5月6日
5月6日(土)、恐らく2年後の山村留学生たちが食べることになる味噌を、35期生が仕込みました。今、学園生たちが毎日口にしている味噌は、33期生が仕込み、34期生が天地返ししてくれたものなのです。
前日に洗い、水に浸しておいた大豆を、朝一番に皆で見に行くと、形が丸から楕円形になり、乾燥時の2倍くらいに膨張していました。そして、しっかり吸水した大豆をドラム缶蒸かし機に移し、どんどん薪をくべ、蒸かしていきました。昔 岩倉地区の組合で使っていたドラム缶蒸かし機は、大量の大豆を一度に蒸かせる素晴らしい道具なのですが、大豆が指で簡単につぶせるくらいの軟らかさになるまでには数時間かかるので、その時間を利用し、昨年度仕込んだ味噌の天地返しをすることに。まず、継続生たちが一年前に仕込んだ味噌樽の蓋をオープンすると「へぇ~、こんな色になるんだ。」と声があがり、お決まりの味見をすると「しょっぱい!!」「甘いよ。」「うぇ~。」と様々な感想。今 食べている味噌との味の違いがわかったところで、作業開始。
12人が2組にわかれ、2台の味噌すり機をフル稼働。樽から味噌を取り出し、漏斗状の部分に入れる役、それを棒で下の方へ送り込む役、味噌すり機が動かないよう足で押さえる役、ハンドルを回す役、ミンチ状になって出てくる味噌をバットで受ける役などを分担し、交代しながら進めていきました。途中、ミンチ状になって出てくる穴に味噌が詰まり、ほとんど出てこなくなったり、気が散って味噌をこぼしてしまったりするアクシデントはありましたが、均一に熟成されたおいしい味噌にするために、作業を続けた学園生たち。先が見えない時は「疲れた~。」「いつになったら終わる?」と愚痴ってばかりの子もいましたが、樽の底が見えてくると一踏ん張り。お昼まで頑張りました。
子どもたちが天地返しに奮闘している間に、ようやく大豆が軟らかく蒸かせました。薪をくべるのをやめ、少し冷ます間に、子どもたちはお昼ごはんのお弁当を好きな場所で食べ、食休み。活動再開後は、いよいよ35期の味噌作り。「ちょっと食べてもいいよね?」「味見しなきゃね。」と蒸かし大豆を一粒 口に入れ、「うまっ!」「もっと食べたい!」と大騒ぎ。午前中と同じ2組にわかれ、ドラム缶蒸かし機いっぱいの蒸かし大豆を味噌すり機にかけていきました。
役割を交代しながら、どんどん大豆をつぶしていきます。味噌よりも、蒸かし大豆だけをみそすり機にかける方が、穴に詰まることなくスムーズに出てくるので、捗っていました。スパゲティーの様にニョロニョロ出てくる大豆の様子が面白く、どちらのグループも味噌すり機に次々と大豆を入れ、渾身の力を振り絞ってハンドルを回し、棒で送るという連係プレーを続けていました。
すりつぶした大豆は、粗熱をとるために、倉庫の中に準備した台の上に広げていきます。
ついに、ドラム缶蒸かし機の中は空っぽに。大豆を全てすりつぶし終えると、とりあえず、ドラム缶蒸かし機や味噌すり機の片づけ。中学生女子が進んで動いていました。
次の工程は”塩きり麹”作り。約20kgの米麹と11kgの塩を大きなたらいで混ぜます。麹は高価なのでこぼさないよう慎重にパラパラにしながら、塩と均等になるよう混ぜ合わせました。「手に塩がしみる・・・。」と悲鳴をあげる子も。
そして、粗熱がとれたすりつぶし大豆と塩きり麹を攪拌。いっぺんに全てを混ぜるのは小骨が折れるので、初めは2か所にわけて半量ずつくらいを混ぜることに。しかし、なかなか上手く混ざりません・・・。
次に、全ての材料を合わせることにしましたが、すりつぶし大豆の重さににっちもさっちもいかず。机の上で、材料を下から持ち上げたり、押しつけたり、向こう側へやったりしながら、できるだけ均質になるよう丹精込めて混ぜ合わせていきました。
いよいよ味噌作りも大詰め。攪拌した大豆・米麹・塩をソフトボールくらいの大きさに、空気を抜きながら丸めます。
案の定、粘土遊びのようになり、球形ではなく、面白い形のものやハート形も出現・・・。
それから、ビニール袋を敷いた2つの樽の中に、丸めたものを思い切り叩きつけるように詰めていきました。これも空気を抜くため。嬉しがって我先にと、バシッと大きな音をたてながら、投げつけていた男子たち。
女子も面白がり、髙い所から落としながら、仕込んでいました。
なんとか全てを2樽に仕込みましたが、硬かったので大豆の煮汁(アメ)も加えて混ぜ、表面を均して塩で覆いました。
中蓋をし、重石を載せ、蓋をした重い味噌樽を力を合わせて倉庫へ。
作業に使ったものを手分けして片づけると、もう午後5時近くになっていました。皆、よく働いた一日でした! 日本人の食生活に欠かせない味噌がどのように作られるのか体験し、先人の知恵や工夫を知ることができました。また、協力することの大切さや修園生への感謝の気持ちをもつこともできた様。
夜、味噌樽に被せるカバーを作りました。
2樽に仕込んだので、2枚に、”35期”とか”作った日”とか、それぞれの名前や来年・再来年の山留生へのメッセージをとても熱心に?書いていました。
比較的 温度変化の少ない倉庫の中で、35期の味噌は熟成していきます。1年後には天地返しをし、ふた夏越したら食べ頃になる予定!
17/05/11