12月4日・5日
12月4日(土)、炭焼きの火を絶やさぬようずっと窯の前にはりついておく必要はないので、ペアで一時間おきに見に行き、必要に応じて焚口に薪をくべることと並行して、冬の準備活動をひとつすることにしました。
午後3時頃から、先週末に収穫しざっと洗っておいた源助かぶ菜のかぶで、干しかぶを作ってみることに。だいたい円すい形のかぶの側面からは、たくさんの根のようなものが出ていて、ピーラーで皮をむくことが難しそうでした。先週末の干し柿作りでは、柿の皮をむくのにピーラーを使った子たちもいたのですが、今回はできるだけ包丁を使うようにしました。包丁で皮をむきつつ、もじゃもじゃとした根も取り除き、5mmくらいの厚さに切ることに。
先週末に漬けたように、源助かぶ菜はお葉漬けにする菜っ葉ですが、かぶも十分食べられるおいしさです。昔は、そのまま食べたり、子どもたちがおやつで食べたり、干して冬の間 お味噌汁の実にするなど、保存食にもしたりしていた という話を聞いた学園生たちは、見本として切られたかぶに手を伸ばし、「うまっ!」「意外と甘い。」「もっとちょうだい!」と大騒ぎ。それから、各々 かぶと格闘し始めました。多くは円すい形ですが、いびつな形のもの、とても小さいものなどもあり、それに根のようなものがたくさん生えていて、包丁で根を取り除きながら皮をむくのは相当高難度でした。案の定、手を切ってしまった子も!! 包丁さばきに自信がない子たちは、手を切ってしまった子が、途中からキッチンバサミで根のようなものを切り取り、ピーラーで皮をむく役割を担ってくれたので、それを受け取って、5mmほどの厚さに切ることだけをするように変更。面白い形のかぶを組み合わせ、「なんか、人形みたい!!」と言いながら遊びだした子たちも…。
一方で、手を切らないように注意しながら、凹んだ所に入り込んだ土を包丁でほじくり出したり、むきにくい形のかぶの皮を根気強く包丁でむき、輪切りにしたりする作業を最後まで続けていた子たちもいました! 切れたものは、トレーに載せていきました。あとは日当たりと風通しの良い場所で乾燥させるだけですが、しばらく天気の良くない日が続きそうなので、とりあえずセンター内の日当たりの良い窓辺に干すことに。小さく薄く切ったものもたくさんあったので、水分が抜けるとものすごく縮んでしまいそうです。昔から保存食として重宝されてきた干し野菜。天日干しにすることで、野菜本来の旨味と栄養が凝縮されて更においしくなり、水分が抜けるので歯触りや歯ごたえもよくなり食感を楽しむことができます。さらに、調理時間が短縮できると良いことづくめ。上手く乾燥するかどうかわかりませんが、良い天気が続く予報になったら、干し網に広げて干す予定です。1時間半ほどで終わりましたが、先人の知恵の素晴らしさを知る体験ができました。
12月5日(日)の午前10時過ぎからは、センターから歩いて数分の所に生えている、手漉き和紙の原料“ミツマタ”の枝を収穫しに行きました。中学生3人が皆を代表して、ミツマタの株から成長した枝を一本ずつのこぎりで切ることに。足場が悪くて作業しづらかったり、枝ぶりの関係で切りにくかったりしましたが、なんとか伐り出すことに成功! 学園生たちはそれを見て、枝が必ず三又、すなわち三つに分岐する特徴があることから、この木をミツマタと呼ぶということに、納得していました。どんどん枝分かれし、春先には黄色い花が咲く、今の時期はまだころんとした丸いつぼみがたくさんついている、1.5mほどの枝から、絡みついていた蔓を数人で引きちぎりました。
三本の枝を、掲げるようにして持ち、センターへ戻った学園生たち。次に、3人ずつに分かれ、枝を20~30cm程度に切り揃える工程に移りました。つぼみがついた細い枝先は万能バサミで切り取り、根元に近い太い方から、のこぎりで切っていきます。
作業を進めるうちに、のこぎりの扱い方にも慣れた様。この後、大鍋で煮るのですが、大鍋に入るくらいの長さに切ったり、三つに分かれた枝を一本ずつに切ったりしました。使えそうな部分を全て入れると、大鍋に入りきるくらいの量になりました!
それから、ミツマタの枝を煮るための薪を集めに、各々行動。もう何度も経験済みの薪集めなので、皆 乾いた薪を探すものの、実際に拾ってきたのは生木だったり、燃えにくい木だったりした子たちもいましたが…。しばらく大きな火を保っていられるくらいの薪が集まったので、コンクリートブロックで作ったかまどに火をつけ、大鍋を載せました。そして、薪をくべていくなど交代で火の番をすることに。
お昼ごはんや食休みの間も、炭焼きの火と、ミツマタの枝を煮る火を絶やさないよう、皆が気にかけながら過ごしました。火のあるところに人は集まるもので、食休みもそこそこに、学園生たちの多くはかまどの周りに…。いつの間にか、学園長さんがくださったみかんをアルミホイルで包み、熾火に入れて、“焼きみかん”を作って食べていたのでした。
午後3時頃になり、次の工程に移れそうだと判断した子たちが、かまどから大鍋をおろしていました!
大鍋を覆っていたふたを開けると、甘い匂いが立ち込めました!! 次は、煮た枝から原料に使う皮の部分を取り出す作業。熱々の煮汁の中からミツマタの枝を引き上げ、表面の黒皮をナイフの背でこそぎとって白い皮にします。まず、煮た枝は、外皮と芯の間に隙間が生まれているので、ナイフや指で皮をはがすきっかけを作ると、皮と芯の部分が抵抗なくきれいに分かれます。
伐採したてであるうえに、熱い状態の時に行うと、気持ち良いくらい簡単に皮がむけるということを、学園生たちは体験。それから、むいた皮にはたくさんの表皮がついているので、それをナイフの背で削り取り、芽の跡やキズも同時に取っていきました。冷めると、むきづらくなったり削り落としにくくなったりするため、手早く丁寧に作業をするよう心がけていた子どもたちですが、案の定 ナイフで指先を切ってしまった子もいました。
一枚一枚行うので時間がかかり、だんだん飽きてきた子たちもいましたが、温かい煮汁に手を入れて温めつつ次に皮をはぐ枝を選んだり、「こういう作業好き! 楽しい!!」と一人が言うと「私も。」「私も!!」「僕も!」と同調したりする子たちもいました。全体的には楽しい雰囲気で、なかなか上手に、煮た枝の全てから白皮を取り出し、水にさらすことができました。
午後4時半前には、使ったものを片づけたり、倉庫の掃除をしたり、底が真っ黒になってしまった大鍋をきれいに洗ったりして、活動終了。自分で仕事を見つけて動けるようになってきた子も。
すぐに紙を漉かないので、この後、ミツマタの白皮は、何度か水を替えて二日ほど水にさらしてから、乾燥させて保管する予定。カリカリになるまでしっかり干して、湿気の少ない環境で保管し、3学期にでも和紙を漉く体験を行います。
21/12/13