6月25日
朝食を終えた学園生たちは、午前8時から村全体で行われる530(ごみゼロ)運動に参加するため、センターから歩いて5分ほどの集合場所へ向かいました。毎年5月30日近辺に開催されている環境美化運動ということで“5(ご)3(み)0(ゼロ)運動”と名付けられており、今年は悪天候だったため延期となっていました。村内を7区域に分けごみ拾いを行う運動であり、学園生はセンターがある岩倉地区の方々と顔を合わせ、ごみ拾いを開始しました。
歩き出した先は学園生が普段歩いている通学路とは反対方向であり、売木村の北西側にある平谷峠に続く道です。車で通ったことはあっても新入園生にとっては初めて歩く道沿いでした。一人一枚ずつごみ袋を持参し歩く中で、ごみ拾いをしながら分別もできるようにと一人で三枚の袋を持つという工夫をしている継続生もいました。前を歩いていた人が見落としたごみに気づいたり、土に埋まっていたごみを見つけ出したり、見過ごしてしまいそうな小さなビニールやプラスチック素材などの切れ端を見つけたりと目を凝らしながらゆっくり歩くことで落とされたままのごみを発見できました。
また、道沿いの草むらや斜面には今の時期に咲く様々な花や実がなる植物が生えており、その中でも摘んですぐに味わうことのできるモミジイチゴが子どもたちに人気でした。学園生と同じ道を歩いてごみを拾っていた村の方は「似たような形で赤い色のキイチゴもあるけれど黄色いほう(モミジイチゴ)が甘いよ。トゲがあるから気を付けながら採ってね。」と教えて下さいました。美味しさを知った学園生は、ごみぜろ運動が終わるとモミジイチゴ探しに夢中。「一粒食べても甘いけど、集めたものを一度にたくさん口に入れるともっと美味しい!」「みかんのような味がする・・!!」と新鮮でみずみずしい自然の甘さを味わっていました。
ごみゼロ運動の終点には、岩倉地区で集められたごみが軽トラの荷台に積まれ、空き缶や瓶などの容器・土まみれの物・中には錆びついた自転車もありました。
村の方々と解散した後、せっかく平谷峠の近くまで来ていたのでさらに歩いてみることに。引き続きごみ拾いをしながら登り坂を歩いていると「疲れてきた」と話す子もいましたが、ビニール素材の端切れやつぶされたタバコの吸い殻等小さなごみに気が付く姿がありました。また、こちらでもモミジイチゴ探しが続いており、見つけては嬉しそうに食べ、ちょっとした水分補給に。聞こえてくる鳥やセミの声を聴いて「今鳴いていたのは〇〇だ!」と鳥の名前を言ったり、鮮やかな青と白と黒の模様の羽根(のちにカケスと判明)を「綺麗」と言いながら拾ったりしている子もいました。標高が高くなり、見晴らしのいい場所では山々が連なる景色が広がっており、「わ~綺麗!」「絵に描きたいので写真に撮っておいてください」と感動する声も。そして、売木村と平谷村の境界にあるやまなみ広場(別名恋し峠)に近づくと聞きなれない声が・・・!鳥っぽくはないけれど何だろう・・?と気になりながら進むと、先に到着していた継続生が草の葉っぱを吹き鳴らしている草笛の音でした。あまりに珍しい音だったため「何かの生き物かと思った」と笑って驚く新入園生でした。平谷峠に位置するやまなみ広場には、大きな地図があり、「(歩いてきた道のりを見て)ここからここまで歩いてきたんだ」「センターも地図に載っている!」「ここにも行ってみたい!」と話していました。その地図の前で集合写真を撮り、センターへの帰り道でも、モミジイチゴを水分補給とおやつ替わりに食べたり、野に咲く花を摘んで花束にしたりしながら歩きました。
10時30分頃センターに到着し、毎週末に行っている荷物の整理整頓・部屋の掃除をしてから畑の草取りをしました。草の根っこから取れるよう鍬を使ったり、この日の午後に予定されている釣りの餌にしようと畑の土から出てきたミミズを捕まえたりしていました。
昼食を終え、14時頃から渓流釣りの準備を開始。まず、5月の初めにセンター近くの竹やぶから切り出し乾燥させておいた細い竹で釣り竿を作りました。竹が長すぎると川で釣りを行う際に周辺の枝や葉に引っ掛かりやすくなってしまうため、約2mほどの長さに切り落とし、枝分かれしている部分も切り取りました。
続いて、整えた竹竿の先端に仕掛けと竿を繋ぐリリアンの代わりとなる麻紐をビニールテープで取り付けました。餌をくわえた魚に引っ張られても仕掛けを取られないようにするため、ビニールテープは伸ばしながら丈夫に巻く必要があります。また、5月後半に体験した釣り堀での釣り(うき釣り)と違い、渓流釣りは川の流れがあり、水深は場所によって浅かったり、深かったりと様々な環境です。うきを付けない今回挑戦する “脈釣り”は、魚が餌をくわえたかどうかを手元に伝わってくる感覚で察知するため、釣り糸をピンとのばしておく必要があります。そのため、初めに調整しておいた竹と同じ長さに合わせて仕掛けを調整しました。釣り糸は時折見えなくなりそうなくらいの細さであるため、絡まないよう二人一組で作業するこたちもいました。竹竿の先端に取り付けた麻紐と仕掛けを繋ぐためのチチワ結びでは、これまでに何度か練習や実践をしてきましたが、結び方があやふやになっていた子もいました。手を動かしているうちに思い出したり、何度かやり直ししたりしながら結び目を作り、最後に目印をつけて仕掛けが完成しました。いよいよ出来上がった釣り竿と仕掛けを持ち、センター近くの林の中を通り川に向かうと、流れる川を目の前に「水が透き通っていて綺麗」「川遊びがしたくなる」との声も。餌を付け、川の流れや魚が潜んでいそうな場所を見定め、仕掛けを投げ入れはじめました。大きな岩に腰掛けて魚が引っ掛かることをじっと待っている子、スタート地点から徐々に上流へ移動しながら色んな場所での釣りを試してみる子、川を横断する際に足が滑ったり長靴に水が入ってきたりし濡れてしまった子など、釣りをする様子や場所、アクシデントは様々でした。他の人の仕掛けと絡まってしまったり、川底の石の隙間や川辺の植物に釣り糸が引っ掛かり取れなくなってしまったりする子も見られました。
約2時間釣りをし、釣り好きの継続生Jさんが3匹・新入園生のSさんが1匹釣ることができました。Sさんは「見てください、釣れました~!!」と嬉しそうに持ってきました。学園生たちはまだまだ釣りを続けていたい様子でしたが、17時を過ぎたので終了。釣れた魚を夕食の一品に加えるべく、自分で釣った魚をさばき、厨房で素揚げに調理しました。今回釣れなかった学園生たちは釣果のあった二人に「美味しい?」「いいな~」と言いながら、羨ましそうな表情で夕食を食べていました。
5月末に参加した釣り祭りでは魚が放流された狭い池での釣りであり、学園生全員が釣れたという体験をしましたが、今回のような渓流では魚の姿が見えなかったり、簡単に釣れなかったりしたことから、魚釣りの難しさを体感した様子でした。釣れなかった悔しさも味わい、また渓流釣りをする時間を作りたいと話す子もいました。
23/07/11