売木村山村留学センター
売木学園

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売木村の山村留学ブログ

3月5日

3月4日(土) 最後の農家生活を終え、センター入りした学園生たち。40期の修園まで二週間。その翌日の5日(日)、自分の足で歩くことを大事にしてきた一年の集大成として‟お別れハイキング”を行いました。昨年度はできなかったので、継続生にとっても初めての活動。概要を聞いた学園生たちは自分で考えて準備をした後、ミーティングで歩くコースと距離・活動の目的を確認し、服装や持ち物の再確認。売木村の地勢を感じたり、春を探したり動物と戯れたりしつつ村を南下し、村境にある新野峠を越えて阿南町新野を巡り、トンネルができる前までの旧道の売木峠から売木村に戻ったら長下地区方面まで歩き、センターの建つ岩倉方面へ というおよそ24㎞のコースを歩くと聞いた学園生たちの反応は様々でした。

山留センターを発着点とする長距離のコースを予定より少し遅い9時20分頃から歩き始めました。まずは、雨の日も風の日も雪の日も自分の足で歩いた 歩き慣れた通学路を、皆でてくてく。すると、早速 岩倉川にかかる橋の上から糸を垂れる 最近専ら釣りにのめりこんでいる男子二人。ハイキングコースを聞き、これはチャンスとばかりに、持ち物に釣竿やエサを忍ばせていた様…。
おしゃべりしながらも、遅くとも時速4㎞くらいでは歩くことと、車が結構なスピードで往来する所は道に広がらないよう一・二列になって気をつけて歩くことにしました。軒川の久助橋に繋がる、昔 通学路だった道も歩いてみました!

村の中心部を過ぎ、南二地区を南一地区に向かってずんずん進みます。できるだけ県道ではなく、売木川沿いの未舗装路やこれまでに歩いたことがなかった脇道などを選んで歩を進める子どもたち。そういう道はめったに車が通らないので、多少広がっておしゃべりしながら歩いても大丈夫。

11時過ぎ、山留センターから6㎞強の所に建つ‟やぎ小屋”に到着。今年もやぎの出産シーズンになったという噂を聞いていたので、必ず立ち寄ろうと決めていたのです。誰よりも早く子やぎを見ようと、早足で大きなビニールハウスの前までいった女子2人は、番犬に吠えられおっかなびっくり。中に足を踏み入れると、三つの柵の中には、二十匹ほどの子やぎたちが!! 後から来た子たちも入ってきて、口々に「超かわいい!!」と連発しながら、子やぎがいる囲いの柵の前に行き、触れたり、抱っこしたり。「この子、かわいくない?」とか「あの子、抱っこしたい!」などと言いながら、子やぎのかわいさにメロメロになっていました。他にも、出産を控えたお腹の大きなやぎや出産を終えたやぎたち・鶏などもいました。

しばらく観察したり、触れ合ったりしていたものの、全行程のまだ四分の一の地点なので、先を急がなければなりません! 何時間いても飽きない様子でしたが、「そろそろ行くよ~!」という指導員の声がけに、「早いよ~。」「もうちょっと…。」と後ろ髪を引かれる思いで小屋を後にした女の子たち。やっと番犬も触ることができ、喜んでいた子も!
片や、子やぎたちには目もくれず、やぎ小屋の前を流れる売木川で魚との駆け引きを楽しんでいた太公望たちも粘っていました。道中の水路で見つけたイワナを手で捕まえ、このポイントでは見事アマゴを釣りあげていました!

やぎ小屋の外に放牧されていたポニーと一緒にパチリ。
ようやく、ハイキングを再開したものの、売木川沿いの未舗装路歩きが続いたので、男の子たちは魚がいそうなポイントに糸を垂れていました。

売木川沿いの未舗装路から県道大平山松葉線に移る際には、橋がない所まで歩いてしまったので、川の中の岩の上を飛びながら渡ることに。対岸にネコヤナギの花穂を見つけ「何これ?」と聞いたり、岸に這いあがろうと伸ばした手にやわらかな銀毛に包まれた花穂が触れると、シルクのような手触りに驚いたりしていた学園生たち。
新野峠方面への県道は、だらだら続く上り坂。道路脇は人工林でしたが、たまに結構なスピードで車が走ってくるので、道路の白線の内側を一列ないし二列になって30分ほど歩いていきました。実がドライフラワー状態になっているウバユリを見つけ、カラカラの蒴果に残っていた種を観察したり、裂けたところは櫛のようになっているので風を起こし、軽くて薄い種を外に舞い上がらせて遊んでみたりする子たちも! 長くて大変だなぁ~と思いながら黙って歩いていた子もいれば、水分補給をしてみたり、出発時に配られた一日分の行動食が入った袋から飴やクッキーなどを取り出して口にしたりして元気を維持していた子たちもいました。

