4月28日・29日 田おこし
今年度初めての農家生活から戻ってセンター入りしてきた28日(日)は、午後から田起こしを行いました。
まずは、田起こし(米作り)のミーティングでお米作りには八十八の手間がかかることや、なぜ日本人はお米を主食としているのか、いつからお米作りが始まったのかなどを聞きました。
そして、一人一本備中鍬を持ち、田んぼへ向かいました。売木学園では、今年度もセンターのすぐ近くに3a程の田んぼをお借りし、そこでもち米をできるだけ昔ながらの手作業で育てます。売木村の中では極小の田んぼですが、子どもたちが手作業で稲作体験するには十分な広さです。
まずは、押切りで細かく切断した藁と、酸性気味になった土を中性に戻すための土壌改良剤を、田んぼ全体にまんべんなく撒きました。藁は今年の肥料になるわけではなく、2~3年経った頃に完全に腐り藁が肥料として役立つよう未来の学園生のために行う作業です。藁が一箇所に集まらないように撒く姿や、まんべんなく撒けているかの確認しながら作業する姿が見られました。
土壌改良剤の半量程は、手で撒きましたが、仕上げと効率性のために残りは肥料散布機を使用しました。昨年度も体験した山留3年目のJさんと、立候補した山留1年目のYさんが代表して肥料散布機を使いましたが、Jさんは帽子と猫背のせいかまるで本当の農家さんのようでした。Yさんは、身長のせいか他の理由かは分かりませんが、なかなか上手く使うことができず、「できな~い」と嘆いていました。
次は、鍬を使っての作業開始。備中鍬の使い方と注意点を改めて聞いてから、田んぼの長辺に沿って、5人と6人に分かれて両サイドから作業に取り掛かることに。
鍬で耕す時のコツは、“柄を短く持って持ち上げ、長く持って下ろす”です。そのように鍬を上手く使えば、あまり力を使わずに耕すことができ、腰が痛くなりにくかったり疲労が溜まりづらかったりします。とはいうものの、まだ鍬を上手く使えない子たちは、腰や手が痛くなったり、すぐに疲れたり・・・。
また、鍬の刃がしっかりと土に刺さらず表面を撫でているだけの子がいたり、振りかぶりすぎて危ない鍬の使い方をしている子がいたりしました。
それでも17時近くまでは作業を頑張り、残りは翌日に持ち越しました。
そして翌29日(月)は、午前10時頃から田起こしを再開しました。この日は、進む向きを変え、田んぼの短辺に沿って起こしていくことに。全員で一列に並び、くまなく起こしていくと、作業は前日と同じなので、少し慣れてきた子たちは、作業スピードが上がったり、しっかりと起こせるようになったりしていました。
そして、この日は耕運機の体験も行いました。鍬での田起こしでは土が細かくならなかったり、平らにならなかったりするので、仕上げとして耕運機を使うことに。 耕運機は三輪タイプなので、真っすぐ進むように持ち手のバーを少し調節しながら進んでいくことや、耕運機をかけた所を踏まないようにすることなどに気をつけながら、一人ずつ交代で耕運機を体験しました。「鍬で起こすとあんなに大変だったのに、耕運機は一瞬で起こしている」と少し複雑な表情で話す子がいて、機械のすごさを実感したようです。しかし、みんなの手作業があったからこそ、耕運機の能力がしっかり発揮され、きれいに耕すことができます。何も起こしていない硬い土の田んぼに耕運機をかけると進みが悪いし、きれいに起こせないので、先にほぐしておく必要があります。二日にわたって鍬で起こしたことが役に立っているのです。
耕運機をかけ終えたら、田起こしは終了。最後に、使った鍬を川で洗いました。 次の田んぼ作業は代かきです。
昼食のお弁当を食べ終えた後は、昨年度も太鼓や篠笛を教えてくださった藍羽(あわ)さんが村のイベント“春色感謝祭”でミニ公演を開催するということで、見に行きました。継続生はもちろん、新入園生も太鼓や篠笛に興味を示しているので、この公演をとても楽しみにしていました。 会場に着くと、たくさんのお客さんが詰めかけていて、藍羽さんの人気の高さがうかがえました。
藍羽さんのかっこよくもあり心地よくもある篠笛と、共に演奏する太鼓(・篠笛・チャッパ)奏者の吉村靖弘さんと前田剛史さん、そしてサプライズゲストの小島千絵子さんの演奏や舞は、まさに圧巻!言葉には言い表せないので、「すごいなー」「かっこいいなー」としか言えない子どもたちでした。また、今年度も全員が山村留学生活に慣れ、基本的生活習慣や生活技術が身に着いたころから、藍羽さん、そして愛芽(うめ)さんに太鼓や篠笛を教えていただく予定なので、「早くやりたい!」「太鼓打つの楽しみ!」と心を弾ませる子もいました。
1時間半程の公演で耳と心を癒していただいた後は、センターに戻り、村の方からおすそ分けしていただいたじゃがいもの種芋を植えました。先日植えたじゃがいもとは品種(メークイン、むらさきいも)が異なり、今回はレッドムーンと男爵。先日学んだ植え方を思い出しながら、植えていきました。 じゃがいもがたくさん食べられますように~。
24/05/05