4月17日
天気予報どおり、朝から雨・・・。
昨夏からセンターで飼っている2頭のやぎのうち、”ヤンキー”と名付けられているやぎが、ここのところずっと、元気がありませんでした。前日にも獣医さんに診てもらったところでしたが、雨風をしのげる小屋から出て自力で戻れなくなってしまったのか、この日の朝は雨に打たれ、さらに衰弱し、食欲もなく。そんなわけで、学園生たちの1日は、”ヤンキー”のことをとても心配しながら動き出したのでした。
今年度は新・再入園生が多いため、この時期は、いろいろな配布物に載せる自己紹介文などを書く機会がたくさん。この日はまず、売木村公民館報の原稿書きや顔写真撮影をしました。さくさく書き、早く終わった子たちは、”ヤンキー”の傍らで心配そうに見守り、書くことが苦手で唸っていた子たちは、1時間経っても頭を抱えていました。そうこうしている間も”ヤンキー”の具合は予断を許さない状況で、獣医さんの所に連れて行くことに・・・。結局、原稿書き始めから1時間40分くらいかかって全員が書き終わったのでした。
ようやく本題 『箸作り』の活動開始。前日に切り出してきた1本の竹を皆で分け合い、自分たちの命を繋ぐためにいただく食事に使うお箸を作るこの活動には、この1年、ひとつのものでも皆で分け合うような気持ちを持ち、助け合い、思いやりをもって過ごしていこうという誓いの意味もあるのです。
最初に、作るお箸の長さを決め、竹をのこぎりで切る作業。そして、作るお箸の太さより少しだけ太めに、なたで竹を割りました。
それから、各自、棒状の竹2本をナイフで削る作業に没頭。ナイフで何かを削るという作業が初めての子もいましたが、注意深く取り組んでいました。持つ方よりも口に入る方を細く削ったり、美しい形に削ったりすることが難しかった様ですが、自分の手に合ったお箸を作ろうと皆 真剣!削り終わったら、紙やすりをかけてつるつるにし、名前を書きました。できあがったMY箸は、夕食の時から使うことに。「使いやすいよ!」「長さがちょうどいい!」と満足そうな子もいれば、「削りすぎて細くなってしまったから、作りなおしたいよ~。」と言う子も。もちろん、気に入らなかったり使いにくかったりしたお箸であれば、また自分で作ればよいのです。正しいお箸の使い方を実践しながら、これから1年間、大切に使っていきます。
獣医さんに診てもらっていた”ヤンキー”は、お昼前、残念なことに息をひきとりました。亡骸がセンターに戻ると、子どもたちはそれぞれ、お別れをしたり手を合わせたりしていました。
午後に計画されていた活動は”お茶碗作り”。正午前にセンターを出発し、お花見をしながらお弁当を食べた後、陶芸体験という予定でしたが、生憎の雨のため、センターでお弁当。車2台に分乗し、揺られること30分。阿南町陶芸体験館に到着。
陶芸の先生やスタッフの方々に挨拶をして席につくと、早速 飯碗作りの説明が始まりました。実は、 売木学園生たちは毎年 この陶芸体験館の先生に教えていただいていて、もう何十年もお世話になっています。言うまでもなく子どもたちは陶芸体験を楽しみにしていましたが、先生もとても歓迎してくださり、今までの方法ではない斬新な手法での飯碗作りを考案してくださっていたのでした!それは、現在 陶芸体験館で体験できるメニューとして、まだ行っていない目新しい試みだそう。
まず、飯碗の糸底の部分を作るための粘土を少し千切りました。そして、残りの粘土を丸め、棒を使って台の上で平たい円に伸ばしたら、紐状にしたり何かの形を作ったりした白い粘土をのせて、押さえる工程。
粘土の上に、白い粘土で絵や模様を描く感じ。どんなふうにしようか、すぐにひらめいた子どもたちはどんどん手を動かし、しばらくしたら、個性的な面白い絵や模様のできあがり!それは、飯碗の内側の模様となるのです。
次に、平たい粘土をお碗型にする作業。すると、スタッフの人が「みんな、体は柔らかいよねぇ?」と奇妙な質問。何が始まるのかと思いきや「じゃあ、ちょっとお行儀悪いけど、椅子の上に片膝立てて座ってください。そして、膝に手拭いを被せて。」と。一般的には型を使いますが、なんと、自分の膝を使って成形するらしいのです!驚きを隠せない学園生たちでしたが、言われたとおりに、台から剥がした粘土を自分の膝頭に被せ、丸みをつけていきました。板でペンペン叩くなどして形を整えたら、初めによけておいた粘土で糸底を作り、飯碗の底の部分にくっつけました。
それから、膝からそろっと外した飯碗を上向きにし、手回しろくろの上へ。それを思い思いの形に仕上げていくことに。分厚いところや薄過ぎるところを均等にしたり、粘土を指で少しずつつまみ出したり寄せていったり。きれいに整えたというよりは、それぞれ味のある形になりました。最後に、飯碗の中や外にハンコで絵や模様・文字などを押しました。中には、形が崩れることなどお構いなく夢中でハンコを押していた子も。
今回の手法の場合、白い粘土で作った模様がはっきりと現われるような色の釉薬をかけて焼くそうなので、子どもたちが色を選ぶ必要はありませんでした。あとは、先生やスタッフの方が少し手直しをしてくださり、乾燥・素焼き・釉薬を施して本焼き・・・という工程を経て、完成するそう。1か月後か1か月半後くらいには、自分のお茶碗と対面できるということで、とても楽しみで待ち遠しくなった様子の学園生たちでした!
1時間半ほどの陶芸体験後、センターに戻り、夕方、”ヤンキー”の亡骸を畑の横に埋めることに。学園生たちは、”ヤンキー”が喜んで食べた草や、タンポポや水仙・桜の花などを採ってきて、副葬品としていました。全員で埋葬し、お祈りしました。「ヤンキー、天国で元気に走り回ってね・・・。」
16/04/18