集団がばらけてしまった時のために、最後尾の人を待つ場所を何か所か決めてあったのですが、新野峠付近の水場もそのひとつ。山留センターからおよそ9㎞のその地点に着くと、辿り着いた子から順番に湧き水を飲んでみたり、水筒に入れてきた水と飲み比べたり、水筒の中の水を捨てて湧き水を汲んだりしていました。
ここからは、国道151号線を阿南町新野の千石平と呼ばれる平らな土地が広がる中心部方面へ、長く続く下り坂をひたすら下ります。通行量は少ないとはいえ国道であるし、拡幅工事中なので、安全第一で一列歩行することに。時間は正午を過ぎた頃。予報通りポツポツ雨が降り出してきましたが、雨具を使用するほどではなかったので、そのまま歩いた一団。下りだったこととそろそろお昼ごはんを食べたい気分ということで、安全を確保しながらかなり足早に下ることができました。

良いペースで歩けたので、計画通りの時間に、トイレや雨宿りできる場所がある新野の道の駅敷地内に到着。待ちに待ったお弁当タイムとなりました! 歩いてきた直後はまだ寒くなかったけれど、結構降り出した雨が吹き込んできたり体が冷えたりして寒気を感じた様で、ほとんどの子は食べるのを一時中断し、防寒着やレインスーツを着込んでいました。そして、また大盛り弁当を抱えてむしゃむしゃ…。普段は食事に時間がかかる子もパクパク食べ、加えて行動食も口にし、エネルギーや栄養補給完了! 食休みもしっかりとる予定でしたが、じっとしていると寒いのか 誰からともなく立ち上がってリュックサックを背負い始めたので、午後1時20分頃から再び歩き出すことに。 売木トンネルができる前までは売木村と阿南町の往来に使われていた旧道(現在も使っている人はいます)を歩き、境の峠を越えて売木村へ向かいます。全行程の折り返し地点を過ぎたという安堵感で、雨の中でしたが、峠まで続く上り坂をどんどん上っていきました。男子は相変わらず川や沢を見るために道から少し外れてはちょろちょろと動き回りながらも速歩。女子は二人ずつおしゃべりしながら。やはり集団が縦に長く伸びてしまったので、売木峠に立つ‟売木村”の看板の所で全員が揃うのを待ちました。峠を越えると上り道から下り道に転じ、村に戻ってきた実感も手伝って、実は疲れたり足が痛くなったり辛くなったりしていた子たちは気を取り直し、再び歩を進めたのでした。道中、ほとんど残雪はなかったものの、売木側のトンネル出口に近い旧道ら辺の全く陽が当たらない場所は、雪が残っていたり、アイスバーンになっていたりして、普通には歩けず…。滑らないように慎重に歩く子もいれば、ツルツル状態の所では踏ん張りがきかないので敢えて滑ってみる子も。峠から1㎞強下ると、見慣れた村の景色が目に飛び込んできました!

そのまま旧道を歩いて旭地区へ下ったら、売木川沿いの未舗装路を歩いて長下地区方面まで足を延ばすことに。男子二人は、売木川沿いの道に出るや否や小走りで川に近づき、目を輝かせながら釣竿を伸ばしていました。そして、ここはというポイントまで先回りして釣りに熱中。のんびり歩いていた女子たちにはそのまま歩いていってもらい、鹿の窪橋の所で行動食などを食べながら小休止してもらっている数分の間に、見事アマゴを釣りあげていました! その後、男の子たちはすまし顔で合流。主要地方道阿南・根羽線にぶつかったら左折し、カンポ橋を渡り、今度は売木川を遡るように川沿いの舗装路を力石橋方面へ。皆で魚影を探しながら歩きました。15時半、21㎞ほど歩いた力石橋付近で最後の小休止。残しておいた行動食を食べきり、ゴールの山留センターまではおよそ3㎞と聞き、最後まで何とか歩けそうだと目処が立った様子の子どもたち。岩倉川を遡るように続く上り坂では、木の枝を杖にして歩いたり、口数が少なくなったりする子もいましたが、しゃべり続けていた子たちも! 岩倉ダムキャンプ場付近にも湧き水を引いてある水場があり、飲んでみた子たちもいました。歩くペースが違ったので一団は、終始どうしてもばらけてしまいがちでしたが、弱音を吐く子はいませんでした! 一路山留センター目指して、最後の坂道を一踏ん張り。16時20分、全員が完歩。心配していた雨はそれほどでもなく、決して楽ではない 起伏に富んだ24㎞の道のりを自分の足でしっかりと歩き通しました! 後で聞くと、実は足が痛かったとかへとへとだったとか辛かったと話す子もいましたが、皆 楽しい一日だったとのこと。踏破できたという自信をどの子ももつことができ、心身の成長を感じとれた活動となりました。

23/03/10

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