10月10日
秋晴れが続いていた10月10日(日)、10時前から“さつまいも掘り”をすることに! 学園生たちは、前日の稲刈りに続き、収穫作業とあって、わくわくした様子で準備をし、畑に集まりました。
春に苗を植えたきり、水やりや草とりをたまにしたくらいで、世話らしいことはほとんどしていないさつまいもですが、つるを伸ばししっかりと育っている様でした。まず、つるの根元を鎌で刈りとり、茎葉をセンターの玄関前に運ぶことに。やぎのえさにするため、抱えられるだけ抱え、運搬する学園生たち。さつまいもの苗は、マルチシートをかけた二畝と、かけていない一畝に植えていたので、二畝からマルチをはがす作業もしましたが、手早くきれいに片づけられました。
どんな大物に出会えるか期待しながら、いよいよ掘り始めます! しかし、マルチをかけていなかった畝の土はかなり固く、マルチで覆っていた方の畝の土も、保湿効果なのかマルチなしの畝の土ほど固くはありませんでしたが崩しにくく、容易にさつまいもを掘り出せそうではありませんでした…。残しておいたつるの根元辺りを、軍手をはめた手で掘ってもなかなかさつまいもは出てきませんでしたが、どうにか土を崩し根気よく掘り出していくと、皮の赤紫色が美しいさつまいもが姿を現しました! つるをつかんで揺らしながら引っ張っても、芋づる式に数本ついてくるものは少なく、びくともしないものがほとんどでした。無理に引っ張ると、さつまいもが折れたり傷ついたりするので、周りの土を手で少しずつ崩し、丁寧に掘り出していく学園生たち…。
苦労の末に、全貌を現したさつまいもが丸っこくてかわいらしかったり、芋づる式についてきたりすると、嬉しくなって「これ、めっちゃ丸いよ!」「うまく掘れたよ! いっぱいついてきた!」と、笑顔と歓喜の声! とにかく土とじっくり向き合う時間となったので、銀色の蟻を発見したことを報告したり、幼時の砂場遊びを思い出したのか、土で山を作りトンネルを掘って「見て! 貫通したよ。」と、独り土遊びに興じたりする子も。つるをつかんで引っ張ると芋づる式にさつまいもがついてくるということをどうしても体験したくて、いもの周りの土を地道に崩していく子も。
学校畑で、さつまいもの収穫を経験済みの小学生たちは、雑に掘るとせっかくのいもが折れてしまうことを知っていたので、根気よくいもの周りの土を取り除き 掘り出していました。にっちもさっちもいかず、途方に暮れかかり、困り顔を見せる子もいれば、一生懸命に掘り、丁寧に土を払いのけて引き出せば、 一株に予想より大きないもがいくつもついており、びっくりしながら笑顔を見せる子たちも!
一人あたり2~3株、時間をかけて一通り掘ったら、どうしても掘れないものや深い場所にできているいもをひとつ残らず収穫するために、シャベルや鍬を使用することに。いきなり いもの近くの土に深く突き刺してしまうと、さつまいもを傷つけてしまいます。だから、一見遠すぎるのではないかと思われるくらいの所や畝の外側から、シャベルや鍬を入れ、最終確認。ちらっと皮の赤紫色が見えると、「あった! あった!」と言って手で慎重に掘り出していきました。もうないだろうと思い、思いきり鍬を振り下ろしたりシャベルを刺したりした瞬間、グサッ! と、地中に隠れていたさつまいもを分断してしまうことも何度かあり、「アーッ!!」という悲鳴にも似た叫び声や、「あ~あ…。」と残念そうな声が幾度か辺りに響き渡りました。
そして、恐らく隈なく掘りつくしたので、鍬で畝を崩し、ざっと均しました。それから、傷つけると傷みやすくなるので、投げたり雑に扱ったりしないようかごに入れたさつまいもを、協力してセンターに運搬。
たくさん収穫できた喜びで、皆の顔はほころんでいました! 収穫したさつまいもは、倉庫の中に広げて干しました。早く食べたいと思っている子もいましたが、すぐに食べるのではなく、でんぷんが糖分に変化し甘さが増してから食べる予定です!!
その後、2名の継続生が、最初に皆でセンターの玄関前に運んださつまいもの茎葉を、押し切りでやぎが食べやすい長さ(30㎝くらい)にカットする作業を引き受けてくれました! 一人が押し切りを使い、もう一人が長いつるをすぐ切れるように準備したり、切れたものをかごに入れたり。かごに入れた茎葉は、干し、やぎの冬のえさになりますが、かなりたくさん準備することができました!
