12月18日
12月18日(日)のお昼前から、お正月準備活動“門松作り”をすることに。売木村の伝統的な門松は、庭に長い木の杭(ハングリ様)を二本立て、松を縛りつけるという 門の形をしています。窓掃除をした後、‟売木の伝統文化”のDVDを見て、年越し準備について映像で学んだ学園生たちは、活動開始。門松を立てるための最初の準備は、ハングリ様を立てることなので、ハングリ様に使う栗の木を伐りに山へ行かなければなりません。しかし、栗の木は湿気にすこぶる強く、防虫防腐処理をしなくても長期間使えるほどの耐久性がある優良材なので、数年前に伐り出して皮を剥きハングリ様にしたものを、使いまわすことに。
次に、松迎えをすることにしました。松迎えとは、門松にする松を山から伐ってくること。今年は売木トンネルの売木側辺りに適当な松が生えていることを事前に確認していたので、防寒対策をして、車に乗って行きました。車から降り、道を歩きながら適当な松を探すことに。門松用の松は二本必要なので、四人が二人ずつにわかれ相談して一本選ぶことにしましたが、二本のバランスも考えなければなりません。「これがいいんじゃない?」「あれは?」などと言いながら斜面を上っていく子たちも…。枝が三段か五段についているものが良いといわれているので、目を凝らして探し、更に枝ぶりが格好いいものや葉がきれいな緑色のものを念入りに調べ、選ぼうとしていました。適切なものに決めると、のこぎりで伐ることに。中学生男子が鮮やかな手さばきを披露!
伐り出した選り抜きの松を確認し合うと、まずまずのバランスだったので良しとし、調達した松は神聖なものなので、丁寧に運び、持ち帰りました。
お昼ごはんを食べ、午後1時40分から活動再開。まず、ハングリ様を立てる辺りの雪かきをし、保管していた栗の木二本(ハングリ様)を出してきて、以前に掘っておいた穴にさし込みました。ぐりぐりすると一本は安定しましたが、もう一本は不安定でぐらぐら…。できるだけ深くさし直すと、揺れ動かない程度にハングリ様を立てることができました。
松を迎える日は、29日は苦に通じるし、30日は一夜松、31日は日伐り松といって縁起が悪いといわれ、28日以前に行うのが普通。迎えた松は、清浄な場所に保管しておき、30日に立てるそうですが、学園生たちは帰省して不在となるので、この日に松迎えも立てることもしてしまいます。そんなわけで、迎えた松を藁縄でハングリ様にくくりつけました。
続いて、門松につける注連縄やおやす作りに使う藁の準備。もち米を脱穀した後、保管していたもち藁を各自一握りほど手に取り、外倉庫の前辺りで藁すぐりをし、木槌で打ってやわらかくしました。この作業は以前に経験済み。稲刈りをする前に、刈った稲を結束する紐として藁を準備した時と同じです。だから、さくさく進める姿がありました!
藁の準備ができたら、倉庫の中にブルーシートを敷き、手のひらを湿らせるための水を用意して、門松につけるものを作ってみることに。初めに、注連縄作りにチャレンジ! 藁縄は右綯いですが、注連縄は左縄に綯うもの。三本ずつ準備した二組の藁を手のひらで挟み、手のひらと藁を擦りあわせるように右手を手前に持ってきて、二組の藁を同じ方向に撚ったら、右手で左手の手首側の藁を奥に移動させます。これを繰り返していくと左綯いの縄ができます。しばらく藁と格闘し、なんとか綯えるようになった子もいれば、全く歯が立たない子もいました。綯えた子や指導員から、どうして綯えないのか、間違えている点を指摘されたり、ねじった藁同士を合わせているという仕組みを教わったりして、ようやく理解し綯えるようになった子も。習得した子たちは、長い注連縄を作ろうと、藁を足しながら綯っていくことにも挑戦していました。
次に、“おやす”作り。おやすとは、お正月に神様へお供えするものを入れる食器。作るのはそれほど難しいわけではありませんが、苦戦する中学生に、昨年 何度か藁細工を行う機会があり手慣れた小学生が先生役となり、手取り足取りして教える場面もありました。
門松に結び付ける器型の飾りなので、藁を足したり折ったりしながら適当な長さになるまで編んでいき、端の藁同士を三つ編みにして筒状にしたら、上部から十数㎝の所を藁でくくります。編む工程は簡単だと思って進めていたものの、藁に折れ目をしっかりつけておらずきれいな編み目になっていなかったり、藁すぐりがいい加減だったのかできばえが洗練されたものではなかったり。中には、バラバラになってしまい、もう一度編み直した子も…。一本の藁でくくるところは、稲を刈って結束した時のように、巻きつけたあとねじってさし込みましたが、そこは皆 難なくできていました。
藁を三つ編みにするところでは、思いがけず上手にできた子が、自分のものだけでなく、三つ編みができないという子の分も編んであげていました!
完成まで時間差ができたので、先に習得した注連縄作りを再開した子たちも。綯い方はわかったものの、力加減が均等でなかったり、藁の足し方が上手くできなかったりして、きれいな注連縄を作ることの難しさを痛感していた様。何はともあれ、一人ひとつはおやすを完成させたり、長さはいろいろだけれど注連縄を作ったりすることができました!!
続いて、おたから作り。おたからとは、紙垂のこと。適当な大きさの障子紙を折り、ハサミで三か所に切れ目を入れ、手前に手前にと順に、紙垂の形に折っていきます。一人ひとつ 作ってみましたが、説明をちゃんと聞いておらず失敗したり、できあがりを想像して切れ目を入れ、格好よく折ることは難しかったりした様です。
曲がりなりにも、おやすと注連縄とおたからができたので、希望する子は冬休みの帰省の際、持ち帰ることに。学園の庭に立てた門松に張る注連縄は、力加減が均等で美しく、藁をつぎ足して長く上手に綯えたものを採用することにしました。上手に作った子が責任を持って、つぎ足した藁の飛び出した部分をハサミで切ってきれいに処理したり全体を整えたりした注連縄を、ハングリ様にかけ渡しました。十分な長さがありましたが、巻き結びを施そうと奮闘。
それから、作ったおたからを各自 注連縄の撚りの間に挟み込みました。厳かな雰囲気で作業をしていた学園生たち!
最後に、提供された四つのおやすを門松に結びつけ、完成。本来は12月30日にすることを、前倒しで体験した学園生たち。お正月には、センターに立てた門松を目当てにして歳神様が降りてきて、幸福をもたらしてくださることを信じて、記念写真に納まりました!
22/12/24