6月26日
6月26日(土)、生活の仕切り直しの荷物整理や部屋掃除をし、10時半過ぎから畑の草とりに励みました。センターの外に出た瞬間、ぱらぱらと雨が降り出したので、慌ててレインスーツを着用して畑へ向かった子もいましたが、雨は止み、作業中に降られることもありませんでした。
まず、畑の奥の方、じゃがいもを育てている畝と畝の間の通路から着手していくことに。通路には、それほど丈は伸びていないものの 小さな雑草がたくさん生えていました。中には、細かい雑草がびっしり生えており、緑色に見える通路も! 通路一列を、手前からと奥から、真ん中に向かって雑草を根ごと引き抜いていくことにしました。つまり、二人で一列を受け持つことに。
これまでに降った雨で、畑の土は適度に湿っていたので、草を根こそぎ抜きやすい状態。最初は軍手をはめていた子たちもいたのですが、素手で雑草をとる子も出てきました。割り当てられた列によっては、指でつまみにくい小さな雑草が隙間なく生えている地帯があって、手こずったり、簡単には抜けず 根や茎の途中でちぎれてしまう種類の草に、手を焼いたりしていました。ずっとしゃがんだままの姿勢で草とりをしていたので、膝や腰が痛くなり、手を止めてすぐに立ち上がり怠けてばかりいる子もいましたが、自分を奮い立たせ、辛い姿勢に耐えながら作業を進める子たちもいました! 草を抜きながら前進していき、たまに後ろを振り返ると、一目瞭然で雑草がきれいになくなった状態になっていることに達成感を味わっていた子たちも。通路の真ん中辺りで、反対側から草を抜いてきた子と出会ったら、まだ手をつけていない通路に移動し、ひたすら雑草と格闘。12時半まで、とりあえず雑草を抜き続けましたが、畑全面を終わらせられなかったので、続きは翌日に持ち越すことに。
午後2時からは、食文化体験として“朴葉もち作り”をしました。売木村では昔から、田植えの終わった6月初め頃に農休みという村中一斉に休む日があり、その日にはご馳走として米の粉で作った皮にあんこを包み、それを朴の葉で包んでから蒸したのだそう。いわゆる“柏もち”の様なものですが、この地方には柏の葉がないので、朴葉を代用するのです。農休みの頃は、どの家でも朴葉もちを作り、生地にヨモギやタカキビなどを加えたり、自家製のあんこを包んだりして、それぞれの家の味があり、季節の風物詩になっていたそう。そして、昔の子どもたちは、一年のうち唯一甘いものを食べられる農休みをとても楽しみにしていたとのこと。農休みからは3週間ほど過ぎてしまいましたが、学園生たちも農休みのご馳走を作って食べてみることに。
朴葉もちについての話を聞いてから、学園生たちは外に出て、朴の木を探しました。センター付近にたくさんあるものの、葉を採取しやすい木でなければなりません。継続生たちがすぐに近くの朴の木を見つけましたが、葉に手が届かなかったので断念し、枝先に輪生状につけた大きな葉を採取できそうな別の木を発見! 虫食いや汚れなどがないきれいな葉を一人2枚ずつと予備を含めて、全部で35枚ほど採りました。そして、芳香と殺菌作用があるといわれる朴の葉で生地を包んで蒸す時に備え、葉柄をはさみで切ったり、大きすぎる葉の葉柄側を少し切り 適当な大きさにしたり。
センターに戻りながら、使わない朴の葉に はさみで穴を開け、お面を作って自分の顔に着用してみたり、他の子の顔につけて楽しんだりする子たちもいました!それから、食堂の流しで、採ってきた朴の葉を一人2枚、水できれいに洗いました。
いよいよ生地作り開始。おもちと言っても、蒸かしたもち米をつくのではなく、米の粉(うるち米)に熱湯を加え、でっちる(こねる)のです。ボールに入れた米の粉に、少しずつ熱湯を注ぎ、初めは熱すぎるのでしゃもじを使い、ぽろぽろになるまでかき混ぜていきました。それから、熱いうちに手でよくでっちることに。最初は、本当に熱いのを我慢して指導員がチャレンジ! 生地をひとつにまとめるように練っていき、子どもたちの手で触れるくらいの熱さになったら、学園生たちがその作業を受け継いでいくことに。自分の順番がまわってきたら、手粉をつけて生地をよく練りますが、見るのとやるのとでは大違い! 難しさがよくわかった様。ボールが動くと作業がしにくいことに気づき、ボールを動かないようにしっかりと押さえる役割を進んでする子も!
