6月18日
6月18日(土)午後2時から翌日の午後2時頃まで丸一日、センター下の林でキャンプをしました。目的は、キャンプ技術の習得・確認に加え、協力することの大切さやキャンプの楽しさ・達成感を味わうこと。今回のキャンプは、テント泊をし、夕食・朝食・昼食と3回の食事を作ります。18日 午前のミーティングでは、簡単に 先月のデイキャンプで行った野外炊事のおさらいをし、炊事班を決め、食事のメニューや作り方の確認をしました。また、寝袋を初めて使う子もいるので、使い方や片づけ方の講習も。縦半分に折ってからぐるぐる巻いて、最後に 付いている紐で蝶々結びをするのですが、空気を抜くようにしっかりと押さえつけながら巻いていかないと、紐の長さが足りなくなるくらい大きく膨らみ、結べなくなります。できる限りぎゅっと巻き、紐で結んでいる間にもゆるまないよう体重をかけておくなどし、二か所 結ぶ練習をしました。それから外へ出て、テントの立て方・片づけ方について、指導員と継続生がレクチャー。午後には6人用テントを男子は4人、女子は5人で協力して立て、翌日には片づけなければならないので真面目にレクチャーを受けていたのですが、急に激しい雨が降り出したことに加え、教える立場の継続生のふざけの度が過ぎ…。続きはセンター内で行い、お昼ごはんを食べた後、キャンプ開始までに服装を整えたり個人装備を準備したり。
午後2時から、いよいよキャンプ開始! 雨天決行、キャンプ終了まではセンター内に戻りません。テントと銀マット・ブルーシート・スコップなどを手分けして持ち、今回の幕営地であるセンター下の林の中へ。まずは、男女にわかれてテント設営から。女子は、テントをはる場所を決めると、さくさくと立て始めました。
立ち木があったり、間伐材が置いてあったりし、木の根や切り株を避けなければいけないので、場所決めが難航していた男子もようやく着手。午前に習ったことを思い出しながら、力を合わせて組み立てていきます。教わった通りに、「引っ張らないで!」「押して!」とポールの扱い方に気をつけたり、「次はこうじゃない?」「いや、これが先だよ。」などと声をかけ合ったりしながら進めていました。
そうこうしているうちに、女子たちはフライシートも張り、ペグの本数を確認してから、テント本体とフライシートを固定するためのペグ打ち。ペグを打ち込む角度に気をつけながら金槌で打っていました。確実に雨が降る予報だったので、できるだけ雨対策をしてテントを張り終えると、女子も男子もテントの中に銀マットを敷きました。
次は、やはり男女にわかれてトイレ作り。張ったテントから少し離れた所を場所に決め、立ち木を利用して、ブルーシートで目隠しすることにした様です。男子は二本の木にビニール紐でシートを結びつけ、テントサイトとトイレの間をシートで遮る形に、女子は三本の立ち木にブルーシートを巻きつけ、囲む形に。これまでの活動で習得したロープワークを駆使し、隔てたり覆ったりすることはできました。しかし、根が張った土をシャベルで掘り起こすことに難儀。女子はレインスーツを着用し、シートで囲まれた狭い所で作業していたので、根に阻まれていたうえに蒸し暑さも加わり 骨を折っていましたが、どうにか完成! 安心して?野外排泄体験ができそう…。そして、センターの玄関に置いていた個人装備や寝袋を取ってきて、テントに搬入。中に入ると意外に居心地がよいのか、なかなか出てこない子たちも。
今晩の寝床とトイレを確保した学園生たちにぐずぐずしている暇はありません。午後3時には、3人組の炊事班に調理道具一式・新聞紙3枚・10本入ったマッチ箱などが渡され、班内で役割分担をして野外炊事の準備に入りました。キャンプ開始時からすでにぽつりぽつりと落ちてきていた雨。まだ林に雨が激しく降り込んでいたわけではなかったけれど、じめっとした林の中に落ちている薪は乾いておらず。これまでの経験から、完全に乾いている焚きつけや表面は湿っていても中はできるだけ乾いている木の枝を拾おうと、センター付近を歩き回って薪を集める担当の子たち…。
夕食の食材配布から小一時間経ったにもかかわらず、午後4時前、倉庫の中では各班から一名ずつ出てきた調理担当の子たちがまだ配られた食材を切っていました。夕食のメニューは、ごはん・お味噌汁・ニジマスのホイル焼き。そもそも調理スキルがそれほど高くないのに、ましてや野外で炊事ができるのかどうか不安がよぎりますが…。危なっかしい手つきで包丁を使い、なんとか食材を切ったり、飯盒炊さんの準備として、飯盒のふたを使ってお米を量って洗米し水加減をしたり。
同じ頃、林中の幕営地に場所を決め、石を運んできては積み重ねたり、間伐材や近くで拾ってきた一斗缶のようなものを用いたりして知恵を絞り、かまど作りに精を出していた子たちもいました。
そこへ、薪担当が林中の濡れている木の枝ではなく、センター付近でできるだけ乾いている焚きつけや薪を調達して戻ると、折ったり並べたり、濡れないように注意を払ったりしていました。予想はしていたけれど雨が本格的に降ってきたので、センターの玄関の傘立てから傘を持ってきた子たちも!
