売木村山村留学センター
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売木村の山村留学ブログ

9月20日

元々は3連休の中日19日に、“歩く活動”を計画していましたが、新型コロナの影響で目的地や実施日に縛られなくなったので、雨の心配がない20日に順延。そして、内容も変更。本来であれば山小屋泊の本格的な登山をしたかった8月末の活動を、やはりコロナ禍ということで隣の平谷村にそびえる“高嶺山”日帰り登山に変更し実施した後、「登山と言っていいのかハイキングだったのかわからないけど、楽しかった~!!」「もっと、山登りしたい!」「本格的な登山に挑戦してみたい!」との声が複数聞かれたので、登山に変えることに。装備を整えて、8時15分に車で出発!

まず、高嶺山登山の時に通過した長者峰(林道を車で走って行ける)に寄りました。そこには『正面 大川入山』の看板が立っていましたが、辺りは霧で真っ白。何も見えません…。学園生たちがこの日登頂を目指す山は“大川入山(おおかわいりやま)”。その山容や長者峰・高嶺山との位置関係を知り、モチベーションをあげてから登る予定でしたが、かわいそうに約6㎞のクネクネ道で車酔いし気分が悪くなった子たちが数人…。無駄足を踏んだものの、心眼?で見て、何となく位置関係はわかった様。林道を下り、国道153号線を飯田方面へ車で走ること数分、阿智村 治部坂峠付近の駐車場に車をとめ、学園生たちは降車。9時15分頃、荷物を背負い 靴紐を結び直して、標高1,176mの地点から歩き始めました。

葉が落ちて滑りやすくなった舗装路を歩くこと数分、大川入山登山道入り口に到着。標識辺りで記念撮影。車酔いでまだ気分がすぐれない子もいたけれど、気概に満ちた表情の学園生たち! ここからまず、横岳(1,574m)を目指します。大川入山は、阿智村と平谷村にまたがる木曽山脈(中央アルプス)最南端にある標高1,908mの山で、阿智村にある7つの山“阿智セブンサミット”と呼ばれている中の一つでもあります。歩きづらい登山道を進みます。

先月の高嶺山登山での歩きぶりや体力などを考慮し、自分たちで並び順を決め、一列縦隊で歩くことに。センター長を先頭に、橋を渡り、良いペース配分で登っていきました。横岳までは標高差400m・距離にして2㎞。本格的な尾根筋を進む登山道を数十分歩き、学園生たちの足を煩わせたのは、木の根っこがすごい道! これでもかというほど続きます。

足の置き場に困る登山道がしばらく続き、息があがりペースが落ちる子も出てきたので、ちょっと休憩…。水分補給をし、行動食を口にする学園生たち。少し元気が出たらまた急坂を登り、杉の植林の中を進んでいたのが、いつしか植生が自然林に変わってきました。木の股をくぐってみたり、霧が晴れて時々見える青空に気がつき歓声をあげたりしながら少しずつ高度を稼いでいきました。

歩き始めから1時間半ほどかかり、横岳を通過! まだまだ先は長いけれど、モチベーションをあげるために登山前に立ち寄った長者峰とほぼ同じ高さまで、自分の足で登ってきたことになります。半袖で暑くも寒くもない快適な気温でした! 横岳から先2.6㎞ほどは、なだらかな稜線上の登山道。

青空は広がらないけれど、登山道左側の視界が開け、長者峰や高嶺山の頂が目に入り、気分爽快! 息苦しさはそれほどなく、どんどん歩を進めます。アップダウンはあるものの、歩きやすくて気持ちよく…。生えているきのこや木に目がいったり、ずっとしゃべり続ける余裕があったりする子たちも。

しかし、登りなのにかなり急坂を下り、また登っては随分下ることの繰り返し…。こんなに下るということは、下りの時に登らなければいけないということや、最後の急登で一気に標高をあげるということに気づいた子たちもいました。“大川入山山頂まであとおよそ2㎞”の看板の所を過ぎ、幾つもの登り下りを越えながら、軽快に前進! 意外と長く、行程が捗らない感じがする2.6㎞で稼いだ標高は70mほど。正午数分前に“山頂まであとおよそ1㎞”の看板がある大川入山の直下に着き、小休止。

気を取り直し、標高を263m上げる最後の1㎞が始まりました! 苦しい急登が続きます。しかし、列の後ろの方の子たちは、ペースを乱すことなく淡々と歩いていました。

空は雲に覆われていたけれど、一瞬視界が開け、景色が見える時があるとテンションがあがった子どもたち。尾根上に出ると、山頂部を緑の笹に覆われた大川入山が姿を現し、もう一踏ん張り。しかし、歩調が遅く、先を歩く人と距離が開いてしまいがちな子は、「もうちょっとだから、頑張れ!」「一歩一歩、歩いていけば必ず頂上に着くよ!」などと皆に励まされていました。列の後方を歩く健脚の子たちも「(1㎞のうちの)どれくらいまできたかな?」「あと何百m?」と聞くようになり、うんざり気味?

