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売木村の山村留学ブログ

2月6日

2月6日(日)、こんにゃく作りを体験することに。9時半からの活動前ミーティングで、「日頃口にしているこんにゃくは何からできているか知っている?」「まさか、板こんにゃくが木に生っていると思っている子はいないよね~。」と聞かれた学園生たち。皆、笑っていましたが、後で「こんにゃくは海藻か海の何かからできていると思っていた。」と白状した子が…。「こんにゃくは、こんにゃく芋からできている!」と数人の子どもたちから正解が出たので、全員 こんにゃく芋について最低限知っておくべきことを頭に入れました。講師として、岩倉地区にお住まいの、知恵袋であり何でも作れるスーパー母さんにお越しいただき、ご挨拶をしてから、活動開始。

粘膜や皮膚に、こんにゃく芋に含まれるシュウ酸カルシウムが少量でも触れると、かゆくなったりヒリヒリしたりする人が多いので、手を洗った後、全員 ゴム手袋を着用しました。大きなこんにゃく芋二つは、食育指導員が村人から譲っていただいたもの。母さんは、「大きなお芋だねぇ。」とおっしゃりながら、塊になっている芋を小分けにしようと力をかけました。包丁で切って分けると、無駄にしてしまう部分が増えるので、芋に体重をかけて手でばらばらにした方がよいそう。しかし、「かたいねぇ…。」と母さん。少し包丁も使って、扱いやすい大きさに分けた芋 数個を、消極的な姿勢の子が多い中、厨房の流しへ持っていった数人。ゴム手袋をはめた手で 皮についている土を水でよく洗い流します。

次に、包丁で芋の皮を剥きます。母さんが、「こんなふうに…。」と、廃棄部をできるだけ少なくするよう、包丁で皮を薄く剥いてみせてくれましたが、自信がないらしく なかなか手を出さない子どもたち…。ピーラーを使おうかという話も出ましたが、ピーラーでは剥けないような状態だったので、思案した女の子たちが「じゃあ、やってみる。」と、芋と包丁を手にし、トライ。「こんなこんにゃく芋、見たことないわ。ヤツガシラみたい。かたいし、白いし…。」とおっしゃりながら、さくさく剥いていく母さん。母さんのように慣れた手つきではなかったけれど、真剣に包丁で皮を剥く女の子たちを、男の子たちは遠巻きにして見ていました…。ゴム手袋を包丁で切りそうになり、怖かったと女の子たち。

どうにか手分けして皮を剥いた芋を、今度はさいの目切りに。皮剥きを忌避した子たちに、芋とまな板と包丁が引き継がれました。母さんが「お味噌汁に入れるお豆腐くらいの大きさに切ってね。」と、見本を示してくださったので、危なっかしい手つきながら、子どもたちも同じようにカット。この時も、母さんは芋の白さとかたさがとても気になるようでした。二つのお鍋で同じようにこんにゃくを作るため、細かく切った芋は、二つのボールに同じ量ずつわけて入れました。

手があいていた 計算が得意な小学生は、先ほど計量した芋の重さから、この後 加える凝固剤(草木灰や消石灰などのアルカリ物質。いろいろありますが、今回は炭酸ナトリウムを使うことに。)の量を算出。キッチンスケールで量り、適量のぬるま湯に溶かしておきました。二つのボールにわけた芋は、二か所で ぬるま湯と一緒にミキサーにかける段階へ。芋の大きさによって含まれている水分量が違うので、ミキサーにかける時に加えるぬるま湯の量を加減する必要がありましたが、そこは母さんの長年の勘に頼りました。

もう一方のミキサーの容器にも、適量の芋とぬるま湯を入れて、二十秒ほどスイッチオン。細かく砕き、かきまぜられたその液体を鍋にあけたら、また 芋とぬるま湯を入れ、ミキサーにかけ、鍋にあけるということを、芋がなくなるまで繰り返しました。秒数を口に出して数えたり、中身が飛び出さないようミキサーの蓋を押さえたりしていた学園生たち。やけに白い液体に、母さんは首を傾げておられましたが、「なんか、おいしそう…。」と言いだした子も! こんにゃく芋には強いエグ味があって、そのままだとゆでてもふかしても他の芋のようにおいしく食べられません。酷い目にあう覚悟で、生芋とぬるま湯を攪拌した液体を飲んだなら、半日くらい口の中がヒリヒリと痛くなるのは必至。だから、こんにゃくを食べるには、アルカリ物質でアク抜きをしなければならないのですが…。そして、厨房のコンロに二つのお鍋を運び、いよいよ火にかけます。焦げつきやすいので注意しながら、代わる代わる 大きな木べらでよく混ぜていきました。もう心配ないので、ゴム手袋も外して捨てました。数分後、母さんが木べらから滴り落ちる液体の粘度を確認してくださいましたが、「おかしいねぇ。全然 半透明の糊状になってこない…。これ、こんにゃく芋じゃないんじゃない?」とおっしゃった次の瞬間、あろうことか木べらについた液体を毒見!!

