5月3日
3年後の山村留学生たちが食べることになるであろう味噌の仕込みを、5月3日(月)にしました。今、学園生たち(39期生)が毎日口にしている味噌は、36期生が仕込み、37期生が天地返ししてくれたものなのです。
前日から吸水させていた大豆は、形が丸から楕円形になり、乾燥時の2倍くらいに膨張。7時半頃から、外に設置したドラム缶蒸かし機にその大豆を移し、どんどん薪をくべ、蒸かしていきました。昔 岩倉地区の組合で使っていたというドラム缶蒸かし機は、大量の大豆を一度に蒸かせる素晴らしい道具なのですが、大豆が指で簡単に潰せるくらいの軟らかさになるまでには数時間かかります。
その時間を利用し、活動のミーティングと昨年度仕込んだ味噌の天地返しをすることに。ミーティングで味噌について知ってから、味噌を保存している倉庫へ行き、一年前に仕込んだ味噌樽の蓋を開けてみました。すると、お醤油のような液体“味噌たまり”が! 舐めてみた子どもたちは口々に、「うわぁ、醬油みたい!」とか「おいしい!」などと言っていました。
次に、味噌たまりの下の味噌を指先に少しだけ取り、味見。色は薄く、米麹の形がそのまま残っており、子どもたちは口にすると、「おぇ、しょっぱい!!」「塩辛すぎ!」と叫んでいました! 普段食べているしっかりと熟成された味噌との違いが非常によくわかり、天地返しする必要があることを理解したところで、作業開始。
12人が2組にわかれ、2台の味噌すり機をフル稼働。樽から味噌を取り出し、漏斗状の部分に入れる役、味噌すり機が動かないよう足で押さえる役、味噌を味噌すり機のスクリュー部分に棒で送り込む役、ハンドルを回す役、ミンチ状になって出てくる味噌をバットで受ける役などを分担し、交代しながら進めていきました。
しかし、毎年スムーズにいかないことが、やはり今年も…。それは、
ミンチ状になって出てくる穴に味噌が詰まり、1~2か所くらいからしか出てこなくなること。そうなると、全ての作業を止めて目詰まりを解消しなければならず大変でした。味噌が詰まって出てこなくなったたくさんの穴に、地道に細い棒をさしていく作業を、進んで引き受ける子もいれば、手持ち無沙汰になるとすぐ座り込んでサボろうとする子も。
力いっぱいハンドルを回しても、それに見合うだけの 細かく潰れた味噌が滑らかに出てこないので、疲れてしまう子がいたり、役割をちゃんと果たしていない子にきつい口調で注意したりする子がいたり…。なかなか捗らない時もありましたが、均一に熟成されたおいしい味噌にするために、作業を最後までやり遂げるしかない学園生たち。亀の歩みでしたが、味噌樽の底が見えてくると「あともう少し!」「がんばろう!」と声をかけ合い、もう一踏ん張り。
子どもたちが天地返しに奮闘している間に、ようやく大豆が軟らかくなったので、薪をくべるのをやめ、少し冷ます間に、昼食のお弁当を食べることに。
天地返しをし空気に触れさせた昨年度(38期)の味噌は、樽に詰め直し、蓋をしました。そして、38期からの継続生3人が責任をもって冷暗所である倉庫へ運搬。午後1時半になっていました…。
お弁当を食べ終わったら、食休みなしで活動再開。いよいよ39期の味噌作りです! 午前中と同じ2組にわかれ、今度は蒸かし大豆を味噌すり機にかけていくことに。少し冷ましていたとはいえ、どちらの組からも「熱っ!!」という声があがっていました。役割を入れ替わりながら、どんどん大豆を潰していきます。味噌よりも、蒸かし大豆だけを味噌すり機にかける方が、穴に詰まることなくニョロニョロと出てくるので、天地返しとは比べ物にならないくらい捗っていました。ハンドルの回し甲斐もありました!!
