売木村山村留学センター
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売木村の山村留学ブログ

6月25日

6月25日(土)、午前9時頃から田の草とりに精を出しました! 靴下を脱いで裸足になり、濡れてもよい靴をつっかけて田んぼへ移動。田植え以降、ほとんど田んぼの様子を見に行っていなかった学園生たちは、分けつが進み 株が大きくなっている稲に驚きながら、田んぼの中に素足で入りました。

稲を踏まないように、稲の植わっている列をまたぐ格好で前進していきながら、条間に生えているヒエやオモダカ・イといった雑草を抜きとっていくことに。背丈が高い雑草は見えてとりやすいのですが、全員が一斉に、端から担当の二列をぞろりぞろりと進むと、水が濁ってしまい、小さな雑草は見えなくなってしまいます。畑の草とりのようにしゃがみこんで作業するのではなく、田んぼではずっと前屈みになって雑草をとるため「腰が痛い…。」と言いながら腰を伸ばす子もいれば、「根こそぎ抜けてすっきりする!」と言う子も。オタマジャクシに気を取られながらも、雑草に気づくと低い姿勢になってとっていました。

今年も苗を整然と植えられたので、どこが列なのかわからないということがなく、稲を踏みつけてしまいそうになることも少ないようでした。隣の人より先に進めばとりやすいことに気づくと、どんどんスピードアップしていく子もいれば、そっくりにしか見えない稲とヒエの区別がつかず手間取る子も。前屈みになって雑草を抜き取りながら、時々 腰を伸ばし、雑草を田んぼの外へ投げることを繰り返し、進んでいきました。
長辺方向の向こう側の畦に辿り着いたら、次は短辺方向に歩きながら、草抜き。つまり、株間の草とりをすることに。条間よりも株間は狭いので、稲を踏みつけないように神経を尖らせてはいたものの、秩序正しく苗が植えられていたので、とばしてしまう列がないように、どの稲の列をまたいで進んでいくかを確認することも容易でした。しかし、水は完全に濁ってしまっていたので、小さい雑草はあまり気にしないことに。八反取りや田車よろしく学園生たちの足で水田の表土を浅くかきまわせば、少しは除草効果があるはずということで、途中からは田んぼの中を歩き回る作戦をとることになりました!

短辺方向も隈なく歩き、水面から出ている雑草を根こそぎ引き抜いたら、再度 長辺方向に歩き、再チェック。田んぼの条間も株間も、稲を踏まないように気をつけて歩くと、稲の根元の泥だけが盛りあがってしまいましたが、1時間ほどで田んぼはきれいになりました! 除草剤が効いていたのかそれほど雑草が多くなく、また、例年はイネクビボソハムシの幼虫であるイネドロオイムシの食害を受けるので、ドロオイムシを見つけたら叩き落とすのですが、今回はその必要もなく、早く終了。
横の水路で足を洗ってから、センターに戻りました。

小休止の後、10時半頃からは畑の草とりに励むことに。梅雨の晴れ間にしては日差しが強く 暑すぎる中、まず、畑の道路側よりじゃがいもを育てている畝と畝の間の通路から手をつけていくことに。通路には、それほど丈は伸びていないものの 小さな雑草がたくさん生えていました。中には、細かい雑草がびっしり生えており、緑色に見える通路も! 通路一列を、両端から真ん中に向かって雑草を根ごと引き抜いていくことにしました。つまり、二人で一列を受け持つことに。「この(緑色に見えるほど雑草がはびこっている)列を担当したい人?」と聞かれると、いつもはさっと手を挙げない子たちが珍しく名乗り出て、最初に着手する場所がすぐに決まり、幸先の良いスタートを切りました! これまでに降った雨で、畑の土がひび割れするほど乾燥していたわけではなかったので、雑草をどうにか根こそぎ抜くことができる状態でした。最初は全員 軍手をはめていたのですが、小さいものはとりにくいからと素手で雑草をとる子も!