エグ味に七転八倒されるのではないかと、見守る子どもたちの心配をよそに、母さんは笑いながら「これ、こんにゃく芋じゃないよ。多分ヤツガシラだね。皆もちょっとなめてごらん。」と。母さんが差し出す木べらに手を伸ばす学園生たち…。エグいどころか、「おいしい!!」と、ニコニコ顔に。そんなわけで、こんにゃく作りは頓挫。しかし、ヤツガシラなら食べられるので、一つのお鍋の中身は何か別のものに加工して食べることにし、もう一つのお鍋には、もしかしたらヤツガシラからこんにゃくを作れるかもしれないので、実験的に先ほど準備した凝固剤を加えてみることに。手早く混ぜましたが、殆ど固まらず、変色…。暫く置いておき、可能性は低いけれど固まったなら、適当な大きさに切って煮ることに。ヤツガシラなら、ゴム手袋も必要なかったわけで…。実験の後、母さんには、本物のこんにゃく芋の場合、この後 どうようになって、どのタイミングで凝固剤を加え、固まったもののアクをどのように抜くのかなど、ご教示いただきました。尻切れトンボになってしまったけれど、「楽しかったね!」とおっしゃってお帰りになる母さんにご挨拶をして、活動は中断。

このハプニングに、センター長が家に保管してあったこんにゃく芋を譲ってくれました! そこで、昼食・食休み後に、活動を再開できるよう、午前中に途切れたところまでを大人が準備。何度かこんにゃく作り経験がある大人は、本物のこんにゃく芋を洗ったり皮を剥いたり切ったりしながら、ヤツガシラとは色もかたさも別物で、紛れもなくこんにゃく芋であるということを確認したのでした。こんにゃく芋1㎏弱と適量のぬるま湯をミキサーにかけたものを大鍋に入れ、数十分経った頃、子どもたちが厨房に集結。既にどろどろして固まりかけていたお鍋の中身を煮始めました。

焦げつきやすいので、木べらでよく混ぜながら火にかけることにしましたが、母さんから聞いていたとおり、すぐに木べらを動かしづらくなったり、木べらで混ぜる手が重くなったりする状態に…。小さい子たちにはかなり難しく、大きい子たちにとっても見た目よりもずっと重労働だった様。そのため、一分間 渾身の力を振り絞ってかき混ぜたら、次の人が受け継ぐという方式で、12人が三十分ほど順繰りに作業を行うことに。適宜 ぬるま湯を足しながらかき混ぜていったのですが、こんにゃく芋ペーストがすぐにぬるま湯を吸ってしまうので、かさは増すし、もったりしてきて、かき回す手応えが重くなり…。

午前中に ひょんなことから産出されたヤツガシラペーストを使って、食育指導員が みたらし団子風のスウィーツを作ってくれたので、こんにゃく芋ペーストをかき混ぜる順番待ちの時に、おやつとしていただいた学園生たち。おいしいものを食べ、笑顔になり、パワーがみなぎると、すごくきつくて苦行のように感じていた ひたすらかき混ぜる一分間を頑張っていました!

だんだんこんにゃく芋ペーストが固くなってきて、木べらでかき混ぜる手がさらに疲れたり、だるくなったりしていましたが、おいしいこんにゃくを作るために、任された時間帯は責任をもって務めようとする子どもたちでした。だんだん半透明になり、こんにゃくらしくなっていく様子を面白がって、お鍋の中を覗きこむ子たちも。

皆で 交代交代にかき回しながら煮た結果、お鍋の中は糊状になり、こんにゃく独特の臭いがしてきました!! いよいよ、生芋の重さの2.5%の凝固剤(炭酸ナトリウム)を少量のぬるま湯に溶かしたものを加え、混ぜる工程へ。全体が均一になるように、手早く混ぜなければいけませんが、溶かした凝固剤を入れる役を買って出た子が、回し入れないで一か所にどばっと入れる痛恨のミス…! まさに覆水盆に返らずですが、混ぜる役割を進んで引き受けた子が、できるだけ均一になるように手早く混ぜました。この混ぜ方が足りないと固さにムラができるし、混ぜすぎるとボソボソになるらしいのですが、自分たちで判断して火を止め、一応 こんにゃく作りは終了。この後、型に流し込み、よく押しつけ冷えて固まるまでおくのですが、今回は型に移さず 鍋の中においておくことに。 それから2時間ほど太鼓の練習をした後、こんにゃくを見に厨房へ行ってみた子どもたち。「こんにゃくになってる!!」とそれぞれ驚いていました! まだ冷めておらず、完全に固まってはいませんでしたが、表面を何度も触り、「ぷるぷるしていて気持ちいい~!!」と表情を緩める子たちも。

夕食に、刺身こんにゃくで食べてみるために、まだやわらかくぬるいこんにゃくを少し切りとって、別のお鍋に沸かしたお湯に入れ、30分ほど煮てアクを取り除きました。浮き上がってからさらに10分ほど煮て、冷水の中にすぐ入れ、更にアクを抜きました。
紆余曲折を経て?できたこんにゃくを食べた学園生たちの感想は、「ちゃんとこんにゃくになっていて嬉しかったけれど、味があまりしなくて少し残念だった。」「味がなくて、あまりおいしくなかった。」「まずくはなかったけれど、おいしくもなかった。」「おいしかった。」「やわらかくてとてもおいしかったけれど、(凝固剤が一か所にどばっと入り)ダマになってかたいところもあった。」「瑞々しくてこんにゃくの味がした。」「予想以上においしかった。」など、それぞれ違っていました。こんにゃく作りは、楽しかった様。たくさんこんにゃくができたので、これからしばらく食べていきます!!

22/02/21

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