8月25日
山小屋の朝は早い。4時頃から誰かの目覚まし時計が鳴りガサゴソガサゴソ…。4時半頃に起こされた学園生たちは、布団をたたみ、冷たい水で顔を洗い、身支度を整え外へ。
2,900m超えは、やはり下界とは別世界。予想外の寒さと風の冷たさに、慌てて山小屋に防寒着やレインスーツ・軍手を取りに戻る子も。一列になって、登山道を数分登っていくと、開けた所に御来光を待つたくさんの人たちがいました。5時9分、山頂を示す標識が立っている所で、記念撮影。全員 無事に登頂したのですが、あっけなく頂上に立ったという感じでした。前日に登頂できれば達成感もひとしおだったかもしれませんが…。
それから少しの間、山頂からの景色を目に焼き付けました。薄曇りで御来光は拝めなかったけれど、美しい朝焼けを見ることはできました! 太陽の光が雲に反射して赤く染まる様子に、感嘆の声を上げる子も。木曽駒ケ岳 山頂で”やまびこ挨拶”をしてから、山小屋へ戻ると、
既に朝食が用意されていたので、全員揃って「いただきます。」昨日、コースタイムより時間がかかることがわかったので、下山も同様と考え、朝食を食べたらできるだけ早く出発しようということに。しかし、自分で食べられる量のご飯をよそい、食べ始めたものの、小一時間経っても食べ終わらない子が数人も!
結局、予定通りの7時に頂上木曽小屋を出発。暖かい服装をし、靴紐を締め直して、下山開始。
昨夜から既に筋肉痛になっている子もいましたが、9合目 玉ノ窪山荘までは20分強で下りました。
登りで苦しめられた道を、ひたすら下っていきます。
下山では、息が切れて疲れるということはありませんが、本当にここを登ってきたのか?と思うくらい、段差がある場所をずっと下りていくので、足への負担が非常に大きく…。また、怪我はだいたい下山の時に起こるので、跳んだりはねたりしないよう落ち着いて歩かなければなりません。
道幅の狭い所や崩れそうな場所を通る時には、できるだけ山側を歩き、岩や植物をひっつかむ子たちも。
下山開始から1時間。ハイマツに囲まれた 段差の大きい道を元気に歩く小学生女子たち。慎重になりすぎているのか、テンポよく下りられない子たちもでてきて、全体の間隔が空いてきてしまいました。
そうこうするうちに、8合目と9合目の間にある大ナギが見えてきました! 昨日、おっかなびっくりクリアした箇所です。登りと同様、大騒ぎしながら、滑落しないよう慎重に通過。
そして、8合目を目指し、お花畑の中の道をどんどん進みます。道幅が狭い箇所や足元が見えないくらい草が生い茂っている所は、踏み外さないよう気を張って歩いていた子どもたちですが、一瞬の隙に3mほど滑り落ちた子が! 幸い草地だったので怪我はなく、草地の斜面をよじ登ってきて、無事に合流。事なきを得ました。
岩と灌木帯をどんどん下り、
8時45分頃、ようやく8合目に到達し、小休止。結構 時間がかかってしまいました。たくさん着込んでいた子たちは、さすがに高度が380mほど下がると暑いようで、長袖を脱ぐなどして体温調節。水分と行動食の補給も。
この先はまた、眺望のきかない道が続きますが、7合半と8合目の間では少し見晴らしの良い場所があり、学園生たちは元気づけられて歩いていました。
7合目へ歩を進めますが、急勾配の下りが続き…。経験の浅い子たちは、時間がかかりました。「こんなところ通ったっけ?全然覚えてない。」「ここは覚えてる。」などと昨日のことを思い出しながら、怪我をしたり転落したりしないように気をつけながら運歩。
天の岩戸やラクダの背を通過。どんどん下りていきながら、こんなに急な道を昨日はよく登ったなぁと自分で感心している子も。大きな声でおしゃべりしながらも、前の子と間隔を空けすぎないように軽快に歩ける子たちもいれば、バランスを崩したり尻餅をついたりしながらゆっくりと下る子たちもいました。
倒木を跨いだり、くぐったりするような所も。
何度か歩く順番を入れ替えても、一歩一歩慎重に歩くあまり、どうしても遅れてしまう子たちもいました。腰砕け状態で、へっぴり腰になっていて、前の人から離れてしまうため、安全で確実な足場を踏んだり同じラインを辿ったりできず、さらに遅れていくのでした。段差がある場所などの着地は、まっすぐに足を置くと負担が大きくなるので、足を横向きに置いて、交互にすると負担が軽減できるのですが、とにかく下ることに必死の様でした。
5合半まで下り、小休止。足がぷるぷると、生まれたての小鹿のように震えている子も。
15分ほど下ると、5合目に。予定より、1時間半遅れの11時10分。登山口まではまだ2時間弱かかります。この先は、どうしても前の人との間隔が長くなりがちな男子2人のリュックサックを大人が肩代わりすることにし、男子2人は身一つで下山。
また、全体の間隔が開きすぎない様に歩く順番も入れ替え、ペースを落とさずどんどん下りていくことに。
さらに、並び順を変え、展望のない薄暗い樹林帯を黙々と下っていきました。意外に長く感じる下山。大きな声では言わないけれど、疲れが相当足にきている様子の学園生たち。
2合半を通過すると、敬神の滝の音が! 2合目 敬神の滝山荘はもう目前。
本格的な登山道から抜け出し、最後の休憩。「行動食、あと何が残ってる?」という会話を交わしながら、残りの行動食を食べ、ここから登山口まで、もうひと踏ん張り。
滑川沿いを30分ほど、笑顔で歩く子どもたち。走り出さんばかりの速さ…。
13時45分 昨日 歩き始めた場所へ戻ってきました。下山完了!! 上松Aコースで2日間に出会ったりすれ違ったりした人は数人だけ。クラシックでマイナールートでの静かな山行でした。よく歩きました!
下山も、コースタイムより2時間ちょっとかかったので、遅いお昼ごはんを食べ、南木曽町にある温泉に浸かってから、17時40分頃、帰園。
ガスっていて見晴らしが良かったとは言えませんが、雨に降られることはありませんでした。高い山でしか見ることのできない動植物に触れたり、自然の美しさや厳しさを感じたりすることができた登山活動でした。標高差約1,900mの登山道(8時間15分の上り・6時間45分の下り)は学園生たちにとってかなり厳しく、苦しかった様ですが、自分の甘えや弱い心に打ち克ち、達成感を味わい、自分に自信を持つこともできたと思います。皆で苦労と感動を分かち合うこともでき、活動の目的以上のものが得られました。
学園生たちは、二・三日後まで”今までに経験したことのない筋肉痛”に襲われていました!
19/08/27