それぞれの班の調理担当が、仕込みが終わった鍋やフライパン・飯盒を各班のかまど辺りに運んだ頃には、かまど作りや薪集めもほぼ完了しており、あとは火をつけるだけの状態になっていました。林中にもかなりの雨が降り注いでいたので、火床の底に石を敷いたり、かまどや薪に傘をさしかけたりして、極力濡らさないよう工夫する姿も。午後5時、新聞紙と拾ってきたたくさんの杉の葉を焚きつけに、緊張しながらマッチを擦るS・K・W組。
その近くでは、間伐材を積み重ねた大掛かりなかまどに組んだ薪に、擦ったマッチの火を近づけるY。傘をさしたり横で見守ったりするTとR。S・K・W組もT・Y・R組も、条件が良い時のように焚きつけに新聞紙を使わない挑戦をするとかマッチ一本で火をつけて育てるということは至難の技でした。
逸早くマッチを擦っていたSs・J・N組も最初は案の定 雨や湿気に阻まれ、密かに挑戦していたマッチ一本での着火に失敗。対策をして二本のマッチを使った後、マッチ4本めで焚きつけから細い枝・中くらいの太さの枝に火が移って燃えあがり、胸をなでおろしていました! そして、飯盒を火にかけ、安定した大きな火にするため薪をくべていき…。
準備して一本めのマッチを擦った時から十数分経過したT・Y・R組は、何本かマッチを擦り新聞紙は燃えるものの、その上にのせた焚きつけや組んだ細い枝などに火が移らず。息を吹いたり、傘を振り回して風を送り込んだりしていましたが、空気が入りにくいような組み方をしていたこともありあえなく鎮火。新聞紙を惜しまずに使った方がよいこと、その上にのせる細い枝の量や空気の通り道を考えた組み方、かまどが大きすぎること、濡れた薪を火の周りに置いて乾かしてからくべることなどアドバイスされたことをとりいれながら、絶対に火をつけると念力を送り 一本、また一本とマッチ棒を擦っていました…。
やはり気がつけばマッチ棒を次々と擦り、新聞紙や焚きつけだけが燃え、薪に火が燃え移る前に消えてしまうということを繰り返していたS・K・W組。必死で息を吹いたりあおいだりして空気を送っていましたが、薪集めや組み方・くべ方に課題があったうえ、時間がかかったため新聞紙や焚きつけがさらに湿気てしまい…。途中で薪を集めに行ったり、指導員の助言や手助けを得たりして、マッチ7本めで着火。午後5時45分頃、まだ中くらいの太さの枝にも火が移っていない不安定な火力ではありましたが、飯盒をかけていました。まだまだ気が抜けません!
