売木村山村留学センター
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売木村の山村留学ブログ

10月8日

前日に雨が降ったので、予定通り稲刈りを実施するかどうか逡巡しましたが、三連休初日の10月8日(土)に決行することに。

それぞれ稲刈りに相応しい服装をし、9時15分から外に出て、まず藁すぐりから。稲刈りももちろん、これまでと同様 機械を使わず、鎌で稲を刈り取った後に束ねるのですが、その時に使う紐が昨年の藁。手櫛ですいて、はかまと呼ばれる下葉部分を落とし、しっかりとした茎だけを選別します。「手が痛い!」と言いながらも、作業を進めていく子どもたち。一度に沢山すこうとして、良い藁の茎まで取り除いてしまったり、図らずも風下にいた子たちに埃やはかまなどを飛ばしてしまったりしていましたが…。

きれいになった藁は、水で湿らせてから、木槌で打ちました。柔らかく、かつ丈夫にするためです。受け継がれてきた 藁を有効活用する先人の知恵に感心しながら、結束用の藁をどんどん準備しました。 それから、これまでの田んぼの作業を振り返り、稲刈りの話や手順を聞いた学園生たちは、稲刈り鎌や結束用の藁を載せたソリなどを手分けして持ち、田んぼへ移動。春、一か所に3・4本植えた苗は順調に大きく育ち、稲穂が頭を垂れていました。ある一株の茎の本数を数えてみると24本あり、1本が6~8本に分けつし、籾がたくさんできていることがよくわかりました。鎌の使い方や刈り取った稲の結束の仕方のレクチャーを受けた後、まず、一人一本鎌を手にし、収穫祭の祭壇にお供えするための稲を一株 刈りました。

それを、各自 名札をつけた紐で結ぶことに。一株なので、習ったばかりの結束の仕方ではなく緩まないよう普通に結ぶだけなのですが、なかなかできない子もいて、これからの作業が思いやられます…。
10時20分頃から、いよいよ稲刈り開始。教わったとおりに一人ひとり 数株を鎌で刈り取り、藁で結束。刈り始めた場所は、ぬかるみが酷く、田んぼの中を少し移動するのにも骨が折れます。

左手の小指を下にして稲株を掴み、右手に握った鎌で刈り取るようにしましたが、初めは鎌を引いて刈るということがわからず苦戦する子たちも。何株か刈っても「サクッ」と軽い音がせず、かなり力を入れて引いたり、株を斜めに刈っていたりしました。地際で水平に刈り取るようにと言われ、気をつけていましたが、一本だけ刈り残してしまうことも…。手が大きくない小学生たちには、刈った一株を左手に握ったまま次の一株や二株を掴んで刈り取るということが難しかったので、一株刈ったら畦に置きに行き、また一株刈っては畦へ運び、先に置いていた株に根元を揃えて置くということを数回繰り返さなければなりませんでした。田んぼが乾いていれば刈ることだけに集中できますが、刈り取った稲を手にしたまま、ぬかるみに足をとられて転ばないようバランスをとったり踏ん張ったりしなければならないうえに、稲の丈が長かったので移動する際に稲穂が泥まみれになってしまうこともあり、かなり大変! 一先ず畦に置いた 刈った稲が固く束ねて直径10㎝くらいになる分量になったら、先ほどすぐった数本の藁で結束することに。教わったように藁を稲の根元に一巻きしたら、藁を持って束を持ち上げ、引っ張ってしっかり締めます。藁と藁を結ぶわけではなく、ねじりながら締めていき、ねじった藁をぎゅっと上に引っ張り上げて、巻きつけた藁と稲の間に隙間を作ります。そこに、ねじった藁を折り曲げて差し込んで固定。いろいろな方法がありますが、いずれにしても藁の摩擦で結束するのです。

どうにかやってみたら、指導員にチェックしてもらいます。時間はかかったものの、継続生たちは手が覚えていたようで合格点をもらうことができました!

山留一年目の子たちは、どうにか稲を刈ったものの、根元を揃えて藁を一巻きする際に、何本か残してしまったり、しっかり締めないままねじった部分の藁を巻いた藁の隙間に差し込んでしまったり。きちんと、きつく結束するということが難しく、すぐには及第点をもらうことができず…。稲を藁でしっかりと結束できていないと、はざにかけて干す時にばらけたり、落ち穂が増えたり、結束し直さなければならず二度手間になったりするので、及第点に達するまで何度も実践。 酷いぬかるみに足をとられながらも、稲を刈り、畦に運んでしっかりと結束するという作業を、継続生や及第点をもらった子たちが一人ずつ細々と続け、畦には結束した稲束を積んだ山が幾つかできていました。何度もぬかるみにはまり身動きがとれない事態になってしまった子も多かったのですが、刈った稲の株の上を踏んで歩くと、そんな事態を最小限に防げるということが身をもってわかったようです。

そんなこんなで悪戦苦闘の末、酷いぬかるみ地帯から脱出することができました! ようやく、緩まないように結束できる者が半数以上揃い、本腰を入れて稲刈りをする体制が整ったので、11時50分頃からはペアで作業を進めることにしました。結束を担うことに自信がない子は専ら稲を鎌で刈り取り、もう一人が主に結束を受け持つことに。例年は田んぼの長辺方向に進んでいくのですが、今回は短辺の両側から中心に向かっていくようにしました。田んぼが乾いていなかったので、刈った稲を直置きせず畦で結束した方が良いだろうという理由からです。ペアで畦際から6列くらいを担当し、前進していくと、反対側からも同じように進んできているという具合。一人が刈った稲を後方の畦に根元を揃えて置いていき適当な量になったら、藁を準備してスタンバイしていた子がしっかりと結束していきます。その流れが
できてくると、順調に進み始めました!