味噌すり機の穴から、挽き肉の様に出てくる大豆の様子を面白がっていた子どもたち。どちらのグループも味噌すり機に次々と大豆を入れ、頑張ってハンドルを回し、スクリュー部分に棒で大豆を送り込み、すり潰された大豆を受けるという連携プレーを続けていました。基本的には午前中から同じ作業を続けていたので、飽きていた子も多かったのですが、ドラム缶蒸かし機の中の大豆がどんどん減り、粗熱をとるために倉庫の台の上に広げた すり潰した大豆の量が目に見えて増えていくと、気を取り直して奮起。ついに、全ての大豆を味噌すり機にかけ終えたのでした!
次の作業に移る前に、使った道具や味噌すり機の片づけをすることに。誰かが動いてくれるのを待っているだけ子もいれば、進んで洗いものをする子もいました。この段階で、午後3時20分すぎ。
次は、粗熱がとれたすり潰し大豆と、“塩きり麹”を攪拌する工程。塩きり麹は、午前中に天地返しをしていた際、手が空いていた子たちが大きなたらいの中で、14kgの米麹と7.6kgの塩の塊をほぐしぱらぱらにしてから、むらなく混ぜ合わせ作ったもの。学園生たちは、机を囲み、シートの上で混ぜ合わせることに。
麹は高価なのでこぼさないよう慎重に、かつ、材料が均一になるようにきちんと混ぜなければなりません! しっかり混ぜ合わせるには、とても力が必要。その重さににっちもさっちもいかず、小さい子は表面を触っているだけになりがちだったので、場所替えをしながら進めたり、半数ずつ交互に全力で混ぜたりすることに。大きい子たちは、自分の手をブルドーザーやショベルカーのように動かし、材料を下から持ち上げたり、押しつけたり、向こう側へやったりと、本領発揮! 必死に混ぜるあまり、材料を床に落とさないようシートの端を持ち上げながら作業をする子などもいて、皆で和気あいあいと協力し合い、できるだけ均質になるよう丹精込めて混ぜ合わせました。
いよいよ味噌作りも大詰め。攪拌した大豆・米麹・塩をソフトボールくらいの大きさに、空気を抜きながら丸めます。粘土遊びではないと釘を刺されていたので、球ではない形を作る子はいませんでしたが、なぜか大きさはまちまち…。この後の作業が楽しみなようで、どんどん丸めていく子どもたちでした!
それから、ビニール袋を敷いた2つの樽の中に、丸めたものを思いきり叩きつけるように投げ入れていきました。これも空気を抜くため。
これ見よがしに大きく振りかぶったり、バシッと大きな音をたてたり、手首のスナップを利かせたりしながら投げ込む子たちもいれば、非力な感じで投げる子たちもいました。ちょっと調子に乗りすぎて、握りつぶしてしまったり、狙いを外してしまったりした子たちも。
ある程度詰められたら、大豆の煮汁(あめ)を加え、指導員が樽の底の方から攪拌し、また子どもたちが丸めたものを投げ入れていき、あめを加えしっかりかき混ぜるということを数回繰り返しました。2樽とも同じようなかたさの味噌になるよう 加えるあめの量で調整しながら仕込みました。
そして、味噌の表面を均して塩で覆い、蓋をした樽を一年間保存しておく倉庫へ、みんなで力を合わせて運搬。
蓋を開け、中蓋を置き、その上にそれぞれ考えながら重石を載せていきました。最後に蓋をして、一先ず仕込み完了!
作業に使ったものを手分けして片づけ、掃除をすると、午後5時半近くに。皆、よく働いた一日でした! 日本人の食生活に欠かせない味噌がどのように作られるのかを体験し、先人の知恵や工夫を知ることができました。また、協力することの大切さや修園生への感謝の気持ちをもつこともできた様です。
4日(火)の夜、味噌樽に被せるカバーを作ることに。2樽に仕込んだので、大きな2枚の紙に“39期”とか“味噌を仕込んだ日”や材料を書きました。さらに、それぞれ自分の名前や未来の山留生へのメッセージを書き込みました。そして、5日(水)に、39期生が仕込んだ味噌の樽にカバーをし、天地返しをして詰め直した38期の味噌樽の横に並べました! 味噌は熟成していき、1年後に天地返しをし、二夏越したら食べ頃になる予定。
21/05/21