割り当てられた列によっては、指でつまみにくい小さな雑草が隙間なく生えている地帯があって、手こずったり、簡単には抜けず 根や茎の途中でちぎれてしまう種類の草に、手を焼いたりしていました。しばらくすると、しゃがんではいるものの手を動かしていない子、ずっとしゃがんだままの姿勢で草とりをしていると足や腰が痛くなり、手を止めて立ち上がったり立ち歩いたりして長い間怠ける子たちも現れ…。また、太陽がじりじりと照りつけるので、言われなくても木陰に入ったり水分補給をしたりと適宜休憩。草を抜きながら前進していき、たまに後ろを振り返ると、一目瞭然で雑草がきれいになくなった状態になっていることに達成感を味わっていた子たちも。通路の真ん中辺りで、反対側から草を抜いてきた子と出会ったら、まだ手をつけていない通路に移動し、ひたすら雑草と格闘。
ずっと下を向いて作業し 首の後ろが日焼けで真っ黒になっていっていることに気づかないくらい没頭していた子や、自分を奮い立たせながらひたすら作業を進める子もいました! 12時半まで、とりあえず雑草を抜き続けましたが、畑全面を終わらせられなかったので、続きは翌日に持ち越すことに。それでも全員が真剣に取り組めば、小一時間で終了の目処がつくくらいの所までは頑張りました。

午後2時からは、食文化体験として“朴葉もち作り”をしました。売木村では昔から、田植えの終わった6月初め頃に農休みという村中一斉に休む日があり、その日にはご馳走として米の粉で作った皮にあんこを包み、それを朴の葉で包んでから蒸したのだそう。いわゆる“柏もち”の様なものですが、この地方には柏の葉がないので、朴葉を代用するのです。農休みの頃は、どの家でも朴葉もちを作り、家のお米を挽いたり生地にヨモギやタカキビなどを加えたり、自家製のあんこを包んだりして、それぞれの家の味があり、季節の風物詩になっていたそう。そして、昔の子どもたちは、一年のうち唯一甘いものを食べられる農休みをとても楽しみにしていたとのこと。農休みからは3週間ほど過ぎてしまいましたが、学園ではこの日に田畑の草とりをしたので、慰労会の意味合いも兼ねての活動! 朴葉もちにまつわる話を聞いた後、米の粉作りから挑戦することに。
粗目に挽いた粉の方がおいしいと聞きかじったので、買ってきた米の粉ではなく昨秋収穫したうるち米を石臼で挽いてみることにしたのです。ほとんどの子が石臼を見るのも使うのも初めて。上下一対で使う挽き石臼は、下部の静止した石が固定臼で、上部の可動する石が回転臼。回転臼の穴から、挽くものが臼の内側に送られ、脇にある穴にさした挽き手を反時計回りに回します。順番に全員体験していくと…、

リーチの長い子でも、挽き手を反時計回りに一周することはかなり大変そうでした! 回転臼が重いことに加え、挽き手の角度がなかなか定まらず…。強引に動かそうとすると固定臼や石臼の下に敷いたトレーや新聞紙まで動いてしまうので、気を利かせた数人が押さえようと手を伸ばすと、挽き手を回しにくくなってしまいました。また、タイミングよく もの入れ(穴)にお米を少しずつ入れていかないといけないことやゆっくりとした回転数を保つことも非常に難しかった様。一人で挽ける子は一人で、手助けが必要な子は数人の手を借りながら、どうにか回転させるペースを守って挽いていくと、上下の臼の間から米の粉が落ち、トレーにたまりました! さらさらの粉に混じり、粗い粒もありましたが、役割を交代するなど皆で協力し、約一時間で400g弱の米の粉を作ることができました! 昔の道具に触れる体験ができた子どもたちでした。必要な分量は500gだったのですが、時間が押していたので不足分の100g強は市販の米の粉をブレンドして使うことに。
次に、朴葉を採りに学園生たちは外へ。センター付近に朴の木はたくさんあるものの、葉を採取しやすい木でなければなりません。継続生がすぐ近くにある朴の木の辺りへ皆を誘導し、枝先に輪生状についていた大きな葉を数枚まとめてはさみで採取。「これくらいの大きさでいい?」「これは、虫食いがあるからだめだよね。」などと相談しながら、あまり大きすぎず、虫食いや汚れなどのないきれいな葉であることを確認し、一人二枚ずつと予備を含め全部で25枚になるよう、一枚ずつに切り分けました。