平坦な1㎞とは全く違うことを思い知らされていたところ、束の間 霧が晴れた時に見えた景色が素晴らしく、「おぉ~!!」と言いながら、思わず立ち止まる学園生たち。苦しさを我慢して、刈りこまれた笹原の中をぐんぐん登り進んでいくと…

ついに山頂に到達!! 登山開始も予定より遅れたうえに、標準のコースタイムよりも少しゆっくり歩いたため、計画より30分ほど遅い12時30分頃、全員登頂の証拠に写真を撮りました! 笑顔を作ったり、達成感に満ちた表情を見せたりした子どもたち。抜けるような青空ではなかったのでこの時は絶景を見渡せませんでしたが、天気がよければ、すぐ近くの恵那山はじめ、御嶽山、中央・南アルプスなどの展望を欲しいままにできるそう。学園生たちは、花より団子?景色よりお弁当といった様子で、荷物を下ろしお弁当を取り出すとすぐに「いただきま~す!」 多くの子たちはおなかが空いていたと見えて、かなりボリュームのあるお弁当をものともせず食べていました。標高が高いことと、かいた汗が冷えて寒くなり、長袖や防寒着を羽織る子も。食べ終わると、開放感に満たされながら、りんごを丸かじりしたり、数人でおしゃべりをしたり、目隠しをして地面に人の顔を描く遊びをしたり…。山頂からの眺めはいまいちでしたが、待てど暮らせどお弁当を食べ終わらない子を待つ間、時たま展望がきくことがあり、その時には感嘆の声をあげていました。

全員がお弁当を食べ終え、休憩をし、下山態勢を整えられたのは、13時50分過ぎ。計画より1時間以上も遅れてしまいました。下りも、登りとあまり変わらないくらいの時間を要することを考えると、ぐずぐずしてはいられません。しかし、下山時こそ細心の注意を払い、慎重に行動しないと、滑落したり怪我をしたりします。身軽にして安全に歩けるよう、登りの時から遅れ気味だった体力のない男子の荷物を肩代わりすることを申し出る、頼もしい女子が数人現れました! そんなこんなで、最後の登りで苦しめられた笹の急坂を下り始めました。先ほどは、こんなに急な所を登り続けたのだなと、改めて確認しながら…。

かなりの急斜面を下り続けていると、及び腰になってしまったり、早い段階から「やばい! もう膝が笑ってる!」と叫んだりする子たちも。そして、鞍部へ下り、そこから長い尾根歩き。何度も何度もアップダウンが続くので、登りなのに下ったように、下りなのに結構登るということが辟易するほど続きます。

随分足に疲労がきているにもかかわらず、傾斜に身を任せ、つい勢いよく下ってしまったり、靴裏全体で地面を捉えず、負荷がかかってしまう着地をしたり。案の定、滑ったり転んだりする子たちもいました。気持ちのよい空気を胸いっぱいに吸い込み、周囲の自然に目をやったり、遠くに聞こえる動物の鳴き声に耳をそばだてたりするゆとりをもって、焦らず、ゆっくり一歩一歩下ることができる子たちも。しかし、小休止を何度か挟みながら、下山開始から1時間以上が経つと、「横岳、もうすぐだよね?」「そろそろ横岳じゃない?」と尾根歩きの長さにいささか閉口気味の学園生たち。休憩をして、行動食やスポーツドリンクでエネルギーチャージ!!

休憩中、行動食のりんごをなかなか食べ終わらない子たちを待つ間、笹舟作りを楽しむ子たちもいました! 再出発し、ようやく横岳まで戻ってきた時には15時30分になっていました。横岳から登山道入り口までは、かなりの急傾斜を下り続けるので、歩幅を小さくし、スリップを防ぐ安定した歩行をしなければなりません! しかし、大股で進んだり、ふざけて跳んだり走ったりしていた子たちが、バランスを崩したり、尻もちをついたり、足がもつれて転んだり、登山道を踏み外し滑落しそうになったりする場面も。

一気に高度を下げる急坂を下っていくと、登りで苦しめられた“木の根地獄”に突入。長時間の歩行で相当足にきていた学園生たちでしたが、延々と続く“木の根っこ”がすごい道を、滑らないよう足をとられないよう、慎重に慎重を重ねて下りていきました! ジグザグの急傾斜の坂や崩落箇所の迂回路をどんどん下っていくと、見覚えのある 沢に架かる橋。あと少し!!
横岳から1時間少々かかり、大川入山登山道入り口の標識が立つ所まで下りてきました! 16時33分、全員下山完了。あとは、駐車場まで数百m・数分の舗装路歩き。足の痛みを訴えながらどうにか下山した一人以外は、車まで 笑う膝をなだめすかしながら歩きました! どっと疲れがでたようで、センターに帰るまでの車中、20分にも満たない時間でしたが、学園生たちは泥のように眠っていました。
大川入山登山道の治部坂峠コースは、変化に富んでいて、展望もよいとのことでしたが、残念ながらこの日は、展望が開けて遠くの山々まで見渡すということはできませんでした。でも、精神力や克己心を培い、皆で達成感を分かち合う等 活動の目的を達成することはでき、高所に咲く花を観賞したり、他の登山者に挨拶やお話をして触れ合えたり、行動食の摂り方を知ったりできてよかったという子たちも! 正直なところ、活動前は登山に後ろ向きな子たちもいたのですが、毎日の登下校で足腰が鍛えられている学園生たちにとって、標高差約800m・11㎞強の登山は概ね楽しかった様。疲れたから、もう登山はいいかなと思う子もいれば、また別の山に皆で登りたいとか本格的な登山をしたいと話す子もいました!

21/09/25

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