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売木村の山村留学ブログ

10月28日 脱穀

この日は一日中、脱穀の作業をしました。
まずはミーティングで、脱穀が、学園生の米作り体験の最後の作業であることを聞きました。米作りは、八十八個の作業があるといわれていますが、学園生たちが体験したのは、田おこし・代かき・田植え・稲刈り(・はざかけ)の4つと、この日行う脱穀を合わせて5つ。どの作業もなるべく機械を使わず、昔ながらの方法(人の手や農具)で体験してきました。そしてそれは、脱穀も同じ。午前中は昔のいろいろな農具を使って体験することにしました。
ミーティングを終えた子どもたちは、服装を整えて田んぼへ。4段のはざの最上段1段分にかけていた稲束を、手分けしてセンターの倉庫前まで運びました。
そして、まずは一本の稲に何粒の籾がついているか数えてみることに。稲によって様々でしたが、平均して100ちょっとの籾がついていました。1本の苗から100粒以上のお米がとれるということで、お米が非常に効率の良い作物で、世界の約半分の人たちが主食にしている理由がよくわかる結果となりました。
また、米の水分量を測ってみました。出荷されるお米の水分量は14.5%と決められています。10月7・8日に稲刈りとはざかけを行ったので、約3週間はざかけされていた稲穂。3週間の間は天候に恵まれたため、十分乾燥していると予想しました。測定の結果は案の定“13.9%”!はざの段や表や裏によって多少水分量に違いがありますが平均すると14%ほど。丁度良いくらいに乾燥していました。これでカビが生えずに長期保存できるでしょう。

午前中は、千歯こき、足踏み式脱穀機、動力式脱穀機、ふるい、唐箕を使いました。手で扱く方法、割り箸のようなものを使って扱く方法(扱箸)の次に開発されたのは、千歯こき。そして、足踏み式脱穀機、動力式脱穀機の順で開発されたといわれています。
使い方や注意事項等をよく聞き、全員が全ての農具や機械を体験できるよう、ローテーションしながら作業していくことにしました。

一つの農具や機械に二人ずつつき、作業開始。

しかしいきなりハプニング!動力式脱穀機を使っていたMhさんが、稲束ごと機械に巻き込んでしまいました。動力式脱穀機は、逆V字型の針金がついた円筒型の扱胴をエンジンによって回転させるもので、回転しているところに穂先を当てて脱穀していきます。仕組みや扱い方は足踏み式脱穀機と同じです。穂先を当てている間は稲をしっかりと握っておく必要があるのですが、Mhさんは油断して、握る手を緩めてしまったため、稲一束丸ごと扱胴に巻き込んでしまったのです。手や自身が巻き込まれなかったのは良かったものの、周りの人に「何やってんの」とつっこまれていました。

ひたすら脱穀した後は、ふるいにかけ、唐箕の体験。脱穀した籾には、稲の葉や藁くずが混ざっているため、これをさまざまな方法で取り除く必要があります。昔は、自然の風を利用したといわれています。風が吹く時に、籾と藁くずが混ざったものを高いところから少しずつ落とし、重い籾は下に落とし、軽い藁くずやゴミは遠くに飛ばす方法です。
そして、人工的に起こした風を使って選別するために開発された農具が、唐箕です。
ハンドルを回し続けることや、回すスピードが重要になってくる農具なので、ハンドルを回す人は責任重大でした。

全て唐箕にかけて風選したら、午前の部は終了。はざ1段分を、3時間程かけて脱穀・選別しました。
昼食の美味しいお弁当やおにぎりを食べてエネルギーを回復させた午後からは、はざの残り3段分を、ハーベスターを使って脱穀することに。 機械のカバーを外し、中のベルトや扱胴などを観察して、ハーベスターの仕組みについて聞いた後、作業開始。ハーベスターは、稲から籾を外すと同時に籾とゴミの選別もしてくれる機械です。しかもスピードが速く、稲束をハーベスターにかけてからわずかの時間で籾だけが籾袋へ入っていく様子に驚いている子がいました。

素晴らしい機械といえども、一粒残らず脱穀してくれるわけではないので、ハーベスターにかけたあとは、一束ずつ稲に籾が残っていないか人間の目で確認。チェックが甘い子がほとんどだったので、ダブルチェックすることにして、はざ3段分を2時間程かけてしっかりと脱穀しました。
手で扱く方法、千歯こき、足踏み式脱穀機、動力式脱穀機、ふるい、唐箕、ハーベスターと、時代の流れとともに丁寧さと効率という二つの要求を満たすために様々な工夫がこらされてきたことを実感できた脱穀体験。先人たちの思考に尊敬の念を抱いた子が多かったです。
昔の稲作では子供たちを含め家族や親戚の手伝いが必要で普通にあった“田植え休み”や“稲刈り休み”の重要さも春からの稲作体験を通して感じることができました。
今回脱穀した籾は、今後籾摺りや精米をし、最後はお餅や赤飯になって皆の口に入る予定です。懸命に作業して作ったもち米を食べるのが楽しみです♪

23/11/04

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