3班の中で先を行くSs・J・N組は、炊けたごはんを蒸らすのと並行して作っていたニジマスのホイル焼きに火が通ったので、お味噌汁作りに取りかかっていました。さくさく進んでいたものの、「顆粒出汁は入れたの?」と確認され 怪しい返事をするなど味については不安が拭えない感じでしたが、午後6時15分頃にはお味噌汁の実に火が通ったので、味噌をとき仕上げていました。
すでに調理を終え温めなおしたり、盛りつけ終わったりしていたSs・J・N組は、午後6時35分頃、「いただきま~す!」と大きな声を林に響かせました。役割分担が上手くできたこと、できるだけ乾いている薪を集められたこと、早いうちに思い切って新聞紙を使う判断をしたことに加え、集めてきたススキが良い働きをして薪に火が移り 適宜薪をくべていけば調理できる状態にできたことが野外炊事をスムーズに進められた要因ではないかと分析しながら、味わっていました。ごはんとニジマスのホイル焼きは申し分ないおいしさだったようですが、件のお味噌汁の味は薄すぎておいしくなかったのだとか。
日が暮れて林の中も暗くなった午後7時10分、S・K・W組はニジマスのホイル焼き作りの局面に入っていました。しかし、薪の組み方やくべ方・空気の通り道作りがまずいまま…。
午後8時頃、火力が安定せず調理に時間がかかっていたS・K・W組がようやく夕食にありつきました! 普通に食べていましたが、実はごはんはパサパサ。翌日の朝食分まで一緒に4合のお米を炊いていたのですが、水の分量を間違え 少なすぎたことが飯盒から食器によそう時に発覚したのでした。そのごはんも食べ進めていくうちに「慣れたよ。」「硬いけど、おいしく感じてきた。」などと言って味わい、お味噌汁や魚も頬張っていました。 Ss・J・N組は、3人が食べ終わるまで待つ間、かまどに薪をくべ続け しばし火遊びを楽しんでいました。その後、食器や飯盒・鍋などを洗って片づけたり、翌朝のごはんの仕込みをしたり。それから、一時 雨があがり、外もだいぶ暗くなったので、夜の散歩へ。ヘッドランプを点けずに(とは言っても、外灯が点いている所もあり、夏至近くなのでそれほど暗いわけではありません。)闇や音・匂いなどを感じながら、静かに歩いてみることに。しかし、普段出歩くことのない夜に独特な雰囲気を感じ、いつもより饒舌になる子もいました。夜道が怖いのか 皆から離れないようぴたりとくっついて歩いたり、目が慣れてくると、「さっきまで見えなかった星がいっぱい見える!! きれい!」と空を見上げてちょっとだけ感動したりする子も! 期待していた蛍は残念ながら見られませんでしたが、普段出歩くことのない時間帯に、センター周辺の道をぐるりと1㎞弱歩くことができました。キャンプサイトへ戻り、お待ちかねの“夜食タイム”! 自分たちのかまどの火は消えていたので、指導員のかまどの周りに集まり、その辺りで拾った適当な枝の先にマシュマロを刺し、熾火で炙って食べることに。焼きマシュマロ初体験の子もいましたが、遠火でじっくり時間をかけ、外は薄茶色になり、膨らんで中がとろりとするまで炙ったものを口にすると至福の表情をしていました! 甘いもので満たされた後は、歯磨きをして、寝る準備。
マッチを正しく擦ってはいたものの、集めてきた枝から枝に火が燃え移らず、乾いていない薪に火がついて育てるところまで至らないまま、マッチ7本めでつけた小さな火をやっとのことで維持し、その火で調理をしていたT・Y・R組。午後8時40分頃、ついにごはんだけをかきこんでいました! 新聞紙の使い方やその上にのせる細い枝の量や空気の通り道を考えた組み方、濡れた薪を乾かしながらくべることなどアドバイスと援助を受けたものの、安定した大きな火にできないまま細々と飯盒炊さんをし、確認のため蓋を開けると…。案の定 温度が足りていなかったらしく、水はなくなっているのにごはんは炊けておらず、そのままでは食べられない状態! そこで指導員が飯盒に水を足し、指導員のかまどにかけてリカバリー。翌朝の分まで含め4合のお米を炊いていたので、どうにか普通に食べられる部分を食器に盛って3人は夕食としたのでした。火力不足とタイムアップで、完全に火が通っていなかったニジマスのホイル焼きや作れなかったお味噌汁の食材などは翌日に持ち越すことに。雨の中の厳しい環境下でそれぞれの班にドラマがありましたが、全員、夕食を食べることはできました!
午後9時に近づいたので、トイレに行ったり、テントに戻って寝袋を広げたりして、寝る準備。やっとの思いで夕食を口にした子たちは、食器や調理道具などを洗って片づけ、歯みがきをしてから合流。全員がテントの中の寝袋に入ったのは午後9時半を過ぎていました。「おやすみなさ~い。」
午後9時40分頃の男子テントの様子。暑いのか、寝袋を広げて敷き、その上に転がっている子が二名、寒いのか、寝袋に頭まですっぽりもぐりこんでいる子が二名いました…。
22/06/27