ぬかるみに長靴がはまって動けなくなるようなことはほとんどなくなり、後方の畦も近いので、どんどん稲を刈り取っては置いていっていましたが、作業がだんだん雑になる子も。稲を刈る位置が上の方になったり、株の切り口が水平ではなく斜めになってもお構いなしだったり、刈った稲の根元を揃えず無造作に置いたり、だいたい一束分ではなく山積みにしたり…。そんな無造作に山積みされた稲を、控えているもう一人の子が結束していくわけですが、一束分 取り分けてから根元を揃える手間が増えるので捗らなくなったり、畦にたくさんの穂を落としてしまったりしたペアも。一方、注意された刈り方を改めたり、結束する人が手早くやりやすいように、一束にする適量の刈った稲の根元をできるだけ揃えて置いたりするなど気を配りながら、丁寧に作業を進めていたペアも! 短辺方向&ペア作戦が功を奏したようで、お昼ごはんの時間までに、田んぼ面積の3分の2くらいまでの刈り取りと結束が終了。主に刈っていた子たちの長靴にはしっかり働いた証の大量の泥が付着し、大きな足になり、重く感じていたようです。一旦センターに帰り、外でお弁当を食べたら、午後1時半すぎからぽつぽつ田んぼに戻り始め、作業再開。稲を刈り終えた所に、はざを組み立てる作業も並行して進んでいました。

午前中は部活動に行っていた 中学生男子も合流。継続生なので、稲刈りも結束も少しやってみるとすぐに思い出し、手が覚えていたようです。少しだけの引く力で済むような慣れた手つきで鎌を扱い、ザクッザクッと小気味よい音を響かせていました!
勿論、4組もペアで連携して作業に専念していました。

ゴールが目前に迫る頃には稲を刈るのが楽しくなり、他の子やペアの割り当て分にまで手を出そうとする子たちもいましたが、最後の一株は午後から合流した子が刈り取り、結束。それほど時間はかかりませんでしたが、全ての結束が終わるまでの間、手が空いていた子たちは落穂拾いに取り組みました。 午後に再開してから一時間も経たないうちに稲刈りと結束が全て終了。はざかけの説明を聞いた後、いよいよ作業に移りました。まず、田んぼの周りの畦のあちらこちらに置かれていた稲束を抱えられるだけ抱え、はざの近くの畦に運ぶことに専念する子たちもいれば、

畦から自分で運んできた稲束をはざ棒にかけてみる子たちも。はざかけの流儀は地域によって違うようですが、学園の田んぼでは四段のはざに、稲束を半分に割って互い違いにかけていくことに。一番下の段からかけていき、隣の束との間を詰めたら、割った根元をポンポンと叩くということを繰り返していきます。ただ、先にかけた人が稲束をどのように割ったかによって、自分がかける稲束の割り方を変えなければならないので、少し手間取る子もいました。

時々、結束が緩いものが見つかることもありました。すると、藁を解いてきつく締め、ねじった藁を差し込み直さなければなりませんが、その作業を自分から進んで引き受け続けた子も! しばらくすると、遠い所からはざ近くの畦に稲束を集めて運ぶ役、畦からはざにかける人に稲束を手渡す役、はざ棒に稲束を分けながらかけていく役、結束が緩いものをやり直す役…というふうに、なんとなく流れができ、それぞれにできることをしたので手際よく進みました! はざ棒の下から三段目や一番上の段に稲束をかける際には、背の高い子が活躍したり、瓶ケースに乗って作業したりして、どの段にもぎっしり干せました。ほとんどをはざにかけることができましたが、数束だけかけられなかったので、それらはセンターに持ち帰って干すことに。ほぼ四段に収まったということは、豊作なのか不作なのかわかりませんが…。

それから、一粒も無駄にするまいと落ち穂を拾い集め、束ねて干しました。最後に、せっかく干している稲が雨に濡れないように、はざかけシートを掛けることに。干している稲に掛かるように覆うのではなく、逆さに干した稲束の根元側に掛けて、よく乾くようにしました。
早かったわけではないけれど、わりと丁寧に結束ができており、やり直す必要があるものが少なかったので意外に早く、午後3時半前に終了。稲束を干し終わった四段がけのはざは、壮観でした! この先のお天気にもよりますが、3週間ほど天日干ししたら脱穀をする予定です。新米をついて食べるおもちを楽しみに待つ学園生たちでした!

22/10/09

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