて雪玉を作ります。スノーシューをはいているため相手を追いかけたり逃げたりするときに「長靴の時より早く移動できて楽しかった」とみんなスノーシューの威力を実感できたようでした。
一方、幸運にもブーツのサイズが合い、ノルディックスキーを選択したのは4人。道具合わせを行い、スキー板を受け取ると、アルペンスキーの板を持った時と比べ「めっちゃ軽い!!」と口々に言っていました。スキー板の履き方・脱ぎ方を覚えた後、道具を装着し、まずセンターの敷地内を歩いたり走ったりしてみた4人は、アルペンスキーとは異なり、つま先だけを固定し、かかとは固定しないスキー板の扱いやすさに満足した様子。細かいことを教わらなくても自然に体を動かせていました。もちろん滑ることもできるので、センターのスロープや畑に下りる緩やかな傾斜を滑ろうとしたのですが、全く滑らず…。原因を調べてみると、スキー板の裏側に雪が分厚く付着していたのでした。そこで、くっついていた雪や氷を取り除き、ワックスを塗ってから、再挑戦。「うわっ! すごく滑るようになった!」「きゃーっ!!」「やばい! こけるっ!」などとそれぞれ叫びながら、転倒していました!! 滑走面にワックスを塗ると、それまでは容易く上れていた斜面を上れなくなり、後ろ向きに滑り落ちていったり、「どうやって上ればいいの?教えて~!」と騒いだり…。そんなこんなで、足慣らしができたので、道路の端に残っている雪の上などを選んで歩き、以前にソリ遊びをした某所へ向かいました。
ノルディックスキーには、アルペンスキーとは異なり、板の底面に 滑り止めのあるキックゾーンがあるので、滑るだけでなく、緩やかな傾斜であれば普通に歩くことができ、積雪期のハイキングにはもってこいな道具。除雪が全く入っていないらしい、人跡未踏の道をどんどん上っていきます。初めは、思い思いに歩いていましたが、滑り降りてくる時のことを考えると、一列になり、前の人が歩いたトレースを追うように歩き、踏み固めていった方がよさそうだということに。先頭を買って出た子は、膝まで雪に埋もれながらも、スキー板とストックを巧みに操り、ラッセル車のように前へ前へと進んでいきました。動物の足跡を探したり、周りの自然を観察したりしながら、のんびり行こうと申し合わせていたにもかかわらず、周囲には目もくれず、歩くのが速いこと速いこと! 途中、「なんか、かかとが痛いかも…。」と訴える子がいましたが、そのまま歩きつつ、雪面にストックで文字を書いて遊んだり、雪に足を取られ転んでは起き上がったりしながら、休憩もせず、一気に目的地まで上りました。
頑張って長い距離を歩き、高い所まで上ったので、ひと休み。深呼吸をして新鮮な空気をいっぱい取り込みました。また、全員のスキー板の裏面に雪が付着していたので、取り除き、快適に滑るためにワックスを塗布。あとは滑り降りるのを楽しむのみ! 誰から滑るかを決めて、滑り始めました!「わーっ!! 滑る! 止まらない!!」
きゃーっ!!」という叫び声とともに、しりもちをついて止まる子、そこにぶつかるのを避けるためにトレースから外れ、わきにそれようとしたものの、深い積雪に膝下が埋まる感じになり、バランスを崩し 雪にダイブするような形になってしまった子…。初めはアルペンスキーのようにプルークスタンスで滑っていましたが、次第に板を揃えて滑るとスピードが出て楽しいということがわかった4人。
一番下まで一気に滑り降りたいところでしたが、途中で数回止まり、全員が無事に滑り降りてくるのを待ってから、また滑り出すようにしました。滑り出す時に、コース上に戻ろうとすると、スキー板の上に雪がたくさん載っていて なかなか抜け出せないこともありました。だんだんとうまく滑るコツをつかみ、長い距離を転ばずにシューッと滑る気持ちよさや、止まりたいところで止まれた時の嬉しさを感じられた子たちも! 雪の深い所に突っ込んだり、自分の板を踏んでしまったりして転ぶと、深い雪の中でもごもごするばかりで凄く体力を消耗し、起き上がることの大変さを痛感していた子もいました。
静かな雪景色の中、自然を独り占めにしたような気分で、それぞれ滑り降りてきました! 坂の一番下まで滑り終えると、口々に「楽しかった~!!」「あんなに時間をかけて上ったのに、滑り降りるのはあっという間だった!」「上るのは大変だったけど、滑るのは楽しかったね!!」などと言い、にっこりしていた4人。センターまで板をつけたまま雪の上を歩いて戻り、板を外し、ブーツを脱いだ途端、「痛い!」「いたたたたっ!!」と、悲鳴が。靴下を脱いだかかとを見てみると、一人を除いて皆、靴擦れができていたのでした。水ぶくれになっている子、皮がベロ~ンとめくれてしまっている子…。お風呂に入った時、凄く傷にしみて痛かったそうですが、ノルディックスキーの楽しさを知ってしまったので、これに懲りず、機会があればまたやってみたいと話す子もいました!
22/02/11