そして、芳香と殺菌作用があるといわれる朴の葉で生地を包んで蒸す時に備え、葉柄をはさみで切ったり、大きすぎる葉の葉柄側を少し切り 適当な大きさにしたり。センターに戻るとすぐ、食堂の流しで、採ってきた朴の葉を一人二枚洗い、水気を拭きました。
いよいよ生地作り開始。ボールに米の粉・砂糖・塩を加え、米の粉と同量の熱湯でよく練る(でっちる)のですが、初めは熱すぎるので、米の粉等を入れたボールに少しずつ熱湯を注ぎ しゃもじを使ってぽろぽろになるまでかき混ぜていきました。それから、熱いうちに手でよくでっちることに。最初は、熱いのを我慢して指導員がチャレンジ! 生地をひとつにまとめるように練っていき、子どもたちの手で触れるくらいの熱さになったら、学園生たちがその作業を受け継いでいくことに。

自分の順番がまわってきたら、手粉をつけて生地をよく練りますが、見るのとやるのとでは大違い! 難しさがよくわかった様。ボールが動くと作業がしにくいことに気づき、ボールを動かないようにしっかりと押さえる役割を進んでする子も!
こねる人がどんどん変わっていくので、指に生地をたくさんくっつけてしまう子がいたり、前にこねた人がしっかりとひとつにまとめていた生地をばらけさせてしまう子がいたり…。

とりあえず、全員がこねる工程を体験するためにバトンタッチしていき、最後の方の番になる頃には、生地は良い感じにまとまっていました! 滞ることなく、コツを掴んで上手に練ることができる子たちが多かったです。
次は、だいたい同じくらいに分けた生地を直径4cmほどの大きさに丸める作業。とてもきれいな球に丸められる子も! それを一人二つずつもらったら、手のひらでのばします。餃子の皮のように丸くではなく、小判形にのばすと、仕上がりがきれいになります。挽いた米の粉の粗さがまちまちだったからか、加えた熱湯が少なかったからなのか、生地をのばすとひび割れが…!

それから、どうにかのばした生地(皮)の真ん中辺りにあんこをのせて包むことに。あんこもまた、昨秋収穫した大納言という品種の小豆を煮て作ったセンター製のもの。あんこをたくさん包みたいけれど、生地を上手くのばせていなかったり、穴があくほど薄く透けていたりして、少ししか包み込むことができませんでした。皮からあんこがはみ出さないよう、皮を半分に折って端をしっかりと押さえたら、半月型のおもちのできあがり! 皮の端からあんこがはみ出すのではなく、あんこが透けて見えるほど薄い生地のものや、あんこが練り込まれたようになったものもできていました…。

最後に、それを採ってきた朴葉で包む工程。本当は、一つ折りにした葉の間におもちを挟むイメージなのですが、セイロで一度にたくさん蒸すために、おもちを葉で巻くようにして包み込みました。
もう午後4時半をまわっていたので、使ったものを洗って片づけたり、粉だらけにしてしまった台や畳を掃除したりしました。お楽しみのおやつタイムは、夕食後に持ち越すことに。

学園生たちが入浴したり夕食の配膳をしたりしている間に、厨房では朴葉もちが蒸されており、思いきり吸い込みたくなるような芳しい香りが!! しばらくすると、葉の色もおもちの色も変わっていて、蒸しあがった様子
夕食後、一つずつ配られ、朴の葉から移ったほのかな香りのするおもちにかぶりつく学園生たち。昨年、市販の米の粉やあんこで作った朴葉もちの味を覚えている継続生たちは、「生地は硬いけれどおいしい。」「かみごたえがある。」「昨年よりはパサパサしているような食感だけれど生地にも甘味があり、あんこがしっとりしていておいしくてよい。」「もちもち感は少ないけれど米のプチプチ感があって、今年の朴葉もちの方が好き!」「去年よりおいしくないけれど、おいしい。」などと比較した感想を述べていました! 食感は好き好きなのでなんとも言えませんが、概ね成功と言えそうです。もち米を搗いて作るおもちとは違う食感の 甘くておいしい朴葉もちをよく噛んで味わい、満たされた笑顔を見せていました! もう一つの朴葉もちは、翌日のおやつにとっておくことに。

22/06/28

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