午後4時まで、学園生たちは個人体験活動に取り組みました。待ってましたと言わんばかりに動き出す子もいれば、何もしない子もいました…。収穫祭は約1か月後に迫っていますが、どうなることやら。中には、一度決めて取り組んでいた課題が楽しくなくなり、他の課題に変更することになった子も!!
午後4時からは“稲架かけ”をしに、車で村の中心部にある田んぼへ。学園生たちは、センター近くの田んぼで、できるだけ手作業での、もち米作りを体験していますが、普段の食事で食べるうるち米作りには、今まで関わっていません。うるち米を作っている田んぼは広大なので機械も使っていて、この日の午前中にセンター長が、バインダーで稲刈りをしておいてくれたのですが、刈った稲は天日干しにするので、機械ではできない稲架かけを人海戦術で行うことに。学園生たちは前日に、もち米の稲刈りと稲架かけをしたので、相応しい服装に各自整えて出発することができました。
田んぼに着くと、刈り取り結束された稲の束が一面に…。それを集め、抱え、稲架のそばに運ぶことから始めました。
抱えられるだけ抱え、一生懸命運びます! 稲架にかけていく時、どの辺りに稲束が置いてあると効率よく作業を進めていけるかを考えて、抱えてきた稲束を降ろしたり山積みにしたりする場所を何か所か決めていました。
毎年、降雨でできた田んぼのぬかるみに足を取られ、長靴が抜けなくなったりもがいたりして時間を取られるのですが、今回はそういうことがなく捗りました! そのうちに「かゆ~い!」「チクチクする!」と言うのは目に見えていますが、笑顔で大量に抱えて運ぶ、たくましい小学生女子たち…。
稲束怪人登場?! 自分の手や肩を稲架のように使い、他の子にかけられるだけ稲束をかけてもらって嬉しそうに運んでいたのは中学生男子! ある程度、稲架の近くに稲束が積まれたら、誰が決めたわけではないけれど、自然に稲架かけをする役と稲束を運ぶ役にわかれて、並行して作業が進みだしました。
稲架かけ乾燥は、機械乾燥に比べてゆっくり乾燥するので割れ粒発生や味の低下が少なく、穂の形が残ったままで乾燥するので後熟が進むのだそう。良い具合に乾燥させるために、稲架かけの流儀は地域によって違うようですが、学園では四段の稲架に、稲束を半分に割って互い違いにかけていくことに。長い稲架棒を三~四分割し、数か所で一番下の段からかけていき、隣の束との間を詰めるように力の限りギュッギュッと押して、割った株元をポンポンと叩きます。この流れを繰り返していきました!
学園生たちは、稲架の表側と裏側に立ち、息を合わせて手早くかけていっていました! 一番下の段に詰めてかけられたら、下から二段目、三段目と進んでいき、その頃になると、テンポよくできるよう かける役の子に稲束を割って渡す役割を買って出る子も。一番上の段になると、容易く稲束をかけられるほど背が高い子がいないので、台の上に乗って稲束をかけないと届かず、大変でした。しかし、軌道に乗ってくると、それぞれが何をしたら全体の作業が早く終わるかを考えて動く姿が見られました! 機械のように早く正確に稲架にかけたり、かける役割の子の手伝いをしたり、落ち穂を拾ったり…。
1時間ほどで四段の稲架全てに稲束を干し終えました! なかなかの壮観です!!
手間はかかっても、天日干しするお米は甘み・旨み・粘りなどが格段に増すはず。おいしい新米を食べられる日は近いという嬉しさからか、皆 本当によく働きました! 最後にもう一度、全員で落ち穂拾いをしてから、心地よい疲労感を覚えながらセンターへ。
稲架かけ繋がりの話題ですが、翌日(10月11日(月))、小学生は5時間授業でいつもより下校時刻が1時間早かったので、前日 稲架かけをした田んぼの隣の、さらに大きな田んぼで育てていた稲の稲架かけの手伝いもしました。前の日より人数が少ないうえ、かなりたくさんの稲束を、遠い稲架の所まで運搬しなければならず、また、田んぼのぬかるみに足を取られ、長靴が抜けなくなり立往生する子たちもいて、非常に大変でした。2時間半以上かかり、全ての稲束を稲架にかけ終えた頃には、辺りは真っ暗に…。その翌日の午後から雨予報ということで、急いで稲架かけをしたわけですが、小学生たちの懸命な働きぶりにより間に合いました! 自分たちの口に入るお米を、よりおいしくするためだと理解しているからか、しっかり作業をすることができました。
21/10/15