こねる人がどんどん変わっていくので、指に生地をたくさんくっつけてしまう子がいたり、前にこねた人がしっかりとひとつにまとめていた生地をばらけさせてしまう子がいたりしました。とりあえず、全員がこねる工程を体験するためにバトンタッチしていきましたが、加えた熱湯が適量だったようで、最後の方の番になる頃には、生地は良い感じにまとまっていました! 行き詰まることなく、コツを掴んで上手に練ることができる子たちが多かったです。
次は、生地を等分し、直径4cmほどの大きさに丸める作業。女子数人が引き受け、できるだけ同量になるよう、時にはキッチンスケールを用いて、分けてくれました。とてもきれいな球に丸められる子も!それを一人2つずつもらったら、手のひらでのばします。餃子の皮のように丸くではなく、楕円形にのばすと、仕上がりがきれいになります。
それから、のばした生地(皮)の真ん中辺りにあんこをのせて包みました。皮からあんこがはみ出さないよう、皮を半分に折って端をしっかりと押さえたら、半月型のおもちのできあがり! 皮の端からあんこがはみ出すのではなく、あんこが透けて見えるほど生地を薄くのばしてしまった子や、しっかりと押さえるだけの皮の端に、餃子のようなひだを作ってみた子も。いずれにしても自分で作ったものを食べることになるので、好きにしていました!
そして、それを採ってきた朴葉で包み、二つ作った朴葉もちのうち、この日食べる一つをセイロへ。最後に、新聞紙は敷いていたものの、粉だらけになってしまった台や畳の片づけをしました。
厨房で朴葉もちを蒸している間、メンマの味付けを学ぶことに。前日に樽から適量出し、流水で脱塩していたのは、5月に塩漬けにした幼竹。食育指導員が解説しながら、フライパンにごま油を敷き、幼竹を炒め、中華スープの素・水・醤油・みりん・ラー油などの調味料を適量加えていく様子を学園生たちはじっと見ていました。大きな火で炒め煮にし、汁気がなくなりそうになったら火を止め、完成。即 味見タイム。「熱っ! はふはふ…。」「硬い…。」「おいしい!」「もっと辛い方がいい!」と、口々に味の感想を言っていました。メンマもどきは、この日の夕食の一品に。そうこうしているうちに、厨房には芳しい香りが! 踏み台の上にのり、セイロの蓋を開けて、思いきり匂いを吸い込んでみる子もいました。誰が作ったものかわかるようにセイロの中に並べておいた朴葉もちは、葉の色もおもちの色も変わっていて、蒸しあがった様子!
食堂にちゃぶ台を並べ、緑茶を淹れ、お楽しみのおやつタイム! 自分で作った朴葉もちが配られると、「葉っぱも食べるの?」と聞く子も。朴の葉から移ったほのかな香りのするおもちにかぶりつくと、良い食感だったので、皆 なかなか上手にでっちることができた結果だと思われました。学園生たちは、「おいしい!!」「うまっ!!」「もちもちしてる~!」と口に出し、搗いたおもちとは違う 甘くておいしい朴葉もちをよく噛んで味わい、満たされた笑顔を見せていました! もう一つの朴葉もちは、翌日のおやつにとっておくことに。
21/07/09